総評公式サイトを見る →
利回り6.0%、新築7棟、ML10年契約——数字だけ見れば堅牢な城。だが鑑定評価なし・NOI費用欠損・劣後10%は借入込みで7.8%に希薄化。301件無傷の実績も、自己資本9.1%の薄氷の上。余剰資金で踏み込むなら、出口の地価次第という但し書きを忘れずに。
ポイント
鑑定評価なしで1.7億円の妥当性は検証不能
本ファンドの対象不動産は7棟合計で1億7,160万円と設定されているが、不動産鑑定士による鑑定評価は実施されていない。書面には「近隣エリアの同種の不動産の取引事例の内容を基にして妥当と判断する価格を算定」とあるのみで、具体的な比較対象や算定根拠は開示されていない。新築戸建賃貸という希少物件であるがゆえに、比較可能な取引事例自体が限られる。投資家は事業者の「言い値」を信じるしかない構造だ。
マスターリース先は関連会社、利益相反の匂い
賃料保証を行う株式会社BB保証は、書面上「賃貸管理業」とされているが、TSONからの業務委託先として記載されている。事業者サイトでは「外部の保証会社」と説明されているが、実態としてはTSONグループ内での取引である可能性が高い。マスターリース賃料の設定根拠、BB保証の財務基盤、保証履行能力といった情報は一切開示されていない。10年契約・3年毎の賃料改定という条件も、改定時に賃料が下がるリスクを内包している。
借入金を含めると劣後バッファは7.8%に希薄化
書面では「劣後比率10%」と記載されているが、これは出資総額1億3,360万円に対する比率だ。事業総額1億7,160万円には金融機関からの借入金3,800万円(LTV22.1%)が含まれており、事業総額ベースでの劣後比率は7.8%に低下する。借入金は優先出資者より先に返済される構造であり、物件価格が下落した場合、劣後出資が吸収できる損失幅は見かけより小さい。
NOI費用が全欠損、利回りの裏付けは推計頼み
書面には年間賃料(尾張旭3棟:403万円、高田橋4棟:485万円、合計888万円)は記載されているが、管理費・火災保険料・固定資産税といった運営費用の実額は一切記載されていない。このため実額ベースのNOIは算出不能だ。賃料の20〜30%を運営費用と仮置きした推計では、NOIは283〜323万円/年程度となるが、これはあくまで参考値であり、実際の費用構造によっては大きく変動しうる。
事業者の財務基盤は薄い、ただし黒字転換は評価
TSONの自己資本比率は9.1%と、不動産クラファン事業者の中でも低水準だ。総資産61.8億円に対して純資産5.6億円という構造は、案件組成に伴う資産膨張が主因とはいえ、財務レバレッジの高さは否めない。一方で、2023年度の赤字から2025年度には純利益9,195万円へV字回復しており、収益構造の安定化は進んでいる。301件の運用実績・元本割れゼロという実績は業界トップクラスだが、匿名組合型の第1号事業であり倒産隔離はない点は認識しておくべきだ。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県尾張旭市北山町(3棟)、岐阜県岐阜市高田四丁目(4棟) |
| 物件種別 | 戸建賃貸住宅 |
| 構造 | 木造2階建て(2×4構造) |
| 築年月 | 2026年7月〜8月(新築) |
| 延床面積 | 合計536.69㎡(7棟合計) |
| テナント | 株式会社BB保証(マスターリース) |
| 稼働率 | 100%(マスターリース契約により保証) |
収益構造とNOI分析
本ファンドの配当原資は「インカムゲイン5.0%+キャピタルゲイン1.0%」のハイブリッド型と説明されている。
書面に運営費用(管理費・火災保険料・固定資産税等)の記載がなく、実額ベースのNOIは算出できない。
- NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
- (推計・参考値)想定NOI: 2,825,928〜3,229,632円/年
- 運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%を運営費用の目安として控除し、利回りをレンジで推計した参考値です。実額が取得できた費用とは別枠の概算であり、本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではありません。
- 配当原資: ハイブリッド型(インカム+キャピタル)
賃料収入の内訳:
| 物件群 | 年間賃料 | 月額賃料 |
|---|---|---|
| 尾張旭駅ABC(3棟) | 4,037,040円 | 336,420円 |
| 高田橋駅ABCD(4棟) | 4,848,720円 | 404,060円 |
| 合計 | 8,885,760円 | 740,480円 |
推計キャップレートは1.6〜1.9%程度となるが、これは新築戸建賃貸という物件特性(建物比率が高く、土地の収益還元が低い)を反映したものであり、マンション等と単純比較はできない。ただし、予定利回り6.0%の大半がキャピタルゲイン(売却益)に依存する構造であることは明らかだ。
市場価格検証
近隣取引事例データを用いて、ファンドの物件取得価格の妥当性を検証する。
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価(土地建物) | 約320,000円 | 約154,000円 | +108% |
| 1棟あたり価格 | 約2,451万円 | 約2,752万円(平均) | -11% |
尾張旭市の近隣取引事例では、2024年築の新築戸建(土地+建物)が3,200〜4,000万円程度で取引されている。本ファンドの1棟あたり取得価格は約2,451万円(1.716億円÷7棟)であり、一見すると割安に見える。
ただし、本ファンドの物件は「戸建賃貸」という特殊用途であり、分譲用戸建とは市場性が異なる。賃貸用物件は収益還元法で評価されるべきであり、単純な取引事例比較は適切ではない。鑑定評価がない以上、価格の妥当性は検証不能というのが正直な結論だ。
土地評価と出口シナリオ
尾張旭市北山町周辺の公示地価は、2026年時点で㎡あたり約9〜10万円程度と推計される。本ファンドの土地面積は合計約741㎡(7棟分)であり、土地持分相当額は概算で6,700〜7,400万円程度となる。
岐阜市高田四丁目周辺は、駅近立地ながら地価水準は尾張旭市より低く、㎡あたり7〜8万円程度と推計される。土地面積約415㎡に対し、土地持分相当額は概算で2,900〜3,300万円程度だ。
7棟合計の土地持分相当額は概算で9,600〜10,700万円程度となり、事業総額1.716億円の56〜62%程度を占める。残りは建物価値であり、新築時点では減価償却前の価値が維持されるが、売却時には築年数に応じた減価が発生する。
| シナリオ | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|
| 楽観(取得価格+5%) | 1.80億円 | 元本全額償還+キャピタル配当 |
| 基本(取得価格同等) | 1.72億円 | 元本全額償還 |
| 悲観(取得価格▲15%) | 1.46億円 | 劣後出資で吸収可能(▲2,600万円) |
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| 物件価格▲7.8% | 1.716億円→1.58億円 | ▲1,340万円 | 劣後出資で吸収可能 |
| 物件価格▲10% | 1.716億円→1.54億円 | ▲1,716万円 | 劣後超過、優先出資に影響 |
| 賃料下落10% | 889万円→800万円 | NOI▲89万円 | インカム配当に影響 |
劣後出資額1,340万円は、物件価格1.716億円の約7.8%に相当する。つまり、物件価格が7.8%以上下落すると、劣後バッファが枯渇し、優先出資者の元本に影響が及ぶ。新築戸建賃貸という希少物件であるがゆえに、売却時の買い手探しに時間がかかるリスクも考慮すべきだ。
契約上の注意点
- 倒産隔離なし: 匿名組合型の第1号事業であり、TSONが破綻した場合、出資金は破産財団に組み込まれる。優先弁済権はない。
- 関連当事者取引: マスターリース先のBB保証はTSONからの業務委託先。利益相反の可能性あり。
- 契約期間延長条項: 売却が完了しない場合、6ヶ月を超えない範囲で契約期間を延長可能。
- 中途解約制限: やむを得ない事由がない限り、契約期間中の解約は認められない。
- 借入金の優先返済: 金融機関への借入金3,800万円は、出資者への返還より優先して返済される。
結論
TSONの実績と新築戸建賃貸のマスターリース構造は一定の安心材料だが、鑑定評価なし・NOI費用欠損・関連当事者取引という情報開示の不透明さが足を引っ張る。余剰資金での分散投資先としては許容範囲だが、メイン投資先としては透明性に課題が残る。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。