総評
利回り5.5%の半年勝負。ただし建物完成までの"つなぎ"に過ぎず、本当の出口は第2期以降。劣後10.1%は標準装備だが、鑑定なし6,860万円の価格は事業者の言い値。NOI非開示で収益の裏側は霧の中。
ポイント
第1期は「建築するだけ」で終わる未完結構造
本ファンドの運用期間180日は、建物完成までの期間に過ぎない。契約書面には「第2期以降にて売却を想定したスキーム」と明記されており、投資家は第1期終了時点で売却益を得られる保証がない。第1期の配当原資は何か。建築中の物件から賃料収入は発生しない。アップフロントフィー(年利2.2%相当)を差し引いた後の「実質利回り」で配当を捻出する構造だが、その原資は出資金の一部を取り崩す形に近い。第2期への継続を前提としたスキームであり、単独ファンドとしての完結性に疑問が残る。
鑑定評価なしで6,860万円の妥当性は検証不能
物件価格6,860万円の算定根拠は「近傍の類似物件の取引実例に基づいた評価額」とあるのみ。不動産鑑定士による鑑定評価は実施されていない。新築戸建3戸(延床面積合計230.23㎡、土地面積合計326.93㎡)で6,860万円は、1戸あたり約2,287万円。岐阜市郊外の新築戸建としては妥当な水準にも見えるが、第三者による客観的な価格検証がない以上、事業者の言い値を信じるしかない。投資家にとって「高値掴み」のリスクを排除できない構造だ。
NOI非開示で利回り5.5%の裏付けが見えない
マスターリース賃料は月額336,000円(年間403.2万円)と開示されているが、管理費・保険料・固都税などの費用項目が一切開示されていない。NOI(純営業収益)が不明なため、利回り5.5%が物件の収益力に裏付けられたものか検証できない。仮にNOIを年間賃料の80%(約322万円)と仮定すると、キャップレートは4.7%程度。岐阜市郊外の新築戸建賃貸としては標準的だが、これはあくまで推計に過ぎない。
事業者TSONの財務基盤は薄氷の上
TSONは276件のファンド運用実績を持ち、元本割れ・償還遅延ゼロを謳う。しかし財務データを見ると、自己資本比率は9.1%と極めて低い。純資産5.6億円に対して総資産61.8億円。2025年度は黒字転換(当期純利益9,194万円)を果たしたが、2023年度は赤字だった。不動産クラファン事業者としてレバレッジが高いのは通常だが、万が一の事業者破綻時には匿名組合勘定の分別管理は信託法の保護対象外であり、出資金が保全されない可能性がある。
空室保証は外部保証会社だが詳細不明
プロジェクト概要では「完成後は空室保証付」「外部の保証会社によるもの」と記載されているが、保証会社の名称・保証条件・保証期間は契約書面に明記されていない。マスターリース先は「株式会社BB保証(予定)」とあるが、これは建物着工後に契約締結予定であり、現時点では確定していない。空室保証の実効性を投資家が事前に検証することは困難だ。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 岐阜県岐阜市柳津町高桑一丁目151番の一部 |
| 物件種別 | 新築戸建賃貸住宅(3戸) |
| 構造 | 木造2階建て(2×4構造) |
| 築年月 | 2026年11月(予定) |
| 延床面積 | 230.23㎡(3戸合計) |
| 土地面積 | 326.93㎡(3戸合計) |
| テナント | 株式会社BB保証(予定) |
| 稼働率 | 建物竣工前のため記載なし |
収益構造とNOI分析
本ファンドは開発型であり、運用期間180日は建物完成までの期間。賃料収入が発生するのは建物完成後の第2期以降となる。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入(予定) | 4,032,000円 |
| 管理費 | 非開示 |
| 火災保険料 | 非開示 |
| 固都税 | 非開示 |
| NOI | 算出不能 |
契約書面にはNOI算出に必要な費用項目が開示されていない。仮に年間賃料の20%を費用と仮定すると、NOIは約322万円、キャップレートは4.7%程度となる。ただしこれは推計であり、実際の収益性は不明。
配当原資について、第1期は建築期間中のため賃料収入は発生しない。分配シミュレーションによると、アップフロントフィー(実質1.08%)を差し引いた後、年利換算5.5%相当の分配金を支払う構造。この配当原資は第2期での売却益を前提としたものと推測されるが、第1期単独での配当原資の明確な説明はない。
市場価格検証
近隣取引事例データから、岐阜市内の宅地(土地と建物)の取引価格を抽出して比較する。
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引参考値 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1戸あたり価格 | 約2,287万円 | 3,600万〜4,400万円 | 近隣新築戸建(2020〜2024年築) |
| 土地㎡単価 | 約21万円/㎡ | 15〜20万円/㎡ | 岐阜市住宅地の取引事例 |
近隣取引事例では、茜部本郷の新築戸建(2022年築・軽量鉄骨造・115㎡)が4,400万円、同地区の木造新築(2020年築・115㎡)が3,600万円で取引されている。本ファンドの1戸あたり約2,287万円は、延床面積が約77㎡と小ぶりであることを考慮すると、㎡単価では近隣相場と概ね整合する。
ただし、柳津町高桑は岐阜市中心部から離れた郊外エリアであり、最寄駅(南宿駅)まで自転車11分という立地。駅徒歩圏外の戸建賃貸需要がどの程度あるかは慎重に見る必要がある。
土地評価と出口シナリオ
岐阜市柳津町の公示地価・路線価の公開情報からは、当該地点の正確な地価を特定することは困難。一般的に岐阜市郊外の住宅地は㎡あたり4〜6万円程度が相場であり、土地面積326.93㎡の土地持分相当額は概算で1,300〜1,960万円程度と推計される(あくまで概算)。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 4.0% | 約8,050万円 | 元本全額償還+キャピタル配当 |
| 基本 | 5.0% | 約6,440万円 | 元本全額償還(ギリギリ) |
| 悲観 | 6.0% | 約5,370万円 | 劣後出資で吸収可能か要検討 |
※NOI322万円(推計)を基に算出。実際のNOIが異なれば売却価格も変動する。
基本シナリオでは売却価格が取得価格6,860万円を下回る可能性があり、劣後出資690万円(10.1%)で吸収できるかは微妙なライン。出口戦略の成否は第2期以降の市況次第となる。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 5.0%→6.0% | ▲約1,070万円(15.6%下落) | バッファ超過の可能性 |
| 賃料下落10% | 336千円→302千円 | NOI▲約32万円 | 売却価格▲約640万円 |
| 空室率+10% | 0%→10% | NOI▲約32万円 | 売却価格▲約640万円 |
劣後出資690万円は物件価格の約10.1%。キャップレートが1%上昇すると物件価値は約1,070万円下落し、劣後バッファを超過する。新築戸建賃貸は中古マンションに比べて流動性が低く、売却時の価格交渉で不利になりやすい点も考慮すべきだ。
契約上の注意点
- 第1期・第2期の分割構造: 本ファンドは建物完成までの第1期のみ。売却は第2期以降の想定であり、第1期終了時点での出口が不明確
- 鑑定評価なし: 物件価格6,860万円の第三者検証がなく、価格妥当性を投資家が判断できない
- マスターリース契約未締結: 「株式会社BB保証(予定)」との契約は建物着工後に締結予定。現時点では確定していない
- 自己取引: 対象不動産は事業者TSONの固有資産を匿名組合勘定に移管するもの。利益相反の可能性あり
- 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)であり、事業者破綻時には出資金が保全されない可能性がある
- 契約期間延長条項: 売却完了しない場合、6ヶ月を超えない範囲で契約期間を延長可能
結論
開発型ファンドとしての構造は理解できるが、第1期単独での完結性がなく、鑑定評価・NOI開示もない。事業者の実績は豊富だが財務基盤は薄い。余剰資金での分散投資先としては検討可能だが、メインの投資先としては情報開示の不足が気になる。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。