総評
利回り7%の内訳は「インカム4.5%+キャピタル2.5%」だが、NOI開示ゼロで計算が合わない算数。築57年地下店舗×鑑定なし4.7億円×子会社マスターリースの三重構造に、劣後10%と自己資本比率4.9%の薄い壁。出口は霧の中。
ポイント
利回り7.0%の内訳は「インカム4.5%+キャピタル2.5%」だが根拠が霧の中
書面には「利回りの内訳:インカムゲイン4.5%+キャピタルゲイン2.5%(年利・税引前)。目標値であり保証ではありません」と記載されているが、この数字を裏付けるNOI(純収益)の開示は一切ない。マスターリース契約額は年間15,725,502円と明記されているが、そこから固定資産税674,400円と修繕費等1,552,800円を差し引いた単純計算では、NOIは約1,350万円程度。物件価格4.7億円に対するNOI利回りは約2.9%にとどまり、インカム4.5%との乖離が大きい。残りの2.5%はキャピタルゲインに依存する構造だが、書面には売却先の確保状況や売却価格の根拠が一切記載されていない。「目標値であり保証ではない」という但し書きが、配当原資の不確実性を物語る。
鑑定評価なしで4.7億円の妥当性は検証不能
対象不動産の価格は472,250,000円と記載されているが、「不動産鑑定士による鑑定評価の有無」欄には「有の場合は、当該鑑定評価の結果及び方法並びに鑑定評価を行った者の氏名」の項目に「-」と記載されており、鑑定評価が実施されていない可能性が高い。価格算定方法は「取引事例比較法及び収益還元法により算出」とあるが、誰がどのような前提で算出したのか不明。近隣取引事例(赤坂エリア)の中央値は㎡単価約182万円だが、本物件は地下店舗という特殊性があり、単純比較は困難。鑑定評価なしで4.7億円の妥当性を投資家が検証する手段がない。
マスターリース先が事業者子会社という関連当事者取引
マスターリース契約の相手方は「株式会社イーズレーベル」で、書面には「関係:子会社」と明記されている。事業者(株式会社イーダブルジー)の子会社が年間1,572万円でマスターリースを引き受け、さらに各テナント事業者とサブリース契約を締結する構造。関連当事者取引は利益相反のリスクを孕むが、書面には「これまで、対象不動産における賃料の未収や滞納は一切ございません」との記載のみで、子会社の財務基盤や賃料支払能力に関する情報開示はゼロ。親会社が破綻すれば子会社も連鎖倒産するリスクがあり、マスターリース契約が絵に描いた餅になる可能性を排除できない。
築57年RC地下店舗という物件固有リスク
対象不動産は1967年12月築の鉄筋コンクリート造で、2026年5月時点で築57年を迎える。RCの法定耐用年数47年を10年超過しており、大規模修繕や設備更新のリスクが高まる時期。さらに地下1階・地下2階の店舗という特殊性があり、浸水リスクや採光・換気の制約から、テナント需要が限定される。書面には「修繕費等その他費用:1,552,800円(概算)」とあるが、築57年の地下店舗でこの金額が妥当かは疑問。想定外の修繕費が発生すれば、NOIを圧迫し配当原資が不足する。
自己資本比率4.9%の事業者が劣後10.0%を支える構造
事業者の直近期(FY2025)の自己資本比率は4.9%と極めて低く、総資産66.5億円に対して負債が63.2億円。不動産業界で標準的な20〜30%を大きく下回る財務基盤で、劣後出資3,600万円(劣後比率10.0%)を拠出する。営業利益は1.15億円と黒字だが、営業外費用2.64億円が重く、経常利益は約2,839万円まで圧縮されている。事業者が破綻すれば、匿名組合勘定の分別管理は信託法の分別管理とは異なり、本契約に係る財産は保全されない可能性があると書面に明記されている。劣後10.0%のバッファは、事業者の財務基盤の脆弱性を考慮すると心許ない。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区六本木七丁目41番34 |
| 物件種別 | 店舗(地下1階・地下2階) |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付6階建 |
| 築年月 | 1967年12月(築57年) |
| 延床面積 | B1:29.30㎡(実測54.1㎡)、B2:102.92㎡ |
| テナント | 株式会社イーズレーベル(マスターリース) |
| 稼働率 | 100%(マスターリース契約により保証) |
収益構造とNOI分析
書面記載の情報から、NOIを推計する。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入(ML契約額) | 15,725,502円 |
| 固定資産税・都市計画税 | ▲674,400円 |
| 修繕費等その他費用 | ▲1,552,800円 |
| NOI(推計) | 約13,498,302円 |
- キャップレート(推計): 13,498,302円 ÷ 472,250,000円 = 約2.9%
- 配当原資: キャピタル型(インカム4.5%+キャピタル2.5%と書面に記載)
突合結果: 書面にはNOIの明示がないため、上記は賃料収入から費用を差し引いた単純計算。NOI利回り2.9%に対し、インカムゲイン4.5%を謳う根拠が不明。差分の1.6%は何らかの収益(敷金運用益?)を想定しているのか、それとも単なる目標値なのか判然としない。キャピタルゲイン2.5%は売却益に依存するが、書面には売却先や売却価格の根拠が一切記載されていない。
市場価格検証
近隣取引事例データ(赤坂エリア、2024年第1四半期)を用いて、ファンドの物件取得価格の妥当性を検証する。
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価 | 約357万円(※1) | 約182万円 | +96% |
| 取引価格 | 472,250,000円 | 約1.78億円(平均) | +165% |
※1: 物件価格472,250,000円 ÷ 延床面積132.22㎡(B1+B2)= 約357万円/㎡
近隣取引事例の中央値(㎡単価約182万円)と比較すると、ファンド物件は約96%割高。ただし、近隣取引事例は主に居住用マンションであり、本物件は地下店舗という特殊性があるため、単純比較は困難。地下店舗は採光・換気の制約からテナント需要が限定され、一般的に居住用より㎡単価は低くなる傾向がある。にもかかわらず、本物件の㎡単価が近隣相場の約2倍という点は、取得価格の妥当性に疑問符がつく。鑑定評価がないため、この価格が合理的かどうかを検証する手段がない。
土地評価と出口シナリオ
物件の住所情報(東京都港区六本木七丁目)をもとに、土地評価を試みる。六本木エリアの公示地価は概ね㎡単価300万円〜500万円程度(推計)。本物件の土地権利割合はB1が1000分の39、B2が1000分の135で、合計1000分の174(17.4%)。土地面積321.98㎡に対する持分は約56㎡(推計)。公示地価を㎡400万円と仮定すると、土地持分相当額は約2.24億円(推計)。建物部分(築57年RC)の残存価値はほぼゼロと考えると、物件価格4.7億円のうち約2.5億円が建物・営業権等に配分されている計算になる。この配分が合理的かどうかは、鑑定評価なしでは判断不能。
出口シナリオをテーブルで示す:
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 2.5% | 約5.4億円 | 元本全額償還+キャピタル配当 |
| 基本 | 2.9%(現状) | 約4.7億円 | 元本全額償還 |
| 悲観 | 3.5% | 約3.9億円 | 劣後出資3,600万円で吸収可能(ギリギリ) |
悲観シナリオでは、物件価格が約8,000万円下落(▲17%)すると、劣後バッファ3,600万円を超過し、優先出資者の元本が毀損する。キャップレート3.5%は、築57年の地下店舗としては決して悲観的すぎる想定ではない。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+0.6% | 2.9%→3.5% | ▲約8,000万円(▲17%) | 劣後3,600万円を超過 |
| 空室率+10% | 0%→10% | NOI▲約135万円/年 | 配当減少、元本は維持 |
| 賃料下落10% | 1,572万円→1,415万円 | NOI▲約157万円/年 | 配当減少、元本は維持 |
総評: 物件価格が約8,000万円(▲17%)値下がりするまで、個人投資家の財布は無傷。ただし、キャップレートが2.9%から3.5%に上昇するだけでこの水準に達する。築57年の地下店舗という物件特性を考えると、売却時にキャップレート3.5%以上を要求される可能性は十分にある。劣後比率10.0%のバッファは、楽観的な出口シナリオを前提にすればギリギリ機能するが、悲観シナリオでは力不足。
契約上の注意点
- 関連当事者取引: マスターリース先が事業者子会社(株式会社イーズレーベル)。親会社破綻時の連鎖リスクあり。
- 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)のため、事業者破綻時に本契約に係る財産は保全されない可能性あり(書面明記)。
- 鑑定評価なし: 物件価格4.7億円の妥当性を検証する手段がない。
- 配当原資の不確実性: インカム4.5%+キャピタル2.5%の内訳は「目標値であり保証ではない」と但し書きあり。NOI開示なしで裏付け不明。
- 契約期間延長条項: 対象不動産の売却が完了しない場合、12か月を超えない範囲で契約期間を延長可能(書面明記)。出口が遅延するリスクあり。
結論
六本木という一等地の地下店舗を、劣後比率10.0%と利回り7.0%で1年勝負する短期キャピタル型ファンド。マスターリース先が事業者子会社という関連当事者取引の構造に、鑑定評価なしで4.7億円の価格妥当性を問う余地がある。NOI開示なしでインカム4.5%を謳う根拠が不明瞭で、キャピタル2.5%は売却先次第。事業者の自己資本比率4.9%という財務基盤の脆弱性も気がかり。余剰資金で短期リターンを狙う投資家向けだが、元本保全を重視するなら静観が賢明。
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