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SMART FUND141号(愛知県愛西市佐屋駅【第2期】)

TSON ・ 分析日: 2026年08月21日 ・ RE:Insight AI
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利回り6.0%の新築メゾネット、マスターリース10年という看板は魅力的。だが劣後比率10.1%は物件価格わずか4.1%下落で蒸発する薄氷。鑑定なし・NOI非開示・LTV59.6%という霧の中を、206件償還実績という羅針盤だけで航海する構図。自己資本比率9.1%の船体強度が試される。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用304日
予定利回り
6.0%
運用期間
304日
募集総額
5,420万円
劣後比率
10.1%
所在地
愛知県愛西市北一色町北田面357番の一部他
種別
不動産
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3.5
収益性
2.7
透明性
2.5
元本安全性
3.3
事業者信頼性

ポイント

鑑定評価なしで1.34億円の妥当性は検証不能

本ファンドの物件取得価格は1億3,420万円だが、不動産鑑定士による鑑定評価は実施されていない。書面には「近隣エリアの同種の不動産の取引事例の内容を基にして妥当と判断する価格を算定」とあるが、その算定根拠の詳細は開示されていない。新築物件であるため建築原価からの積み上げで説明可能な部分もあるが、第三者による客観的な価格検証がない以上、投資家は事業者の言い値を信じるしかない。土地面積821.32㎡(2棟合計)に対し、近隣の土地取引事例では㎡単価6万〜9万円程度が相場であり、土地だけで5,000万〜7,400万円程度と推計される。建物2棟(延床539.19㎡)の建築費を坪70万円と仮定すると約1.1億円。合計で1.6億円前後となり、取得価格1.34億円は割安にも見えるが、これはあくまで推計であり確定的な評価ではない。

NOI費用が全欠損、利回りの裏付けは推計頼み

書面には年間賃料収入6,864,000円(月額572,000円×12ヶ月)が記載されているが、管理費・火災保険料・固定資産税・維持費といった運営費用の実額は一切開示されていない。このため実額ベースのNOIは算出できず、配当原資の裏付けを客観的に検証することが困難である。

賃料収入の20〜30%を運営費用と仮置きした場合の推計NOIは年間480万〜549万円程度、推計キャップレートは3.6〜4.1%程度となる。ただしこれは一般的な費用目安に基づく参考値であり、本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではない。新築物件のため修繕費は当面低く抑えられる可能性があるが、固定資産税は新築評価で高めに出る傾向がある。いずれにせよ、費用構造が不透明なまま「利回り6%」を鵜呑みにするのはリスクがある。

LTV59.6%と劣後比率10.1%の薄いバッファ

本ファンドは事業総額1.34億円のうち8,000万円を金融機関から借入れており、LTV(借入比率)は59.6%に達する。劣後出資額は550万円で、出資総額に対する劣後比率は10.1%だが、事業総額に対する劣後比率はわずか4.1%に過ぎない。

これが意味するのは、物件価格が4.1%(約550万円)下落した時点で劣後バッファが枯渇し、優先出資者の元本毀損が始まるということだ。借入金利4.4%という高めの金利負担も考慮すると、売却時に想定価格を下回った場合のダウンサイドリスクは決して小さくない。

マスターリース10年は安心材料だが出口は不透明

株式会社BB保証との10年間のマスターリース契約(3年毎に賃料改定)により、空室リスクは一定程度ヘッジされている。契約満了日は2036年8月31日であり、運用期間10ヶ月のファンドとしては十分な保証期間だ。

しかし事業者は「売却活動を行いながら、賃料収入を得られる物件特性を踏まえ、保有継続も含めて運用判断を行う方針」と述べており、出口戦略は明確ではない。新築物件を10ヶ月で売却して利益を出すには、取得価格を上回る価格での売却が必要だが、その蓋然性を示す材料(売却先の確保状況、鑑定評価等)は提示されていない。キャピタルゲイン1.0%の配当原資は「売れれば出る」という希望的観測に依存している。

事業者の実績は評価できるが財務体質に懸念

TSONは累計295ファンドを組成し、206件を償還済み。元本割れ・償還遅延ゼロという実績は不動産クラファン業界でも上位の信頼性を示す。しかし直近の財務データを見ると、自己資本比率は9.1%と低水準であり、総資産61.8億円に対して純資産は5.6億円に留まる。

2025年度は売上高51億円、当期純利益9,195万円と黒字転換を果たしているが、営業外費用(主に借入金利息)が2.6億円と重く、財務レバレッジの高さが収益を圧迫している構造だ。匿名組合契約では事業者破綻時に投資家の出資金は保全されないため、この財務体質は無視できないリスク要因である。

物件概要

項目 内容
所在地 愛知県愛西市北一色町北田面
物件種別 共同住宅(メゾネット型賃貸住宅)2棟8戸
構造 木造2階建て(2×4構造)
築年月 2026年8月(新築)
延床面積 539.19㎡(A棟280.31㎡+B棟258.88㎡)
土地面積 821.32㎡(A棟467.61㎡+B棟353.71㎡)
テナント 株式会社BB保証(マスターリース)
稼働率 100%(マスターリース契約による保証)

収益構造とNOI分析

  • NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
  • (推計・参考値)想定NOI: 4,804,800〜5,491,200円/年
  • (推計・参考値)想定キャップレート: 3.6〜4.1%

運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%(実支出ベース。減価償却・借入金利は含まない)を運営費用の目安として控除し、利回りをレンジで推計した参考値です。実額が取得できた費用とは別枠の概算であり、根拠は賃貸管理事業者による一般的な費用目安および国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」等に基づきます。本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではありません。

配当原資の構造:

配当原資 利回り 根拠
インカムゲイン(家賃) 5.0% マスターリース賃料から借入金利・費用控除後
キャピタルゲイン(売却益) 1.0% 売却価格が取得価格を上回ることが前提
合計 6.0% ハイブリッド型

借入金利4.4%(年間約352万円)を考慮すると、推計NOI480〜549万円から金利を控除した残りは128〜197万円程度。優先出資4,870万円に対する5.0%のインカム配当は約244万円であり、推計ベースでは配当原資がギリギリか不足する可能性がある。キャピタルゲイン1.0%(約49万円)を加えた6.0%配当の実現には、売却益の確保が不可欠となる。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
土地㎡単価 推計6〜9万円 48,485円 +24〜86%
土地+建物総額 134,200,000円 17,049,866円

近隣取引事例(愛西市内、2024年)を見ると、土地のみの取引では㎡単価3〜9万円程度、土地建物一体では築年数や規模により大きくばらつく。同じ北一色町での成約事例として、2023年築・木造4LDK・土地165㎡・延床100㎡の戸建が2,300万円で取引されている。

本ファンドの物件は新築2棟8戸・延床539㎡・土地821㎡という規模であり、単純な戸建との比較は困難だが、1戸あたり約1,678万円(1.34億円÷8戸)という取得単価は、近隣の新築戸建相場(2,000〜3,000万円)と比較して割安に見える。ただしこれは収益物件としての評価であり、実需向け戸建とは市場が異なる点に留意が必要だ。


土地評価と出口シナリオ

愛西市北一色町周辺の公示地価・路線価データは限定的だが、近隣取引事例から土地の㎡単価は5〜7万円程度と推計される。土地面積821.32㎡に対し、土地持分相当額は概算で4,100〜5,750万円程度。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 4.0% 約1.37億円 元本全額償還+キャピタル配当
基本 4.5% 約1.22億円 借入返済後、元本毀損の可能性
悲観 5.0% 約1.10億円 劣後バッファ超過、優先出資毀損

※推計NOI中央値(約515万円)を基に算出。借入金8,000万円の返済が優先されるため、売却価格が1.34億円を下回ると優先出資者への影響が生じる。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 4.0%→5.0% ▲約2,700万円(20%下落) バッファ超過
賃料下落10% 572千円→515千円/月 NOI▲約69万円 配当原資不足
金利上昇1% 4.4%→5.4% 年間金利負担+80万円 配当原資圧迫

劣後出資額550万円は物件取得価格1.34億円の約4.1%に相当する。つまり物件価格が550万円(4.1%)下落した時点で劣後バッファは枯渇し、それ以上の下落は優先出資者の元本を直撃する。新築物件とはいえ、10ヶ月後の売却で取得価格を維持できる保証はなく、キャップレートの上昇や市況悪化があれば元本毀損リスクは現実のものとなる。


契約上の注意点

  • 匿名組合契約のため倒産隔離なし: 事業者破綻時、投資家の出資金は破産財団に組み込まれ、一般債権者として弁済を受ける立場となる。
  • 関連当事者取引: 対象不動産は事業者TSONの固有資産から匿名組合勘定へ移管される自己取引。マスターリース先のBB保証との関係性は書面上明示されていないが、利害関係の有無は要確認。
  • 契約期間延長条項: 売却が完了しない場合、6ヶ月を超えない範囲で契約期間を延長可能。投資家の同意なく延長される可能性がある。
  • 中途解約の制限: やむを得ない事由がない限り中途解約は不可。流動性は極めて低い。
  • 借入金の優先弁済: 売却代金からまず借入金8,000万円が返済され、残額から投資家への分配が行われる。売却価格が低迷した場合、投資家への返還額は大きく減少する。

結論

新築メゾネット×マスターリース10年という安定構造は評価できるが、鑑定評価なし・NOI費用非開示・LTV59.6%という情報開示の不足が投資判断を困難にしている。TSONの償還実績は業界トップクラスだが、それに依存した「事業者信頼」だけで投資を決めるのは危うい。余剰資金の範囲内で、分散投資の一環として検討する程度が妥当だろう。

関連リンク
外部リンク

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