総評公式サイトを見る →
利回り10.2%の甘い蜜は、築38年の老人ホームを親会社マネーで延命させる綱渡り設計から滴る。劣後比率8.6%、鑑定額と出資額の差額わずか36万円——のりしろなき構造。キャップレートが1%動けばバッファは消え、親会社の信用力が揺らげば賃料も消える。倒産隔離なしの第1号事業、余剰資金で張るなら覚悟の上で。
ポイント
利回り10.2%の原資は親会社からの固定賃料一本槍
本ファンドの配当原資は、事業者AUGENの100%親会社である株式会社つばさメディカルグループから受領する月額210万円(年額2,520万円)の固定マスターリース賃料のみ。書面には固定資産税約169万円・火災保険料約38万円の記載があり、これを控除した年間NOIは約2,310万円と推計される。優先出資2.13億円に対する年間配当は約2,173万円(利回り10.2%)であり、NOIに対する配当性向は約94%。余裕は年間137万円程度しかなく、修繕費や追加費用が発生すれば配当原資を食い潰す綱渡り設計だ。
鑑定評価額と出資総額が「ほぼ同額」という危うさ
鑑定評価額2億3,336万円に対し、出資総額は2億3,300万円。差額はわずか36万円であり、物件価格が0.15%下落しただけで劣後バッファに食い込む計算になる。事業者は「優先出資額は鑑定評価額の約91%」と説明するが、これは劣後出資2,000万円を含めた総額との比較であり、鑑定額と総出資額がほぼ同額である事実を覆い隠すレトリックに過ぎない。築38年のRC造老人ホームが6ヶ月後に鑑定額どおりで売却できる保証はどこにもない。
親子間マスターリースは「利益相反の温床」
マスターリース賃借人であるつばさメディカルグループは、事業者AUGENの100%親会社。賃料設定・契約継続・退去時の対応すべてがグループ内で完結するため、投資家の利益より親会社の都合が優先されるリスクが構造的に内在する。書面には「賃料の支払は同社の信用力に依存」と明記されているが、親会社の財務情報は一切開示されていない。信用力を判断する材料がないまま「信用力に依存」と言われても、投資家は祈るしかない。
第1号事業ゆえの倒産隔離なし
本ファンドは不動産特定共同事業法の第1号事業であり、対象不動産の所有権は事業者AUGENに帰属する。SPCを用いた特例事業とは異なり、事業者が破綻すれば対象不動産は破産財団に組み込まれ、投資家は一般債権者として配当を待つ立場に転落する。書面にも「本事業に係る財産の分別管理は、信託法第34条に基づく分別管理とは異なる」と明記されており、倒産隔離は機能しない。事業者の財務基盤が脆弱であれば、物件の価値とは無関係に元本が毀損するシナリオが現実味を帯びる。
「レール方式」は資金繰りの自転車操業
事業者は「ショート→ミドル→スタンダード」と同一物件を継続保有しながら後続ファンドで前ファンドを償還する「レール方式」を採用している。これは本質的に、新規投資家の出資金で既存投資家を償還する構造であり、募集が不調に終われば資金繰りが詰まる。書面には「一般投資家からの調達額が必要額に達しない場合は、不足分を営業者側が優先出資として拠出」とあるが、事業者の自己資本は約1億円。複数ファンドで同時に募集不調が起きれば、自己資金での穴埋めにも限界がある。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 北海道札幌市北区北二十条西六丁目 |
| 物件種別 | 住宅型有料老人ホーム |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根4階建 |
| 築年月 | 昭和62年1月(築38年) |
| 延床面積 | 1,649.40㎡ |
| テナント | 株式会社つばさメディカルグループ(マスターリース) |
| 稼働率 | 100%(マスターリース契約上) |
収益構造とNOI分析
書面には年間賃料収入・管理費・維持費の詳細な内訳が記載されておらず、実額ベースのNOIは算出できない。以下は書面記載の固定資産税・火災保険料のみを控除した暫定的な推計である。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間マスターリース賃料 | 25,200,000円 |
| 固定資産税 | ▲1,689,000円 |
| 火災保険料(地震保険含む) | ▲377,000円 |
| NOI(暫定推計) | 約23,100,000円 |
- キャップレート(暫定推計): 約9.9%(NOI 2,310万円 ÷ 出資総額 2.33億円)
- 配当原資: インカムゲイン型(マスターリース賃料)
※上記NOIは修繕費・管理費等を含まない暫定値であり、実際のNOIは下振れする可能性がある。事業者提供の投資概要説明書では「修繕費等は原則としてマスターリース契約に基づき賃借人が負担」とあるが、契約成立前書面には「本事業者の負担とされる費用が発生した場合には本事業の収益に影響を与える」との記載もあり、費用負担の境界は曖昧だ。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価 | 約141,000円 | 約130,000円 | +8.5% |
| 取引価格 | 233,000,000円 | 27,170,000円(平均) | 比較困難 |
近隣取引データは主に中古マンション・宅地であり、老人ホームとの直接比較は困難。ただし、札幌市北区の宅地取引では㎡単価10〜30万円が相場帯であり、本物件の土地持分(833㎡)を仮に㎡15万円で評価すると約1.25億円。築38年のRC建物の残存価値を加味しても、鑑定評価額2.33億円は「収益還元法で高めに出した」印象が拭えない。
土地評価と出口シナリオ
札幌市北区北20条西6丁目周辺の公示地価は、第二種中高層住居専用地域で㎡10〜15万円程度が目安。本物件の土地面積833㎡に対し、㎡12万円で概算すると土地持分は約1億円。築38年のRC建物は減価償却がほぼ完了しており、建物価値は限定的。土地+建物で1.5億円程度が保守的な見積もりとなる。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 9.0% | 約2.57億円 | 元本全額償還+キャピタル配当 |
| 基本 | 10.0% | 約2.31億円 | 元本全額償還(ギリギリ) |
| 悲観 | 12.0% | 約1.93億円 | 劣後バッファ超過・元本毀損 |
基本シナリオでも売却価格が出資総額を下回る可能性があり、悲観シナリオでは優先出資者の元本が約4,000万円毀損する計算になる。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 9.9%→10.9% | ▲約1,900万円(約8%下落) | バッファ超過 |
| 空室率+10% | 100%→90% | NOI▲約250万円 | 配当原資不足 |
| 賃料下落10% | 210万円→189万円 | NOI▲約250万円 | 配当原資不足 |
劣後出資2,000万円は出資総額2.33億円の約8.6%に相当する。物件価格が約2,000万円(約8.6%)下落すれば劣後バッファは枯渇し、それ以上の下落は優先出資者の元本を直撃する。築38年の老人ホームが6ヶ月後に鑑定額どおりで売却できる保証はなく、キャップレートが1%上昇しただけで元本毀損ラインを突破する。
契約上の注意点
- 関連当事者取引: マスターリース賃借人は事業者の100%親会社であり、賃料設定・契約継続に利益相反リスクが内在する。
- 倒産隔離なし: 第1号事業のため、事業者破綻時は対象不動産が破産財団に組み込まれる。
- 契約期間延長条項: 対象不動産の売却が完了しない場合、2年を超えない範囲で契約期間が延長される可能性がある。
- レール方式の資金繰りリスク: 後続ファンドの募集不調時は事業者が自己資金で穴埋めする設計だが、自己資本約1億円では複数ファンド同時不調に耐えられない。
- 親会社の財務情報非開示: 賃料支払能力の根拠となる親会社の財務データが一切開示されておらず、信用力の検証が不可能。
結論
利回り10.2%は目を引くが、築38年の老人ホームを親会社へのマスターリースで回し、鑑定額と出資総額がほぼ同額という「のりしろゼロ」設計。劣後比率8.6%では物件価格の小幅な下落にも耐えられず、第1号事業ゆえの倒産隔離なしが追い打ちをかける。余剰資金での短期運用と割り切れるなら検討余地はあるが、老後資金を預ける先としては心許ない。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。