ホーム データレポート 運用終了から入金まで7日か79日か|不動産クラファンの資金拘束期間を19ファンドで比較

運用終了から入金まで7日か79日か|不動産クラファンの資金拘束期間を19ファンドで比較

データレポート ・ 分析日: 2026年08月24日 ・ RE:Insight AI

不動産クラウドファンディングのファンドを選ぶとき、多くの投資家がまず見るのは想定利回りと運用期間だろう。「年利6.1%、運用期間361日」と書かれていれば、およそ1年で6.1%と読む。

しかし投資家の資金が実際に拘束されるのは、運用期間ではない。入金してから着金するまでである。運用が終わってから実際にお金が戻るまでには、事業者によってはさらに2ヶ月以上かかる。当サイトが19ファンドの公開スケジュールを実測したところ、この清算期間には11倍の開きがあった。

本稿では、この資金拘束期間をプラットフォーム比較の軸として整理する。

資金拘束は5つの区間に分かれる

投資家の資金が動く過程は、次の5段階に分解できる。

区間 内容 資金の状態
募集期間 申込の受付 手元にある
入金期日まで 出資金の払込 払込で手元を離れる
待機期間 入金から運用開始まで 拘束されるが運用されていない
運用期間 表示利回りの計算対象 運用中
清算期間 運用終了から払い戻しまで 拘束されるが運用は終了

表示利回りが対象としているのは、このうち運用期間だけである。待機期間と清算期間は、資金が拘束されているにもかかわらず、利回り計算の分母に入っていない。

待機期間中の資金の扱いについては、書面に記載がある。たとえばTSONの契約成立前書面には、払込日から運用開始までの期間、出資金は指定預金口座で無利息のまま管理される旨が明記されている。

規約はほぼ全社が同じ

まず、契約書面上どう定められているかを確認した。当サイトは26プラットフォームの契約成立前書面と約款を保有しており、そこから分配に関する条項を横断的に抽出した。

結果はほぼ一律だった。分配金と出資金の支払期限は、多くの事業者が「各計算期間末の属する月の2ヶ月後応当月の最終営業日まで」と定めている。

表記のゆれは事業者ごとにある。「2ヶ月後応当月」(DARWIN funding、Jointoα、KORYO Funding、くじらファンディング、Rimple、TORCHES、利回り不動産、らくたま)、「2か月後応当月」(GOLD CROWD、SENSE OWNERS、TOMOTAQU、TSON、みんなの年金)、「2ヶ月後の応当月」(TREC FUNDING)など。なかには「応当月」を「応答月」と誤記している書面も複数あり、同一の雛形が業界内で広く使われていることがうかがえる。内容はいずれも同じである。

つまり制度上は、運用終了の翌々月末まで待たされる可能性が、業界のほぼ全社に共通して存在する。これは異常でも例外でもなく、標準的な契約条項である。

TSONは公式サイトの「申込みの流れ」でも、運用終了月の翌々月までに配当および出資金を振り込む旨を説明しており、書面とサイト説明が一致している。

実際の遷移も観測している。同社の「AI勝率一番180」28号は、契約期間の満了日が2026年6月20日、書面上の払い戻し期限は8月の最終営業日にあたる。当サイトの日次記録では、8月20日時点で「運用中」、8月21日時点で「運用終了」となっていた。規約に沿った運用である。

しかし実際の設定には11倍の差がある

規約が横並びであれば、実際も同じかというとそうではない。各ファンドの公開スケジュールに記載された「運用終了予定日」と「払い戻し期日」から、清算期間の実日数を計算した。

プラットフォーム ファンド 清算期間
らくたま 2号 7日
らくたま 1号 8日
TORCHES 60号 14日
TORCHES 61号 15日
SENSE OWNERS No.03 15日
SENSE OWNERS No.02 16日
DARWIN funding 開発型23号 26日
DARWIN funding 開発型24号 27日
TSON SMART FUND141号 30日
KORYO Funding MC#1 30日
ASSECLI 白金台2号 30日
SHIODOME funding 2号 30日
KORYO Funding MC#2 31日
ASSECLI 都庁前1号 31日
SHIODOME funding 1号 31日
Rimple #1 47日
Rimple #2 49日
ZOLOME 新神戸駅前 60日
ZOLOME 熊内町 79日

同じ「最大2ヶ月」という規約の下で、実際の設定は7日から79日まで分布している。規約の上限をどこまで使うかは、事業者の設計判断に委ねられている。

なお、この表はログインなしで公開されているファンド詳細ページから日付を取得できたものに限られる。会員登録が必要なプラットフォームや、スケジュールを画像で掲載しているプラットフォームは含まれていない。網羅的なランキングではなく、開きの大きさを示す実例として読んでいただきたい。

待機期間にも差がある

入金期日から運用開始までの待機期間も同様に計算した。

プラットフォーム ファンド 待機期間
TSON SMART FUND141号 3日
らくたま 2号 5日
TORCHES 60号 6日
らくたま 46号 7日
TORCHES 61号 7日
SENSE OWNERS No.02 7日
らくたま 1号 12日
SENSE OWNERS No.03 12日
KORYO Funding MC#1 16日

清算期間ほどの開きはないが、それでも3日から16日の幅がある。待機期間と清算期間を合計すると、運用外の拘束日数は最短で10日程度、長い場合は3ヶ月近くになる。

短縮を競争軸にしている事業者がある

清算期間を短く設定している事業者は複数ある。実測でらくたまが7〜8日、TORCHESが14〜15日、SENSE OWNERSが15〜16日と、いずれも規約上限の2ヶ月を大きく下回る設定になっている。

なかでも、この点を明示的に商品設計へ組み込み、訴求しているのがらくたまである。

らくたまは、運用終了後およそ1週間以内で配当と償還を行うスケジュール設定を採ることを、ファンド詳細ページで公表している。1号ファンドの資金効率を見直し、募集期間・入金期間・払戻日までの期間を短縮したという経緯も記載されている。実測でも1号が8日、2号が7日で、記載と整合する。

同社はこれを「5日ルール」と名付け、ファンドの特徴として掲げている。同社の説明によれば、資金拘束される主要日程を短縮することで、実質的な収益性の向上とリスク低減を図る仕組みとされる。

同社が公表している試算では、一般的なスケジュール例(入金10日・待機15日・運用361日・払戻60日)で資金回収まで446日、実質利回り4.93%となるのに対し、同社のスケジュール(入金5日・待機6日・運用361日・払戻5日)では377日、実質利回り5.84%になるとしている。表示利回りが同じ6.1%でも、0.90ポイントの差が生じるという主張である。

これは事業者自身による自社に有利な試算であり、そのまま受け取るべきものではない。ただし、資金拘束期間が実質利回りを左右するという指摘そのものは、上記の実測データとも整合する。

実質利回りの計算方法

読者が自分で計算できるよう、手順を示す。

必要なのは4つの日付である。入金期日、運用開始予定日、運用終了予定日、払い戻し期日。いずれもファンド詳細ページの運用スケジュール欄に記載されていることが多い。

実質利回りは次の式で概算できる。

実質利回り = 表示利回り × 運用日数 ÷ 拘束日数

拘束日数は入金期日から払い戻し期日までである。

例として、らくたま46号(表示6.1%、運用期間361日)を計算する。入金期日2026年8月24日、運用開始8月31日、運用終了予定2027年8月26日。払い戻しが同社の設定どおり運用終了の5日後とすれば、拘束日数は372日、運用日数は360日となり、実質利回りは約5.90%になる。表示との差は0.2ポイント程度である。

一方、ZOLOMEの熊内町EXITファンドは表示16.0%、運用期間は約3ヶ月とされている。想定スケジュールでは運用9月9日から12月9日、償還および分配は2027年2月26日。100万円あたりの分配金の目安は40,300円と表示されている。

この分配金を、運用開始から償還までの170日で割り戻すと年率約8.7%、入金から償還までの約199日で割り戻すと約7.4%となる。表示16.0%は運用期間約91日を前提とした数字であり、資金拘束期間全体で見ると半分程度になる計算である。

なお、ZOLOMEも償還予定日と分配予定日をファンド概要に明記しており、情報を隠しているわけではない。ただし本文では約3ヶ月の短期運用であることが繰り返し訴求されており、実際の拘束期間が約6ヶ月に及ぶこととの間には、認識の隔たりが生じうる。

拘束期間が長いことは、それ自体が悪いわけではない

ここまで日数の差を並べたが、清算期間が長いプラットフォームが劣っていると単純に結論づけることはできない。

清算期間の長さは、物件の売却手続きや決済の実務、事業者の資金繰りなど複数の要因で決まる。余裕を持った設定は、期日を守れずに延長するリスクを下げる方向にも働く。実際、TSONやZOLOMEを含む多くの事業者が、売却が完了しない場合に契約期間を延長できる条項を書面に置いている。延長可能な上限は事業者によって異なり、TSONは6ヶ月以内、ZOLOMEは2年以内、CREALは通算60ヶ月を超えない範囲と定めている。

重要なのは、拘束期間が長いか短いかではなく、それを認識したうえで利回りを評価することである。表示利回りだけを横に並べて比較すると、拘束期間の差が見えない。

確認すべきこと

  1. 4つの日付を揃えて確認する。 入金期日、運用開始予定日、運用終了予定日、払い戻し期日。記載がない場合は、契約成立前書面の分配に関する条項を確認する。
  2. 実質利回りに直して比較する。 表示利回り × 運用日数 ÷ 拘束日数。複数ファンドを比較するときは、この数字で揃える。
  3. 短期ファンドほど影響が大きい。 運用3ヶ月のファンドに2ヶ月の清算期間が付けば、実質利回りは4割以上下がる。運用1年なら影響は小さい。
  4. 延長条項の上限を確認する。 想定どおりに売却できなかった場合、拘束期間はさらに伸びる。上限は事業者によって6ヶ月から数年まで幅がある。

まとめ

資金拘束期間は、利回りや劣後比率と違って、比較表に載ることがほとんどない項目である。しかし公開されているスケジュールから誰でも計算できる。

契約書面上の規約は業界でほぼ横並びだが、実際の設定には11倍の開きがあった。同じ表示利回りのファンドでも、資金が戻ってくるタイミングが1週間後か3ヶ月後かで、投資家の実質的な収益は変わる。

不動産クラウドファンディングを複数のプラットフォームで運用している投資家にとって、資金が早く戻ることは次の投資機会につながる。表示利回りの小数点以下を比べる前に、いつ資金が戻るかを確認する価値はある。


参照した一次資料

  • 各プラットフォームのファンド詳細ページ運用スケジュール(19ファンド)
  • 26プラットフォームの契約成立前書面・不動産特定共同事業契約約款
  • 株式会社TSON 公式サイト「申込みの流れ」
  • 当サイトのファンドステータス日次観測記録(2026年8月)

⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight編集部が各事業者の公開情報・契約成立前書面等の一次資料に基づき作成したデータレポートです。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各種一次資料を直接ご確認ください。