総評
稼働率66.6%の物件を満室前提で評価する危うさと、劣後比率30.2%の防壁。鑑定評価なしの4,730万円は事業者の「自己査定」、現状稼働が続けば売却価格は3,150万円まで沈み劣後バッファを突き破る。城壁は厚いが、中の兵糧が足りない。
ポイント
鑑定評価なしで4,730万円の価格妥当性は検証不能
本ファンドの対象不動産価格4,730万円は「収益還元法により価格を決定」と記載されているが、不動産鑑定士による鑑定評価は「無」と明記されている。つまり事業者が自ら算定した価格であり、第三者による客観的な検証を経ていない。収益還元法の前提となるキャップレートや割引率の開示もなく、投資家が価格の合理性を独自に判断する材料が極めて乏しい。この「自己査定」構造は、事業者にとって都合の良い価格設定が可能であることを意味する。
稼働率66.6%で満室賃料を前提とする危うさ
書面記載の全賃料収入は月額404,000円だが、直前の稼働率は66.6%(2022年8月〜12月)にとどまる。6戸中の入居状況と各戸の賃料を突合すると、書面記載の6戸分年間賃料合計は約464.9万円であり、月額約38.7万円に相当する。月額40.4万円との差額は駐車場収入3契約分と推測される。問題は、取得からわずか4ヶ月時点で稼働率が3分の2にとどまっていた物件を、満室前提の収益還元法で評価している可能性がある点だ。空室リスクが収益計画に織り込まれているか、書面からは読み取れない。
劣後比率30.2%は堅実だが万能ではない
優先出資3,300万円に対し劣後出資1,430万円、劣後比率は30.2%。物件価格が約30%下落しても優先出資者の元本は毀損しない計算になる。借入れもなくLTVは0%であり、レバレッジリスクは皆無。ただし市街化調整区域の木造アパートは流動性が低く、出口で買い手がつかなければ劣後バッファの厚さは絵に描いた餅となる。バッファの数字だけで安心するのは早計だ。
事業者の実績は安定だが関連当事者取引に注意
香陵住販は茨城県を地盤とする不動産会社で、KORYO Fundingとして26件のファンド組成実績があり、元本割れ・分配遅延の報告はない。平均利回り4.51%、平均劣後比率28.9%と堅実な運用姿勢がうかがえる。一方、本ファンドでは対象不動産が事業者の固有財産であり、賃貸仲介・管理も事業者自身が行う。取得・運用・売却のすべてに事業者が関与する「自作自演」構造であり、利益相反の可能性は常に意識すべきだ。
市街化調整区域×木造築15年の出口リスク
所在地は茨城県つくば市中山で、都市計画上は市街化調整区域に該当する。新規建築が制限されるエリアであり、将来の建替えや用途変更の自由度が低い。築年は平成20年(2008年)12月で、ファンド開始時点で築約14年。木造の法定耐用年数22年に対し残存は約8年。融資がつきにくい物件属性であり、売却先は現金購入可能な投資家に限定される可能性が高い。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県つくば市中山字割地221番5ほか |
| 物件種別 | 共同住宅(賃貸アパート) |
| 構造 | 木造かわらぶき2階建 |
| 築年月 | 平成20年(2008年)12月16日(築約15年) |
| 延床面積 | 351.62㎡ |
| 土地面積 | 1,422.82㎡(5筆合計、うち宅地1,340.82㎡) |
| 総戸数 | 6戸+駐車場 |
| テナント | 個人(住居) |
| 稼働率 | 66.6%(2022年8月〜12月実績) |
収益構造とNOI分析
書面にはNOIの直接的な開示がないため、記載データから再計算を試みる。
賃料収入の整理:
書面記載の各戸年間賃料は以下の通り。
| 号室 | 賃貸面積 | 年間賃料 |
|---|---|---|
| 101 | 58.34㎡ | 759,600円 |
| 102 | 58.73㎡ | 783,600円 |
| 103 | 58.73㎡ | 783,600円 |
| 105 | 58.73㎡ | 762,000円 |
| 106 | 58.73㎡ | 786,000円 |
| 107 | 58.34㎡ | 774,000円 |
| 住居合計 | 351.60㎡ | 4,648,800円 |
住居6戸の年間賃料合計は4,648,800円(月額約387,400円)。書面記載の月額賃料404,000円との差額は月額約16,600円であり、駐車場3契約分の収入と推計される(年間約199,200円)。
年間総賃料収入(満室想定): 約4,848,000円(住居4,648,800円+駐車場推計199,200円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入(満室想定) | 約4,848,000円 |
| 賃貸管理費(月額賃料合計の5%) | ▲約242,400円 |
| 損害保険料(推計) | ▲約50,000円 |
| 固都税(推計) | ▲約200,000円 |
| NOI(RE:Insight AI推計) | 約4,355,600円 |
※損害保険料・固都税は書面に具体額の記載がないため、同規模木造アパートの一般的水準で推計。2022年8月〜12月の「賃貸に係る費用」9,383円(約4ヶ月分)から年換算すると約28,000円程度だが、これは取得直後の部分期間であり固都税が含まれていない可能性が高い。
- キャップレート(推計): 4,355,600円 ÷ 47,300,000円 ≒ 9.2%(満室想定)
- 稼働率66.6%反映時のNOI: 約2,900,000円 → キャップレート約6.1%
- 配当原資: ハイブリッド型(インカムゲイン+キャピタルゲイン)
満室想定のキャップレート9.2%は、つくば市郊外の木造アパートとしては妥当な水準。ただし実際の稼働率を反映すると6.1%まで低下し、事業者の収益還元法による評価前提が満室ベースなのか現況ベースなのかで物件価値の評価が大きく変わる。
市場価格検証
近隣取引事例から、本ファンド物件と比較可能な「市街化調整区域の土地取引」を抽出して検証する。
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣調整区域土地(中央値) | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| 土地㎡単価 | 約33,200円(推計) | 約12,000〜15,000円 | +120%〜+177% |
| 土地面積 | 1,422.82㎡ | 105〜930㎡ | ― |
※ファンド物件の土地㎡単価は、物件価格4,730万円から建物残存価値を控除した推計値。木造築15年の建物残存価値を簿価ベースで約500万円と仮定すると、土地相当額は約4,230万円、㎡単価は約29,700円。
近隣の市街化調整区域における土地取引事例を見ると、稲荷原で㎡単価4,500円、長高野で12,000円、上郷で1,000〜1,200円と、エリアによって大きなばらつきがある。一方、倉掛では67,000〜85,000円の事例もあり、つくば駅周辺へのアクセスや開発状況によって価格差が顕著だ。
ファンド物件の所在する中山地区は、つくば駅から車で約10分の位置にあり、周辺に住宅が点在するエリア。土地単価の推計値29,700円は、調整区域の中では比較的高い水準だが、倉掛の事例(67,000〜85,000円)と比較すれば割安とも言える。ただし、収益物件としての評価は土地単価だけでなく賃料水準と稼働率に依存するため、単純な土地比較だけでは妥当性の結論は出せない。
土地評価と出口シナリオ
土地評価(概算):
つくば市中山エリアの市街化調整区域における公示地価・路線価の公開情報からは、当該地点の正確な路線価は確認できず。近隣の調整区域取引事例から推計すると、宅地部分1,340.82㎡の土地評価額は㎡単価15,000〜30,000円として約2,010万〜4,020万円が概算レンジとなる(推計値)。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観(満室・Cap8%) | 8.0% | 約5,440万円 | 元本全額償還+キャピタル配当の可能性 |
| 基本(満室・Cap9.5%) | 9.5% | 約4,580万円 | 元本全額償還(劣後出資で微損吸収) |
| 悲観(稼働70%・Cap11%) | 11.0% | 約2,640万円 | 劣後出資1,430万円では吸収不能、優先出資毀損 |
楽観シナリオは満室稼働を前提とし、キャップレート圧縮が実現した場合。基本シナリオでも満室が条件であり、現状の稼働率66.6%が改善しなければ基本シナリオすら達成困難となる。悲観シナリオでは物件価値が取得価格の約56%まで下落し、劣後バッファを突き破る。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 9.2%→10.2% | 約4,270万円(▲460万円、▲9.7%下落) | バッファ内(劣後1,430万円で吸収可) |
| キャップレート+2% | 9.2%→11.2% | 約3,890万円(▲840万円、▲17.8%下落) | バッファ内(劣後1,430万円で吸収可) |
| 空室率+10% | 33.4%→43.4% | NOI▲約485,000円 | 配当原資の減少、元本への直接影響は限定的 |
| 賃料下落10% | 404,000円→363,600円 | NOI▲約484,800円 | 配当原資の減少、元本への直接影響は限定的 |
| 稼働率現状維持(66.6%) | ― | NOI約290万円→売却価格約3,150万円(Cap9.2%) | ▲1,580万円下落、劣後1,430万円を超過 |
物件価格が約4,730万円から約1,430万円(約30.2%)下落するまで、優先出資者の元本は無傷。キャップレートの上昇だけなら+3%程度まで耐えられる計算だが、稼働率が現状の66.6%のまま改善しなければ、収益ベースの売却価格は劣後バッファを食い破る水準まで下落する。最大のリスクは金利でもキャップレートでもなく、「空室が埋まるかどうか」という極めてシンプルな問題に集約される。
契約上の注意点
- 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)であり、SPC方式ではない。事業者が破綻した場合、対象不動産は破産財団に組み込まれ、優先出資者の元本回収は保全されない。
- 関連当事者取引の集中: 対象不動産は事業者の固有財産であり、賃貸仲介(月額賃料の100%)・賃貸管理(月額賃料の5%)・空室管理(賃料の90%×1回)もすべて事業者が受託。利益相反リスクが構造的に内在する。
- 契約期間延長条項: 売却が完了しない場合、事業者の判断で最大2年間の延長が可能。投資家の同意なく資金拘束期間が延びるリスクがある。
- 中途解約の制限: クーリングオフ期間(8日間)経過後は「やむを得ない事由」がない限り解約不可。流動性は極めて低い。
- 鑑定評価の不在: 不動産鑑定士による鑑定評価が行われておらず、物件価格の客観的な裏付けがない。事業者の自己査定のみで4,730万円と設定されている。
結論
劣後比率30.2%・借入れゼロという安全設計は評価に値するが、鑑定評価なし・稼働率66.6%・市街化調整区域という三重のハンデを背負った物件であり、出口の成否は空室改善の一点に懸かっている。余剰資金の範囲内で、事業者の地場力を信じられるなら検討余地はある。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。