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仙台市つばさ南小泉 スタンダードレール 再投資終了

CONDO ・ 分析日: 2026年10月06日 ・ RE:Insight AI
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年8.1%・借入ゼロ・劣後10.0%と数字は整うが、固定賃料1,244万円は実賃料1,051万円を約2割上回る下駄履き。劣後10.0%のバッファは薄く、配当の源泉は建物でなく親会社の財布。ただし親会社の財務は未開示。

インカム型マスターリース有高利回り運用6ヶ月
予定利回り
8.1%
運用期間
6ヶ月
募集総額
1.3億円
劣後比率
10.0%
所在地
宮城県仙台市若林区南小泉二丁目
種別
不動産
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4.0
収益性
3.3
透明性
3.5
元本安全性
3.7
事業者信頼性

ポイント

固定賃料1,244万円は物件の実力超え

書面Ⅲ-13によると、この物件の賃料収入等は2023年約1,100万円、2024年約1,111万円、2025年約1,051万円である。一方、ファンドが受け取る固定マスターリース賃料は年1,244万円で、2025年実績を約193万円(約18%)上回る。親会社は物件から入る金額より多くの賃料を払う、いわば逆ザヤの借り上げである。8.1%の分配は物件の稼ぐ力ではなく、この上乗せ賃料によって成り立っている。

配当原資は建物ではなく親会社の体力

マスターリース先の株式会社つばさメディカルグループは、AUGENの親会社(サイトでは100%親会社と記載)である。逆ザヤを埋め続けられるかどうかは同社の財務体力にかかっているが、その財務データは書面にもサイトにも開示されていない。書面上、マスターリース契約には「月額及び支払時期の定めがない」とされ、敷金・保証金もない。親会社からの仕送りに頼る構造なのに、仕送り元の家計簿が見えない状態である。

償還は次のレールへのバトン頼み

サイトは「長期保有を基本方針とし、後続ファンドへの組替え等を通じた継続運用を想定」と明記している。ショート(1か月)→ミドル(3か月)→スタンダード(6か月)と運用期間を延ばしてきた経緯から見ても、本ファンドの償還原資の本線は次の募集である。現時点の応募総額は103,270,000円で、募集額1億2,600万円の約82%にとどまる。不足分は「関係会社」が優先出資で埋める予定とされているが、保証はない。AUGEN自体の純資産は約1億604万円(2025年8月期)で、優先出資1億2,600万円の全額を自社で買い取る体力はない。

事業者は無借金・高自己資本だが小粒

AUGENの自己資本比率は93.6%と非常に高く、負債はわずか723万円である。一方で、営業利益は2023年期の1,054万円から2025年期の117万円へと急減し、営業利益率は1.9%まで落ちている。運用実績は6件(償還済み2件)にとどまり、元本割れ実績の有無はデータ未提供である。財務の質は良いが、規模の小ささが償還リスクに直結する事業者である。

「高齢者住宅転換で130%」は書面に根拠なし

サイトと説明書は「高齢者向け住宅への転換で賃料ポテンシャルは現行の約130%」「バリューアップ型ディフェンシブ」とうたっている。しかし契約成立前書面には転換計画、工事費、スケジュールのいずれも記載がない。2025年実績1,051万円を基準にすると、130%は約1,366万円である。現行の固定賃料1,244万円は、この転換による増収を先取りした水準と読める。しかも優先出資者の分配は年8.1%が上限で、残りの利益は事業者に帰属する。「バリューアップ」の果実は投資家には届かず、届くのは転換が遅れた場合のリスクだけである。

物件概要

項目 内容
所在地 宮城県仙台市若林区南小泉二丁目(地番42番16)
物件種別 共同住宅(高齢者向け賃貸住宅。サ高住登録・有料老人ホーム届出なし)
構造 鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付地上3階建
築年月 1992年5月(築34年)
延床面積 719.71㎡(土地469.82㎡、全26戸)
テナント 株式会社つばさメディカルグループ(一棟マスターリース・親会社)
稼働率 100%(マスターリース契約ベース。実際の入居率は非開示)

収益構造とNOI分析

  • NOI(実額):書面に本ファンド期間中の運営費用(管理費・保険料・固都税・修繕費)の金額が記載されていないため、算出できない。
  • (推計・参考値)想定NOI:約871万〜995万円/年(賃料1,244万円から運営費用を20〜30%控除)。想定キャップレートは約6.2%〜7.1%(取得価格1億4,000万円ベース)。
  • この推計は、書面から運営費用の実額が取得できないため、賃料収入の20〜30%を一般的な費用目安として控除した概算である。本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではない。

参考として、書面に記載された過去の物件実績(マスターリース導入前の直接運用時)を示す。

年 賃料収入等 賃貸に係る費用等 差引損益
2023年 約1,100万円 ▲約226万円 約874万円
2024年 約1,111万円 ▲約175万円 約936万円
2025年 約1,051万円 ▲約169万円 約881万円

分配に必要な金額との比較

項目 金額
優先出資者への分配必要額(1億2,600万円×8.1%×182/365) 約509万円
運用期間中の受取賃料(1,244万円×182/365) 約620万円
上記推計の費用率を適用した期間NOI(推計) 約434万〜496万円

推計どおり20〜30%の費用がかかる場合、期間NOIは分配必要額に届かない。書面の過去費用実績(年169万〜226万円)を機械的に当てはめた参考試算(本ファンドの実額ではない)でも、優先出資に対する利回りは約8.1%〜8.5%で、ほぼ余裕がない。ただし過去費用には水道光熱費が含まれており、マスターリース下では賃借人負担となる可能性がある。いずれにしても、配当が支払えるかどうかは物件の実力ではなく、親会社が上乗せ賃料を払い続けるかどうかで決まる。

  • 配当原資:インカムゲイン型(構造化データではハイブリッド型に分類)。売却益が出ても優先出資者の分配は年8.1%が上限で、残りは事業者に帰属する。
  • 事業者報酬:アップフロント・管理運営・売却報酬はいずれも0%。事業者は本ファンド単体ではほぼ利益を得ない設計である。グループ全体で見ると、物件を担保に個人投資家から年8.1%で資金を調達している構図に近い。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
㎡単価(延床) 約194,500円 データなし 算出不可
取引価格 140,000,000円 データなし 算出不可

公開取引データによる検証は実施できなかった。そのため、以下は一般的な市場データに基づく推計である。

取得価格1億4,000万円を1戸あたりに換算すると約538万円、表面利回りはマスターリース賃料ベースで約8.9%、2025年実賃料ベースで約7.5%となる。仙台市の郊外型で築30年超のRC一棟物件として、表面7〜9%帯は極端な割高とはいえない水準と推計される。ただし物件の素の実力(実賃料ベース7.5%)で評価すれば、価格は親会社の賃料上乗せによって押し上げられている。

鑑定評価では、原価法による積算価格1億2,890万円に対し、収益価格1億4,000万円(直接還元法1億4,200万円、DCF法1億3,900万円)を重視して評価額を決定している。収益価格は積算価格を1,110万円(約8.6%)上回る。この差額は「固定賃料1,244万円が続く」前提の上に成り立っている可能性が高い。取得価格は鑑定評価額と同額であり、AUGEN自身の保有資産(ミドルレールから承継)を同額で移管する関連当事者取引である。


土地評価と出口シナリオ

当該エリア(若林区南小泉、第二種住居地域、角地)の公示地価の水準は、一般的な市場データから概算で18万〜23万円/㎡、路線価は14万〜18万円/㎡程度と推計される。この場合、土地持分の相当額は約8,500万〜1億800万円の概算となる。築34年のRC建物の残存価値を加えると、積算価格1億2,890万円とおおむね整合する。正確な地価は公開情報からは確認できていない。

以下は推計NOIの中央値(約933万円)と下限(約871万円)を用いた概算である。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 6.0% 約1億5,550万円 元本全額償還(売却益は事業者に帰属)
基本 6.7% 約1億3,925万円 元本全額償還(下落0.5%を劣後出資が吸収)
悲観(マスターリース解除) 7.5%(NOIは推計下限) 約1億1,613万円 17.0%下落。劣後出資を超え、優先元本に約987万円(約7.8%)の毀損

ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 6.7%→7.7% ▲約1,808万円(13.0%下落) バッファ超過
空室率+10% 実入居0%→10%相当 マスターリース継続中はファンドNOIへの影響なし。解除時はNOI▲約105万円 解除時は約11%下落でバッファ超過
賃料下落10% 1,244万円→約1,120万円 NOI▲約124万円(価値▲約1,857万円・13.3%) バッファ超過

劣後バッファが尽きる物件価格の下落率は、劣後出資額1,400万円÷物件取得価格1億4,000万円=10.0%である。本件は借入がなく出資総額と取得価格が同額のため、劣後比率と数値が一致しているが、両者は別の概念である。売却コストを考慮しなければ、物件価格が1,400万円下落して1億2,600万円になるまでは、個人投資家の元本は無傷である。逆に言えば、キャップレートが1%上がる、賃料が1割下がる、マスターリースが解除される、のいずれか一つでバッファは突破される。1,400万円という緩衝材は、固定賃料約1.1年分の厚みしかない。


契約上の注意点

  • 倒産隔離なし:第1号事業(SPCではない)で、物件の所有権はAUGENに帰属する。分別管理は信託法34条に基づくものではないと書面に明記されている。
  • 関連当事者マスターリースの契約条件が弱い:賃借人は親会社で、「月額及び支払時期の定めなし」「敷金・保証金なし」とされている。契約満了日は運用満了日の2027年4月28日と同日である。
  • 延長と一括払い:売却等が完了しない場合、最大2年まで契約期間を延長できる。分配と償還は満期後の一括払い(予定日2027年5月12日)である。
  • 再投資枠と関係会社による出資:IV-1に「仙台市つばさ南小泉 ミドルレール」の出資者を対象とする再投資枠がある。IV-6-3により、新契約への充当は出資者の同意が前提となる。募集額に満たない場合は関係会社が優先出資する予定で、そうなると投資家と同順位にグループ資金が混在する。
  • 物件調査の不足:建物状況調査・石綿調査・会計士監査はいずれも実施されていない。広瀬川の浸水想定区域内(想定浸水深0.5m未満)にあり、周知の埋蔵文化財包蔵地にも該当する。

結論

借入ゼロ、鑑定評価あり、劣後出資ありという形式要件はそろっており、スコア上はAに届く。しかし実際のリスクは、物件の実力を超える親会社の賃料と、次のファンドへの円滑な引き継ぎという「グループ内の二本柱」に集中している。親会社の財務開示がないことを許容できる余剰資金に限定して検討すべき案件である。

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