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劣後比率0%は「盾なき戦場」への出陣を意味する。利回り6.3%のうち4.4%は売却益頼み、バリューアップが空振れば配当は3割減。鑑定評価額との11.8%乖離が唯一の緩衝材だが、都市計画道路リスクを抱える物件①の出口は霧の中。
ポイント
劣後比率0.0%は「投資家が最前線に立つ」構造
本ファンドは優先劣後構造を採用していない。これは「物件価格が1円でも下落すれば、その損失は全額投資家が負担する」ことを意味する。事業者は「想定を上回る運用成果が得られた場合は、想定利回り以上のリターンを期待できます」と説明するが、裏を返せば下振れリスクも全て投資家が引き受ける構造だ。LTV54.7%の借入があるため、物件価格が45.3%下落すると投資家の元本は全損する。鑑定評価額32.3億円に対し取得価格28.5億円(約11.8%のディスカウント)という安全マージンはあるものの、劣後バッファがゼロである以上、市況悪化時の防波堤は存在しない。
バリューアップ戦略の前提条件は楽観的
事業者は「周辺相場と比較して現在の賃料単価が割安」として、入替時の賃料適正化と既存契約の10%増賃を計画している。しかし書面には現行賃料と「適正賃料」の具体的な比較データが示されていない。年間回転率20%を想定しているが、築浅物件で入居者が安定している場合、想定どおりの退去が発生しない可能性もある。また、既存入居者への10%増賃交渉は、賃借人保護の観点から容易ではない。バリューアップが計画どおり進まなければ、キャピタルゲイン相当4.4%の配当原資が確保できず、利回りは大幅に下振れする。
グループ会社への一括賃貸は利益相反の温床
マスターリース先はクリアルパートナーズ株式会社(クリアル100%子会社)。物件①王子の月額賃料6,134,689円、物件②八広の月額賃料3,901,433円が固定されるため、空室リスクは軽減される。しかし、マスターリース賃料が市場相場と比較して適正かどうかの検証材料が乏しい。さらに、売却時には売却益の20%がクリアルへのインセンティブ報酬として徴収される。投資家が全リスクを負いながら、アップサイドの2割を事業者が持っていく構造は、利益相反の観点から注意が必要だ。
都市計画道路の存在は物件①王子の出口リスク
物件①王子の敷地の一部には都市計画道路(環状5-2号線)が計画決定されている。書面には「建築物を建築する場合には、原則として、東京都知事の許可が必要」「階数が3以下、高さが10m以下」等の制限が明記されている。現状の14階建RC造は既存不適格となる可能性があり、将来の建替えや大規模修繕に制約が生じる。売却時に買主がこのリスクをどう評価するかは不透明であり、出口価格の下押し要因となりうる。
倒産隔離スキームは評価できるが万能ではない
本ファンドはSPC(アケルナル合同会社)を活用した倒産隔離スキームを採用している。クリアル本体が倒産しても、対象不動産はSPCの資産として分離されるため、直接的な差押えリスクは軽減される。ただし、アセットマネジメント業務はクリアルに委託されており、クリアルの経営悪化時には運用継続に支障が生じる可能性がある。また、ノンリコースローンの返済が滞った場合、金融機関による担保権実行で物件が強制売却されるリスクは残る。
物件概要
| 項目 | 物件①王子 | 物件②八広 |
|---|---|---|
| 所在地 | 東京都北区堀船二丁目9番3 | 東京都墨田区八広六丁目156番29 |
| 物件種別 | 共同住宅 | 共同住宅 |
| 構造 | RC造14階建 | RC造5階建 |
| 築年月 | 2024年8月(築1年) | 2025年3月(築0年) |
| 延床面積 | 1,886.83㎡ | 1,340.91㎡ |
| 戸数 | 41戸(1R23戸・2LDK18戸) | 29戸(1DK6戸・1LDK12戸・2LDK11戸) |
| テナント | クリアルパートナーズ(ML) | クリアルパートナーズ(ML) |
| 稼働率 | 87.8%(2026年8月時点予定) | 100%(2026年8月時点予定) |
収益構造とNOI分析
本ファンドはキャピタル型であり、配当原資の約70%(4.4%/6.3%)を売却益に依存する。インカムゲイン相当1.9%はマスターリース賃料から捻出される。
書面には運営費用の詳細(管理費・固都税等)の一部が記載されているが、主要費用の実額が欠損しているため、実額ベースのNOIは算出できない。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入(ML賃料) | 120,433,464円 |
| 火災保険料等 | ▲748,664円 |
| 固定資産税・都市計画税 | ▲5,404,828円 |
| 修繕費・予備費 | ▲1,265,000円 |
| 書面記載の年間費用合計 | 7,418,492円 |
上記費用を控除した場合のNOIは約1.13億円となるが、管理費(PM費用)が書面に明示されていないため、実際のNOIはこれより低い可能性がある。
- (推計・参考値)想定NOI: 51,531,388〜58,893,014円/年
- (推計・参考値)想定キャップレート: 1.8〜2.1%(取得価格28.5億円ベース)
※上記推計は賃料収入の20〜30%を運営費用と仮置きした参考値であり、本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではない。
- 配当原資: キャピタルゲイン型(売却益依存)
重要: 本ファンドの利回り6.3%のうち、インカムゲイン相当は1.9%に過ぎない。残り4.4%は売却益から捻出される計画であり、バリューアップ戦略が奏功し、取得価格を上回る価格で売却できることが前提となる。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価(土地建物) | 約88.3万円 | 約88.6万円 | -0.3% |
| 取得価格合計 | 28.5億円 | - | - |
| 鑑定評価額合計 | 32.3億円 | - | +13.3% |
ファンドの取得価格(物件①17.7億円+物件②10.8億円=28.5億円)に対し、鑑定評価額は32.3億円(物件①20.3億円+物件②12.0億円)。取得価格は鑑定評価額の約88.2%であり、約11.8%のディスカウントで取得する計画となっている。
近隣取引データ(北区・墨田区周辺)の㎡単価中央値は約88.6万円。ファンド物件の延床面積合計3,227.74㎡で計算すると、㎡単価は約88.3万円となり、近隣相場とほぼ同水準。築浅RC造の一棟レジデンスとしては妥当な価格帯と評価できる。
ただし、物件①王子には都市計画道路の制限があり、将来の建替え・大規模修繕に制約が生じる点は、出口価格の下押し要因として考慮すべきである。
土地評価と出口シナリオ
物件①王子の所在地(北区堀船)の公示地価は、商業地域で㎡あたり50〜60万円程度と推計される。土地面積314.60㎡から概算すると、土地持分相当額は約1.6〜1.9億円。物件②八広(墨田区八広)は準工業地域・商業地域混在で、土地面積705.13㎡(うち私道負担173.39㎡)から、土地持分相当額は約2.5〜3.0億円と推計される。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 3.5% | 約34億円 | 元本全額償還+想定利回り超過 |
| 基本 | 4.0% | 約30億円 | 元本全額償還+想定利回り達成 |
| 悲観 | 5.0% | 約24億円 | 借入返済後、元本毀損の可能性 |
※上記は推計NOI(約1.2億円)を基にした概算であり、実際の売却価格を保証するものではない。
悲観シナリオでは、売却価格24億円から借入金17.5億円を返済すると、残余は6.5億円。出資総額14.25億円に対し、元本毀損率は約54%に達する計算となる。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 4.0%→5.0% | ▲約6億円(約20%下落) | バッファなし・即元本毀損 |
| 空室率+10% | 100%→90% | NOI▲約1,200万円 | ML契約で軽減 |
| 賃料下落10% | 1.2億円→1.08億円 | NOI▲約1,200万円 | 売却価格に影響 |
本ファンドは劣後比率0.0%のため、物件価格が1円でも下落すれば投資家の元本が毀損する。借入金17.5億円を考慮すると、物件価格が取得価格28.5億円から約38.6%下落(約17.5億円まで下落)した時点で、投資家の元本は全損となる。
ただし、マスターリース契約により空室リスクは軽減されており、運用期間中のインカム収入は比較的安定している。問題は出口(売却)時の価格であり、バリューアップ戦略の成否と市況次第で大きく変動する。
契約上の注意点
- 劣後出資なし: 物件価格下落時の損失は全額投資家が負担。事業者との損益共有構造がない。
- 関連当事者取引: マスターリース先・建物管理委託先がクリアル100%子会社。賃料水準の妥当性検証が困難。
- 売却益の20%インセンティブ: 売却益が生じた場合、その20%がクリアルへの成功報酬として徴収される。投資家がリスクを負い、アップサイドの一部を事業者が享受する構造。
- 都市計画道路の制限: 物件①王子の敷地一部に都市計画道路が計画決定。将来の建替え・大規模修繕に制約あり。
- 運用期間延長リスク: 売却が完了しない場合、最大5年間の延長が可能。資金拘束期間が長期化する可能性。
- 第1号事業(SPC活用): 倒産隔離スキーム採用により、クリアル本体の倒産リスクは軽減。ただしアセットマネジメント業務はクリアルに依存。
結論
劣後比率0.0%・LTV54.7%という構造は、投資家が全リスクを負いながらアップサイドの一部を事業者に渡す設計。鑑定評価額との乖離や倒産隔離スキームは評価できるが、バリューアップ戦略の不確実性と関連当事者取引の多さを考慮すると、現時点での投資は慎重に判断すべき。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。