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ちょこっと不動産44号 八王子市上野町B

ちょこっと不動産 ・ 分析日: 2026年09月02日 ・ RE:Insight AI
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劣後比率69.1%という分厚いクッションが、売却価格50%下落でもなお優先出資を守る構造。利回り4.3%は地味だが、借地権・鑑定なし・キャピタル型という三重の不透明さを、事業者自身が2,280万円を差し出して引き受ける設計。出口の霧が晴れるかは地価と買い手次第。

インカム型利回り:控えめ
予定利回り
4.3%
運用期間
募集総額
1,020万円
劣後比率
69.1%
所在地
東京都八王子市上野町1番
種別
不動産
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2.5
収益性
2.5
透明性
5.0
元本安全性
4.0
事業者信頼性

ポイント

劣後比率69.1%は「保険」ではなく「要塞」

本ファンドの最大の特徴は、出資総額3,300万円のうち劣後出資が2,280万円を占める圧倒的な劣後比率69.1%にある。優先出資者(個人投資家)の出資額はわずか1,020万円。物件価格3,880万円に対し、売却価格が約1,010万円(26%)下落するまで元本は毀損しない計算となる。通常のクラファンでは劣後比率10〜30%が相場であることを考えると、この水準は「保険」というより「要塞」と呼ぶべき堅牢さだ。

借地権という「見えない足枷」

事業者は「借地権付住宅とすることで購入しやすい価格設定」と謳うが、これは裏を返せば流動性リスクの存在を意味する。旧法借地権は借主に有利な権利形態とはいえ、売却時には地主の承諾と譲渡承諾料が必要となる。書面には地代月額8,790円(年間約10.5万円)の記載があるが、譲渡承諾料の水準は明示されていない。出口で想定外のコストが発生すれば、キャピタルゲインが圧縮される可能性がある。

鑑定評価なしの3,880万円は「自己申告」

物件価格3,880万円について、書面には「外部への調査、類似エリア、類似物件との取引事例の比較等により妥当性を判断し、当社が算定した評価額をもとに価格を決定」と記載されている。つまり、第三者による鑑定評価は取得していない。事業者の自己評価のみで価格が決定されており、客観的な検証手段がない。劣後比率の高さがこのリスクを相当程度カバーしているとはいえ、透明性の観点からは減点要素となる。

キャピタル型ゆえの「売れなければ終わらない」リスク

本ファンドは賃料収入ではなく売却益で配当・償還を行うキャピタル型。書面には「運用期間内に対象不動産の売却等が完了しない場合、1年を超えない範囲で終了予定日を遅らせることができる」との条項がある。2027年1月完成予定、同年7月償還予定というスケジュールは、完成から売却まで約6ヶ月の猶予を見込んでいるが、借地権付き戸建という特殊な商品性を考えると、売却に時間を要する可能性は否定できない。

事業者の実績は「安定飛行」の証

株式会社良栄は「ちょこっと不動産」で43件のファンドを運用し、うち40件が償還済み。元本割れ実績はなく、平均利回り4.36%、平均劣後比率40.4%という堅実な運用実績を持つ。本ファンドの劣後比率69.1%は同社の平均を大きく上回っており、開発案件特有のリスクを自社で厚く負担する姿勢が見て取れる。財務データは非開示だが、資本金約3.9億円、不動産特定共同事業の許可を保有する点から、一定の財務基盤は推認できる。

物件概要

項目 内容
所在地 東京都八王子市上野町1番3の一部
物件種別 借地権付き新築戸建住宅
構造 木造サイディング張コロニアル葺3階建
築年月 2027年1月(予定)
延床面積 121.49㎡(車庫9.11㎡含む)
土地面積 69.44㎡(旧法借地権)
テナント なし(売却目的)
稼働率 ー(キャピタル型)

収益構造とNOI分析

本ファンドはキャピタル型(売却益配当型)であり、賃料収入を配当原資としない。したがって、NOI(営業純収益)の概念は適用されない。

配当原資の構造

項目 金額・内容
物件取得価格 38,800,000円
出資総額 33,000,000円
優先出資(募集額) 10,200,000円
劣後出資(事業者負担) 22,800,000円
借入金 なし(LTV 0%)
配当原資 売却益(キャピタルゲイン)

書面によれば、物件価格3,880万円に対し出資総額は3,300万円。差額580万円は事業者の固有財産からの取得(自己取引)として処理される。予定利回り4.3%を実現するには、10ヶ月の運用期間で優先出資者に約36万円(1,020万円×4.3%×10/12)の配当が必要となる。

売却価格が物件取得価格3,880万円を上回れば配当・元本償還は問題なく実行される。逆に、売却価格が3,300万円(出資総額)を下回った場合、まず劣後出資2,280万円から損失が吸収され、それでも足りない場合に優先出資者の元本が毀損する構造となっている。

市場価格検証

近隣取引事例データは中古マンションや土地取引が中心であり、借地権付き新築戸建との直接比較は困難である。参考として、八王子市内の戸建取引事例を抽出する。

比較項目 ファンド物件 近隣参考事例 備考
物件価格 38,800,000円 37,000,000円 川町・2023年築・木造・110㎡
㎡単価(建物) 約319,000円 約336,000円 所有権 vs 借地権
土地権利 旧法借地権 所有権 流動性に差

川町の取引事例(3,700万円・2023年築・木造・110㎡・所有権)と比較すると、本ファンドの物件は延床面積が約10㎡大きく、新築であるにもかかわらず価格は同水準。これは借地権による価格調整が反映されていると推測される。

一般に借地権価格は所有権の60〜70%程度とされる。仮に同等の所有権付き物件が5,000〜5,500万円程度と仮定すれば、3,880万円という価格設定は借地権割引として概ね妥当な範囲内と考えられる。ただし、鑑定評価がないため、この推計の精度には限界がある。


土地評価と出口シナリオ

土地評価(推計)

八王子市上野町周辺の公示地価・路線価から土地価格を概算する。八王子駅徒歩圏の住宅地では、㎡単価15〜25万円程度が相場帯。本物件の土地面積69.44㎡に対し、借地権割合を60%と仮定すると:

  • 土地所有権相当額:69.44㎡ × 20万円 = 約1,389万円(推計)
  • 借地権相当額:1,389万円 × 60% = 約833万円(推計)

建物は新築木造3階建121.49㎡。建築費を㎡単価25万円と仮定すると約3,037万円。借地権833万円と合算すると約3,870万円となり、物件価格3,880万円と概ね整合する。

出口シナリオ

シナリオ 売却価格 投資家への影響
楽観 4,200万円 元本全額償還+予定利回り達成
基本 3,880万円 元本全額償還+予定利回り達成
悲観 3,000万円 劣後出資で吸収(元本毀損なし)
最悪 2,500万円 劣後出資で吸収(元本毀損なし)

劣後出資2,280万円が存在するため、売却価格が出資総額3,300万円から2,280万円下落した1,020万円を下回らない限り、優先出資者の元本は毀損しない。物件価格3,880万円を基準とすれば、約74%の下落まで耐えられる計算となる。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
売却価格▲10% 3,880万円→3,492万円 ▲388万円 バッファ内(残1,892万円)
売却価格▲20% 3,880万円→3,104万円 ▲776万円 バッファ内(残1,504万円)
売却価格▲30% 3,880万円→2,716万円 ▲1,164万円 バッファ内(残1,116万円)
売却価格▲50% 3,880万円→1,940万円 ▲1,940万円 バッファ内(残340万円)

総評:物件価格が約59%下落(3,880万円→1,600万円)するまで、優先出資者の元本は無傷。劣後出資2,280万円という厚いバッファは、借地権付き物件の流動性リスクや価格変動リスクを十分にカバーする設計となっている。八王子市の住宅市場が壊滅的な状況に陥らない限り、元本毀損の可能性は極めて低いと評価できる。


契約上の注意点

  • 自己取引の存在:物件は事業者の固有財産から匿名組合財産として取得される(取得額971.4万円)。利益相反の可能性があるが、劣後比率の高さが一定の牽制機能を果たしている。

  • 倒産隔離なし:第1号事業(匿名組合型)であり、事業者が破産した場合、出資金は保全されない。分別管理は行われるが、信託法第34条の分別管理とは異なる点に注意。

  • 運用期間延長条項:売却が完了しない場合、1年を超えない範囲で契約期間を延長可能。借地権付き物件の売却に時間を要する場合、資金拘束期間が長期化するリスクがある。

  • 譲渡承諾料の不明確さ:借地権の譲渡には地主の承諾が必要だが、譲渡承諾料の水準は書面に明示されていない。出口コストが想定を上回る可能性がある。

  • 建築リスク:2027年1月完成予定の未完成物件。工期遅延や建築コスト上昇のリスクは事業者が負担するが、売却スケジュールに影響を与える可能性がある。


結論

劣後比率69.1%という圧倒的な安全弁が、借地権・鑑定評価なし・キャピタル型という複数のリスク要因を相殺する構造。利回り4.3%は控えめだが、元本毀損リスクを極限まで抑えたい投資家には検討価値がある。

関連リンク
外部リンク

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