総評
利回り3.5%は控えめだが、劣後比率20%+鑑定評価額対比5%ディスカウントが約25%の価格下落まで優先出資をガードする構造。ただし親会社マスターリースという「身内で回す」仕組みが透明性を曇らせ、NOI年間471万円の配当原資は堅実ながら派手さに欠ける。
ポイント
利回り3.5%の裏付けはNOIで検証可能
本ファンドの配当原資はインカムゲイン(賃料収入)に限定されている。鑑定評価書によれば7室合計のNOIは年間約471万円(各室NOI合計:605,890+629,470+562,100+646,050+616,500+605,600+649,012=4,714,622円)。優先出資7,520万円に対する想定配当は年率3.5%で約263万円。NOIから管理費等を差し引いたNCF(約486万円)でも十分にカバーできる計算であり、インカム型としての配当原資は確保されている。ただし、利回り3.5%という水準は不動産クラファン市場では下位に位置し、「安定性と引き換えに収益性を犠牲にした」設計と言える。
親会社マスターリースという「身内保証」の功罪
本ファンドでは、親会社である一建設株式会社とマスターリース契約を締結する。月額賃料437,400円(年間約525万円)が保証されるため、空室リスクは事実上ゼロに近い。しかし、これは「親会社が子会社のファンドを支える」構造であり、一建設の信用力に依存している。一建設は東証プライム上場の飯田グループHD傘下で財務基盤は堅固だが、関連当事者取引であることに変わりはない。マスターリース賃料が市場賃料より低めに設定されている点(周辺相場8,719円/坪に対し本物件7,250円/坪)は、逆に言えば「無理のない水準」とも解釈できる。
鑑定評価額を5%下回る取得価格は安全マージン
7室合計の鑑定評価額は9,640万円、これに対しファンドの取得価格は9,156万円と約5%のディスカウント。劣後比率20.0%と合わせると、物件価格が約25%下落するまで優先出資者の元本は毀損しない計算になる。名古屋市中区の商業地域・築10年RCという物件属性を考慮すれば、9ヶ月の運用期間中に25%下落するシナリオは現実的ではない。元本安全性という観点では十分な設計と言える。
事業者の戦略ストーリーは堅実だが検証が必要
事業者は「インカム型」「借入なし」「デベロッパー直営」を強調し、キャピタルゲイン依存型ファンドとの差別化を図っている。この主張は書面データと整合しており、実際にLTVは0%(借入なし)、配当原資は賃料収入のみ。ただし、「竣工から10年にわたり安定した稼働状況を維持」という記述に対し、書面では2026年3月以降の稼働率しか確認できず、それ以前の実績は「十分な資料が確認できない」と記載されている。長期安定稼働の根拠は事業者の自己申告に依存している点は留意が必要。
区分所有7室という分散と集中のジレンマ
本ファンドは29室中7室のみを投資対象としている。これは「ファンド成立の確度を高める」ための設計だが、裏を返せば同一棟内の7室に集中投資することになる。建物全体の管理状況や大規模修繕の影響を受けるリスクは1棟投資と変わらない。エンジニアリングレポートでは「ブロック塀の遵法性に疑義あり」との指摘があり、将来的な是正工事の可能性も否定できない。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県名古屋市中区千代田一丁目1501番地 |
| 物件種別 | 共同住宅(区分所有・7室) |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根5階建 |
| 築年月 | 2016年3月15日(築10年) |
| 延床面積 | 1,003.56㎡(建物全体)/ 投資対象200.89㎡ |
| テナント | 守秘義務契約のため非開示(個人6名) |
| 稼働率 | 85.7%(2026年5月時点・1室空室)→マスターリース後100% |
収益構造とNOI分析
鑑定評価書から各室のNOIを抽出し、ファンド全体の収益構造を検証する。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入(ML後) | 5,248,800円(437,400円×12ヶ月) |
| NOI合計(鑑定ベース) | 4,714,622円 |
| NCF合計(鑑定ベース) | 4,356,674円 |
| 管理運営費(見込) | 490,300円 |
| 実質NOI(推計) | 約4,758,500円 |
- キャップレート: NOI 4,714,622円 ÷ 取得価格 91,560,000円 = 5.15%
- 配当原資: インカムゲイン型(賃料収入のみ)
鑑定評価書記載のNOI合計(約471万円)と、マスターリース賃料(年間約525万円)から管理費(約49万円)を差し引いた実質NOI(約476万円)は概ね整合している。鑑定評価では還元利回り4.0%を採用しており、ファンドの実質キャップレート5.15%は保守的な水準。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価 | 約456,000円 | 約615,000円 | -26% |
| 取得価格(7室) | 91,560,000円 | - | - |
近隣取引事例(名古屋市中区千代田)では、築10年前後のRC造1K・1LDKの㎡単価は60〜76万円程度で推移している。本ファンドの取得価格91,560,000円÷投資対象面積200.89㎡=約456,000円/㎡は、近隣相場を約26%下回る水準。
この乖離の主因は「区分所有×賃貸中」という投資用物件としての評価と、「実需向け分譲」との価格差にある。賃貸中の区分マンションは利回りベースで評価されるため、実需向けより低い価格となるのは市場の常識。鑑定評価額9,640万円に対し5%ディスカウントで取得している点は、投資家にとってプラス材料。
土地評価と出口シナリオ
名古屋市中区千代田は商業地域(建蔽率80%・容積率500%)に位置し、地下鉄鶴舞線「鶴舞」駅徒歩7分という立地。2024年の公示地価では、名古屋市中区の商業地は㎡あたり50〜100万円程度で推移している。
本ファンドの土地持分(76,276分の18,411)に基づく土地相当額を概算すると:
- 敷地面積268.42㎡ × 持分比率24.1% ≒ 64.7㎡
- 仮に㎡70万円とすると土地相当額 ≒ 約4,530万円(推計)
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 3.8% | 約1.24億円 | 元本全額償還+余剰 |
| 基本 | 4.0% | 約1.18億円 | 元本全額償還 |
| 悲観 | 4.5% | 約1.05億円 | 元本全額償還(劣後で吸収) |
インカム型ファンドのため売却益は配当原資に含まれないが、元本償還の観点では鑑定評価額9,640万円を下回らない限り問題ない。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 4.0%→5.0% | ▲約2,300万円(24%下落) | バッファ内(劣後1,880万円で吸収可) |
| 空室率+10% | 85.7%→75.7% | NOI▲約47万円 | ML契約で空室リスクなし |
| 賃料下落10% | 437,400円→393,660円 | NOI▲約52万円 | ML契約期間中は影響なし |
物件価格が約1,880万円(劣後出資額)下落するまで、優先出資者の元本は毀損しない。取得価格9,156万円に対し約20.5%の下落余地があり、9ヶ月の短期運用では十分な安全マージン。
契約上の注意点
- 関連当事者取引: 物件取得先・マスターリース先・管理委託先がすべてリビングコーポレーションまたは親会社一建設。利益相反の可能性を認識した上での投資判断が必要。
- 第1号事業(匿名組合型): 倒産隔離なし。リビングコーポレーションが破綻した場合、出資金は一般債権者と同順位で弁済を受ける。
- 中途解約不可: クーリングオフ期間(8日間)を除き、原則として契約解除・持分譲渡は制限される。
- 運用期間延長の可能性: 売却が完了しない場合、事業者判断で運用期間を延長する可能性あり。
- ブロック塀の遵法性: エンジニアリングレポートで「補強コンクリートブロック造としての適合確認資料なし」との指摘あり。将来的な是正工事費用が発生する可能性。
結論
利回り3.5%は物足りないが、劣後比率20.0%・鑑定評価あり・借入なし・インカム型という「守りの設計」は評価できる。親会社マスターリースへの依存と関連当事者取引の多さが透明性を下げるものの、飯田グループの信用力を背景にした安定運用が期待できる。余剰資金の置き場所としては悪くない選択肢。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。