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No.38 港区元麻布2丁目ファンド

TORCHES ・ 分析日: 2026年06月08日 ・ RE:Insight AI

総評

年利17%の輝きに目を奪われるな。劣後比率1.0%は価格1%下落で即・元本毀損、鑑定評価なしの14.6億円は親会社仕入れに8.5%上乗せ、売却先未定で出口は霧の中——これは投資ではなく、元麻布の地名だけを担保にした射幸ゲーム。

インカム型高利回り運用4.0
予定利回り
17%
運用期間
4.0
募集総額
14.5億円
劣後比率
1.0%
所在地
東京都港区元麻布2丁目11番53号
種別
不動産
▶ 公式サイトで詳細を見る
3.0
収益性
2.0
透明性
1.8
元本安全性
3.0
事業者信頼性

ポイント

鑑定評価なしで14.6億円の妥当性は検証不能

本ファンド最大の問題は、不動産鑑定士による鑑定評価が「未取得」である点だ。契約書面には「外部への調査、類似エリア、類似物件との取引事例の比較等により妥当性を判断し、本事業者が算定した評価額を基に価格を決定」とあるが、その「外部調査」の具体的内容は一切開示されていない。14.6億円という価格が適正なのか、投資家には検証する術がない。

さらに深刻なのは、この土地が親会社エムトラスト株式会社から13.45億円で取得される予定という点だ。ファンド取得価格14.6億円との差額1.15億円(約8.5%)は、事実上の「グループ内マージン」として事業者側に流れる構造になっている。鑑定評価があれば第三者の目で価格の妥当性を確認できるが、それすらない状態で関連当事者取引が行われる。

劣後比率1.0%は「ないに等しい」安全弁

書面には「TORCHES株式会社が1%以上の劣後出資を行います」と記載されている。劣後出資総額は1,460万円、優先出資総額は14億4,540万円だ。この劣後比率1.0%が意味するのは、物件価格が1%(約1,460万円)下落しただけで、投資家の元本毀損が始まるということ。

港区元麻布という一等地であっても、不動産価格は市況次第で数%程度の変動は日常茶飯事だ。4ヶ月という短期間で売却できなければ最大2年の延長が可能とされているが、その間に市況が悪化すれば、1%の劣後バッファは一瞬で吹き飛ぶ。投資家は事実上、裸で市場リスクに晒されている。

売却先未定のキャピタル型——出口戦略は「希望的観測」

本ファンドは賃料収入を得ない純粋なキャピタルゲイン型だ。書面には「賃貸借契約数:該当なし」「全賃料収入:該当なし」と明記されており、運用期間中の収益はゼロ。配当原資は100%売却益に依存する。

事業者はサイトで「周辺地価10年で約82.8%上昇」「麻布台ヒルズ開業」「再開発進行中」と景気の良いストーリーを展開しているが、肝心の売却先は未定だ。「適切なタイミングでの売却を行い、キャピタルゲインの獲得を目指します」という文言は、裏を返せば「売れるかどうかは分からない」という意味でしかない。

事業者の財務基盤は脆弱——売上4,577万円で14.6億円を動かす

TORCHES株式会社の直近期(FY2025)の売上高は4,577万円、営業利益は81.5万円。自己資本比率93.2%という数字は一見健全に見えるが、これは資本金1億円に対して事業規模が極めて小さいことの裏返しだ。

本ファンドの募集額14.6億円は、同社の年間売上高の約32倍に相当する。万が一、売却が長期化し運転資金が必要になった場合、この財務基盤で対応できるのか疑問が残る。匿名組合型のため倒産隔離はなく、事業者の信用リスクがそのまま投資家に跳ね返る構造だ。

登記簿の「条件付所有権移転仮登記」が示す複雑な権利関係

書面の登記情報を見ると、現在の所有者は「ヤマワケエステート株式会社」であり、「条件付所有権移転仮登記」として「株式会社安田建設」への売買(条件:売買代金完済)が記載されている。つまり、この土地は現時点で複数の権利関係が絡み合っている状態だ。

書面には「甲区及び乙区に第三者の権利が記載されている場合は、運用開始日迄に抹消を予定しています」とあるが、この権利関係の整理が予定通り進むかどうかは不透明だ。投資家は、権利関係がクリアになった状態で取得されることを「信じる」しかない。

物件概要

項目 内容
所在地 東京都港区元麻布二丁目418番2
物件種別 土地(更地)
地目 宅地
地積 271.30㎡(約82坪)
権利形態 所有権
用途地域 第1種中高層住居専用地域
建ぺい率/容積率 60%/300%
テナント なし(更地)
稼働率 該当なし

収益構造とNOI分析

本ファンドは更地の売買を目的としており、賃貸収入は発生しない。したがってNOI(営業純収益)は算出不能だ。

項目 金額
年間賃料収入 0円(更地のため)
管理費 該当なし
火災保険料 該当なし
固都税 非開示
NOI 算出不能
  • キャップレート: 算出不能(収益物件ではないため)
  • 配当原資: キャピタルゲイン型(売却益100%依存)

配当利回り17%を実現するには、4ヶ月間で約8,300万円の売却益(優先出資者への分配分)を確保する必要がある。これは取得価格14.6億円に対して約5.7%の値上がりを意味する。売却先が確定していない状態で、この利益を「予定」として提示している点に注意が必要だ。

市場価格検証

近隣取引事例データは主に中古マンションの成約情報であり、更地の土地取引とは直接比較が困難だ。ただし、参考として港区内の取引動向を確認する。

比較項目 ファンド物件 港区マンション中央値 備考
㎡単価 約538万円/㎡ 約183万円/㎡ 土地とマンションで比較困難
取得価格 14.6億円 更地82坪

ファンドの土地取得価格14.6億円を地積271.30㎡で割ると、㎡単価は約538万円となる。事業者がサイトで引用している公示地価(港-14)は276万円/㎡(2026年)であり、ファンド取得価格はこの約1.95倍だ。

この乖離について、事業者は「外部への調査、類似エリア、類似物件との取引事例の比較等により妥当性を判断」としているが、その具体的な根拠は開示されていない。公示地価の約2倍という価格設定が妥当かどうか、投資家には判断材料がない。


土地評価と出口シナリオ

港区元麻布2丁目の公示地価(港-14)は2026年時点で276万円/㎡。これを本物件の地積271.30㎡に乗じると、公示地価ベースの土地評価額は約7.49億円となる。ファンド取得価格14.6億円は、この約1.95倍だ。

ただし、公示地価は標準的な画地を前提としており、実際の取引価格は立地・形状・接道状況等により大きく変動する。本物件は約82坪のまとまった土地であり、希少性プレミアムが乗る可能性はある。しかし、その「プレミアム」がどの程度妥当なのかを検証する鑑定評価がない。

シナリオ 想定売却価格 投資家への影響
楽観 16億円以上 元本全額償還+年利17%配当達成
基本 15億円程度 元本全額償還+配当は縮小
悲観 14億円以下 劣後1%では吸収不能、元本毀損

出口の成否は、4ヶ月以内に15億円以上で購入する買い手が現れるかどうかに完全に依存している。


ストレステスト

本ファンドは収益物件ではないため、キャップレートや空室率によるストレステストは適用できない。代わりに、売却価格の変動による元本毀損リスクを検証する。

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
売却価格▲1% 14.6億円→14.45億円 ▲1,460万円 劣後1,460万円で丁度吸収
売却価格▲3% 14.6億円→14.16億円 ▲4,380万円 劣後超過、元本毀損約2,920万円
売却価格▲5% 14.6億円→13.87億円 ▲7,300万円 劣後超過、元本毀損約5,840万円
売却価格▲10% 14.6億円→13.14億円 ▲1.46億円 劣後超過、元本毀損約1.31億円

物件価格が3%下落しただけで、投資家の元本毀損が始まる。港区の一等地とはいえ、不動産市況の変動や買い手との交渉次第で3%程度の価格変動は十分にあり得る。劣後比率1.0%という設定は、投資家保護の観点からは極めて脆弱と言わざるを得ない。


契約上の注意点

  • 関連当事者取引: 対象不動産は親会社エムトラスト株式会社から13.45億円で取得予定。ファンド取得価格14.6億円との差額1.15億円はグループ内で留保される構造。
  • 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)のため、事業者が破産した場合、匿名組合財産は保全されない。
  • 契約期間延長リスク: 売却が完了しない場合、最大2年間の延長が可能。その間、配当は発生しない可能性がある。
  • 鑑定評価未取得: 14.6億円という価格の妥当性を第三者が検証していない。
  • 権利関係の複雑さ: 現時点で条件付所有権移転仮登記が存在し、運用開始までに抹消予定とされているが、確約ではない。

結論

年利17%という高利回りの裏側には、鑑定評価なし・劣後比率1.0%・売却先未定という三重のリスクが隠れている。「元麻布ブランド」への過度な期待だけで14.6億円を投じるには、あまりにも検証材料が乏しい。

⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。