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トモタクCF128号(GEOSPOT元箱根A棟)

TOMOTAQU ・ 分析日: 2026年07月10日 ・ RE:Insight AI
この評価の算出方法(評価手法)›

総評

利回り7.5%の果実を摘むには、鑑定なし・NOI非開示・出口白紙という三重の霧を抜けねばならない。㎡単価194万円は近隣相場の26倍、キャップレート1%上昇で劣後10%は蒸発する。箱根の湯煙に3億円を賭ける前に、立ち止まる理由は十分ある。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用12ヶ月
予定利回り
7.5%
運用期間
12ヶ月
募集総額
2.9億円
劣後比率
10%
所在地
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根字大芝103-243
種別
不動産
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2.5
収益性
2.6
透明性
3.3
元本安全性
3.0
事業者信頼性

ポイント

新築ホテル3.5億円の根拠が「取引事例比較法」のみ

物件価格3億5,000万円の算定方法は「取引事例比較法及び収益還元法により算出」と記載されているが、不動産鑑定士による鑑定評価は「無」。つまり事業者の自己査定だ。2025年7月新築の木造2階建てホテル(延床179.94㎡)に対し、㎡単価は約194万円。箱根町の近隣取引事例では土地建物で㎡単価3〜8万円程度が中心であり、新築プレミアムを考慮しても説明がつかない乖離がある。鑑定評価なしで3.5億円を「適正」と言い切る根拠は、投資家には検証不能だ。

マスターリース先は子会社、年間1,500万円の賃料で利回り4.3%

テナントは株式会社イーズレーベル。書面に「子会社」と明記されており、代表者も同一グループ。年間マスターリース賃料1,500万円を物件価格3.5億円で割ると、グロス利回りは4.3%に過ぎない。ここから管理費・固都税・保険料を控除したNOIは書面に記載がなく、実額での算出は不能。キャピタル型と謳いながら、インカムでは予定利回り7.5%を賄えない構造が透けて見える。

出口戦略は「売却」だが買い手の目処は白紙

契約書面には「対象不動産の売却が相当と判断するときは、売却することができる」とあるのみ。売却先の確保状況、想定売却価格、出口キャップレートの開示は一切ない。1年後に3.5億円超で売れる根拠がないまま、投資家は「事業者の判断」に全てを委ねる構造だ。箱根エリアのホテル需要はインバウンド回復で堅調とはいえ、木造新築の小規模ホテルを機関投資家が買うとは考えにくい。個人富裕層か同業他社への転売が前提となるが、その蓋然性は不透明だ。

事業者の自己資本比率4.9%は業界最低水準

トラックレコードは103件償還・元本割れゼロと実績は積んでいる。しかし直近決算の自己資本比率は4.9%。不動産クラファン事業者の中でも極めて低い。営業利益1.15億円に対し営業外費用2.64億円が重く、経常利益は2,839万円まで圧縮されている。第1号事業(匿名組合型)のため倒産隔離はなく、事業者が破綻すれば出資金は保全されない。劣後比率10.0%は事業者の信用力で担保されるが、その信用力自体が薄い財務基盤に依存している点は見逃せない。

契約期間延長リスクと解約手数料3%

契約期間は2026年8月〜2027年8月の12ヶ月だが、売却が完了しない場合は「12ヶ月を超えない範囲で延長可能」。最長2年間資金が拘束される可能性がある。中途解約は「やむを得ない事由」がある場合のみ認められ、解約手数料は出資額の3%。流動性は極めて低い。

物件概要

項目 内容
所在地 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根字大芝103-243
物件種別 ホテル
構造 木造合金メッキ鋼板ぶき2階建て
築年月 2025年7月新築(築0年)
延床面積 179.94㎡
テナント 株式会社イーズレーベル(子会社)
稼働率 100%(マスターリース)

収益構造とNOI分析

本ファンドはキャピタル型であり、配当原資は物件売却益に依存する。インカム収入は以下のとおり。

  • NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
  • 年間マスターリース賃料: 15,000,000円
  • 固定資産税・都市計画税: 81,354円(令和8年)
  • 管理費・火災保険料: 書面記載なし

書面に開示されている費用は固都税のみ。管理費・火災保険料の実額が不明なため、NOIの確定値は算出不能だ。仮に賃料の20〜30%を運営費用と仮置きすると、NOIは1,050万〜1,200万円程度、キャップレートは3.0〜3.4%と推計される。ただしこれは参考値であり、実際の費用構造によっては大きく変動する。

配当原資の構造:

  • インカムゲイン: マスターリース賃料1,500万円から費用を控除した残余(推計で年間1,000万円前後)
  • キャピタルゲイン: 物件売却益(売却価格 − 取得価格3.5億円 − 売却手数料2%)

予定利回り7.5%を出資総額3.21億円に適用すると、年間配当は約2,400万円。インカムだけでは賄えず、売却益で補填する構造が明確だ。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
㎡単価(土地建物) 約194万円 約7.5万円 +2,487%
取引価格 3.5億円 約2,083万円 +1,580%

箱根町の近隣取引事例(2024年)では、土地建物の取引価格は300万〜4,700万円が中心。㎡単価中央値は7.5万円程度だ。本ファンドの物件は新築ホテルという特殊性があるとはいえ、㎡単価194万円は近隣相場の26倍に達する。

この乖離を正当化するには、以下の要素が必要だ:

  1. 新築プレミアム(通常10〜30%程度)
  2. ホテル用途による収益還元価値
  3. 立地の希少性(元箱根エリア)

しかし、年間賃料1,500万円に対する物件価格3.5億円はグロス利回り4.3%。箱根エリアのホテル取引キャップレートは一般的に5〜7%程度であり、4.3%は割高な水準だ。新築であることを考慮しても、鑑定評価なしでこの価格を妥当とする根拠は薄い。


土地評価と出口シナリオ

土地面積699.45㎡に対し、箱根町元箱根エリアの路線価は公開情報からは確認できず。近隣の仙石原エリアでは土地のみの取引で㎡単価3,000〜11,000円程度の事例がある。仮に㎡単価1万円と仮置きすると、土地評価額は約700万円。建物は新築木造で延床179.94㎡、建築単価を㎡30万円と仮定すると約5,400万円。土地建物合計で約6,100万円が原価ベースの概算となる。

3.5億円との差額約2.9億円は、ホテルとしての収益価値(のれん)に相当するが、その裏付けとなるNOIが開示されていない以上、検証は困難だ。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 4.0% 約3.75億円 元本全額償還+キャピタル配当
基本 5.0% 約3.0億円 元本毀損リスク(劣後で吸収可能か微妙)
悲観 6.0% 約2.5億円 劣後バッファ超過、優先出資者に損失波及

※想定売却価格はNOI1,500万円(賃料全額)を各キャップレートで還元した概算。実際のNOIが低ければ売却価格はさらに下振れする。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 4.3%→5.3% ▲約6,600万円(▲19%) 劣後3,210万円を超過
空室率+10% 0%→10% NOI▲150万円 売却価格▲約3,000万円
賃料下落10% 1,500万→1,350万円 NOI▲150万円 売却価格▲約3,000万円

劣後出資額は3,210万円(出資総額3.21億円×10%)。物件価格3.5億円に対する劣後バッファは約9.2%。キャップレートが1%上昇するだけで、物件価値は約6,600万円下落し、劣後バッファを大幅に超過する。

物件価格が約3,210万円(約9.2%)下落するまでは優先出資者の元本は毀損しない。 しかし、キャップレート1%の上昇で19%の価値下落が生じる収益物件において、9.2%のバッファは心許ない。


契約上の注意点

  • 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)のため、事業者破綻時に出資金は保全されない
  • 関連当事者取引: マスターリース先が子会社(イーズレーベル)、賃料水準の妥当性は第三者検証なし
  • 鑑定評価なし: 物件価格3.5億円の妥当性を外部専門家が検証していない
  • 契約期間延長: 売却未完了時は最長12ヶ月延長可能、資金拘束リスクあり
  • 中途解約手数料: 出資額の3%(やむを得ない事由がある場合のみ解約可能)

結論

新築ホテルを鑑定なしで3.5億円取得し、1年後の売却益で7.5%配当を狙う構造は、出口の蓋然性が見えない以上、投機的と言わざるを得ない。事業者の実績は評価できるが、自己資本比率4.9%の財務基盤で劣後10%を担保する構造には不安が残る。

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