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トモタクCF130号(函館)

TOMOTAQU ・ 分析日: 2026年08月19日 ・ RE:Insight AI
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利回り7%の果実は、築45年超RC2棟を2.5億円で売り抜けて初めて手に入る。鑑定評価なし、マスターリース先は身内の子会社、劣後比率10%。函館の縮小市場で買い手が現れなければ、キャップレート1%上昇で劣後バッファは吹き飛ぶ構造。出口の霧は濃い。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用12ヶ月
予定利回り
7%
運用期間
12ヶ月
募集総額
1.8億円
劣後比率
10.0%
所在地
建物①北海道函館市富岡町二丁目50-18/建物②北海道函館市富岡町二丁目50-19
種別
不動産
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4.0
収益性
3.0
透明性
3.3
元本安全性
2.7
事業者信頼性

ポイント

築45年超RC2棟を2.5億円で売れるかが全て

本ファンドはキャピタル型、つまり売却益から配当を捻出する設計だ。対象物件は昭和54年(1979年)と昭和57年(1982年)築のRC造4階建て共同住宅2棟。築46年と築43年という「老朽化の入口」に立つ物件を、1年後に2.5億円以上で売却できなければ、投資家への7%配当は絵に描いた餅となる。書面には「取引事例比較法及び収益還元法により算出」とあるが、不動産鑑定士による鑑定評価は「無」。事業者の自己査定のみで2.5億円という価格が設定されている点は、出口リスクを投資家が丸呑みする構造と言える。

マスターリース先は事業者の子会社

賃料収入の安定性を担保するマスターリース契約の相手方は「株式会社イーズレーベル」。これは事業者イーダブルジーの子会社であり、代表取締役の田中克尚氏は両社の役員を兼務している。年間マスターリース賃料1,988万円は書面に明記されているが、子会社が親会社のファンドに賃料を払い続ける構造は、第三者テナントとは異なる信用リスクを内包する。事業者グループ全体の財務状況が悪化すれば、マスターリース賃料の支払いも危うくなる「連鎖倒産リスク」を認識しておく必要がある。

自己資本比率4.9%の事業者が劣後出資を担う

事業者イーダブルジーの直近期(FY2025)の自己資本比率は4.9%。不動産業界の標準的な水準(20〜30%)を大きく下回る。総資産66.5億円に対して負債63.2億円という「借金漬け」の財務構造だ。本ファンドでは事業者が10%(約1,970万円)の劣後出資を行うが、この劣後バッファが機能するのは事業者が健全に存続している場合に限られる。第1号事業(匿名組合型)のため倒産隔離はなく、事業者が破綻すれば対象不動産は破産財団に組み込まれ、投資家は一般債権者として配当を待つ立場に転落する。

NOI利回り7.6%は「見かけ上」健全だが費用一部欠損

書面から抽出した運営費用を基に実額NOIを算出すると、年間賃料1,988万円から管理費・保険料・固都税等を控除した約1,757万円となり、物件価格2.5億円に対するキャップレートは約7.0%。ただし、書面に記載された費用項目には「修繕費等その他費用:15万円」とあるものの、大規模修繕引当や将来の設備更新費用は含まれていない。築45年超のRC造では、給排水管・エレベーター(もしあれば)・外壁補修など、数百万円単位の修繕が発生するリスクがある。NOI利回りが予定利回り7%を上回っているとはいえ、キャピタル型である以上、インカムからの配当は限定的であり、売却益が出なければ元本毀損に直結する。

函館の賃貸市場は縮小トレンド

函館市は人口減少が続く地方都市であり、賃貸需要の先細りは避けられない。本物件は「直前5年の稼働率100%」と書面に記載されているが、これはマスターリース契約による「見かけの満室」であり、エンドテナント(実際の入居者)の稼働状況は開示されていない。103戸(駐車場55台含む)という規模は函館市内では大型の部類に入り、売却時に買い手を見つけるハードルは高い。地方都市の築古RCは「買い叩かれる」のが常であり、2.5億円での売却は楽観シナリオと見るべきだ。

物件概要

項目 内容
所在地 北海道函館市富岡町二丁目50番18号・19号
物件種別 共同住宅(2棟)
構造 鉄筋コンクリート造陸屋根4階建
築年月 建物①昭和54年5月(築46年)/建物②昭和57年3月(築43年)
延床面積 3,613.08㎡(建物①1,807.80㎡+建物②1,805.28㎡)
土地面積 2,846.76㎡(建物①1,515.00㎡+建物②1,331.76㎡)
テナント 株式会社イーズレーベル(マスターリース)
稼働率 100%(マスターリース契約による)

収益構造とNOI分析

本ファンドはキャピタル型であり、配当原資は主に売却益から捻出される設計。書面に記載された費用項目を基に実額NOIを算出する。ただし、一部費用(大規模修繕引当等)が書面に記載されておらず、下振れリスクを含む暫定値である点に留意が必要。

項目 金額
年間賃料収入(マスターリース) 19,883,604円
管理手数料 ▲528,000円
BM費用 ▲549,560円
火災保険料等 ▲441,240円
固定資産税・都市計画税 ▲645,984円
修繕費等その他費用 ▲150,000円
NOI(実額・下振れ注意) 17,568,820円
  • キャップレート(実額): 約7.0%(17,568,820円 ÷ 250,000,000円)
  • ※書面に大規模修繕引当・設備更新費用の記載がなく、上記NOIは上振れ方向に注意。築45年超のRC造では年間数百万円の修繕費発生リスクあり。
  • 配当原資: キャピタル型(売却益依存)

配当の実現可能性について

予定利回り7%を達成するには、1年間の運用で優先出資者に約1,241万円(177,300,000円×7%)の配当が必要。NOIベースのインカム収入(約1,757万円)から事業者報酬等を控除すると、インカムだけでは配当原資が不足する可能性が高い。売却時に物件価格2.5億円を上回る価格で売却できなければ、配当の一部または全部が未達となるリスクがある。

市場価格検証

近隣取引事例データから、函館市内のRC造共同住宅の取引価格を検証する。

比較項目 ファンド物件 近隣取引事例 乖離率
㎡単価(建物) 約69,200円 約100,000円(弁天町RC・2004年築) ▲31%
取引価格 250,000,000円 180,000,000円(弁天町RC・1,800㎡) +39%

近隣取引事例として、函館市弁天町のRC造共同住宅(2004年築・延床1,800㎡)が1.8億円で取引されている。本ファンドの物件は築年数が20年以上古く、延床面積は約2倍(3,613㎡)であることを考慮しても、2.5億円という価格設定はやや強気と言える。

函館市内の宅地取引では、㎡単価1.1万〜4.4万円程度が相場であり、本物件の土地(約2,847㎡)の土地価値は概算で3,100万〜1.25億円程度と推計される。建物の残存価値を加味しても、2.5億円は「売り手有利」の価格設定である可能性が高い。


土地評価と出口シナリオ

土地評価(推計)

函館市富岡町周辺の公示地価・路線価は、住宅地で㎡あたり2〜4万円程度と推計される。本物件の土地面積2,846.76㎡に対し、土地価値は概算で5,700万〜1.14億円程度。建物は築45年超のRC造であり、残存価値は限定的(減価償却済み)と見るのが妥当。土地+建物の実勢価値は1.5〜2億円程度と推計され、2.5億円での売却は「買い手次第」の楽観シナリオとなる。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 6.5% 約2.7億円 元本全額償還+キャピタル配当7%達成
基本 7.5% 約2.34億円 元本全額償還(配当は一部減額の可能性)
悲観 9.0% 約1.95億円 劣後出資で吸収しきれず元本毀損リスク

ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 7.0%→8.0% ▲約3,050万円(▲12.2%下落) バッファ超過(劣後1,970万円)
キャップレート+2% 7.0%→9.0% ▲約5,500万円(▲22%下落) 大幅超過・元本毀損
空室率+10%(ML解除時) 100%→90% NOI▲約199万円 売却価格に影響
賃料下落10% 1,988万円→1,789万円 NOI▲約199万円 売却価格に影響

ストレステスト総評

劣後出資額1,970万円(出資総額の10%)は、物件価格2.5億円に対して約7.9%の下落まで吸収可能。キャップレートが1%上昇するだけで物件価値は約3,050万円下落し、劣後バッファを突破する。築45年超のRC造という物件特性を考慮すると、売却時のキャップレート上昇(買い叩き)リスクは現実的であり、物件価格が約2,300万円(約9.2%)下落した時点で優先出資者の元本が毀損し始める。函館市の不動産市場の流動性の低さを考えると、悲観シナリオの実現可能性は無視できない。


契約上の注意点

  • 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)のため、事業者破綻時は対象不動産が破産財団に組み込まれる。投資家は一般債権者として配当を待つ立場となる。
  • 関連当事者取引: マスターリース先(イーズレーベル)は事業者の子会社。利益相反リスクあり。
  • 鑑定評価なし: 物件価格2.5億円は事業者の自己査定のみ。第三者による客観的な価格検証がなされていない。
  • 契約期間延長条項: 売却が完了しない場合、最大12ヶ月の延長が可能。資金拘束期間が最長2年に及ぶリスクあり。
  • 中途解約手数料: やむを得ない事由による解約時、出資価額の3%(税別)が手数料として徴収される。

結論

利回り7%は魅力的だが、築45年超のRC2棟を函館市で2.5億円以上で売却できるかという「出口の不確実性」が全てを左右する。鑑定評価なし・子会社マスターリース・自己資本比率4.9%の事業者という三重の不透明要素を、劣後比率10.0%で支えるには心許ない。余剰資金での分散投資先としてなら検討余地はあるが、集中投資は避けるべき案件。

関連リンク
外部リンク

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