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FUNDROP 44号「東京都目黒区」賃料保証×再組成

FUNDROP ・ 分析日: 2026年10月19日 ・ RE:Insight AI
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中目黒・築3年、利回り6%、劣後20.0%、借入ゼロ。骨格は教科書どおりでも、足元は残り約5年9ヶ月の借地で、家賃を払うのは身内。費用の裏付けは自己申告止まり、ただし12ヶ月ならバッファ内。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用12 ヶ月
予定利回り
6%
運用期間
12 ヶ月
募集総額
5,250万円
劣後比率
20.0%
所在地
東京都目黒区中目黒四丁目10番10号
種別
不動産
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3.0
収益性
3.0
透明性
3.8
元本安全性
4.5
事業者信頼性

ポイント

6%の裏付けは事業者の自己申告止まり

サイトの想定収支では、持分29.17%相当の賃料3,805,200円から支出377,213円(賃料比約9.9%)を引いた3,427,987円が分配原資で、優先配当2,520,000円を余裕で賄う絵になっている。しかし契約成立前書面には費用の内訳がない。しかも書面の審査チェックリストは「租税公課、保険料等の費用は一括借り上げ事業者の負担」と明記している。一方でサイトは公租課税28,496円と火災保険28,405円をファンド側の支出に計上している。事業者は「費用は軽い」と言うが、どちらの費用負担が正しいのか書面とサイトで噛み合っていない。一般的な費用率20〜30%で推計すると、持分相当のNOIは約266万〜304万円となる(推計)。優先配当所要額252万円に対する余裕は薄い。

借地権の残り時間が出口価格を支配する

サイトは「土地の固定資産税がかからない」と借地権のメリットを強調する。しかし地代の金額には一言も触れていない。想定収支の「その他194,740円」が地代なのかも不明だ。より重大なのは、書面に記載された借地契約期間が2013年8月30日〜2033年8月29日である点。ファンド終了時点で残存はわずか約5年9ヶ月しかない。借地権の種別(旧法借地権・普通借地権・定期借地権)、更新料、建替承諾の条件は書面にない。地積4,189.85㎡の大きな一筆の上に、家屋番号の枝番が49に達するほど建物が並ぶ大規模な借地群でもある。地主との関係は買い手の価格判断に直結する。

「賃料保証」の主語はグループ会社

マスターリース先は四葉地所株式会社で、書面上も「グループ会社」と明記されている。解約不可で、2027年5月以降の更新も合意済みだ。12ヶ月の運用期間中の賃料はこの1社の支払能力に一本化されている。延床150.74㎡に16戸、1戸あたり約9.4㎡の狭小ワンルームで、㎡あたり月額約7,212円という賃料水準になる。転貸先であるエンドテナントの実賃料は開示されていない。身内が高めの賃料を払って利回りを演出していないかは、外部から検証できない。物件自体も事業者の自己保有物件の組入れであり、取得と賃借の両方が身内で閉じている。

実績46本と脆い流動性の同居

組成46本、償還40本で、書面上は「投資家被害等は生じていない」。FY2025は営業利益約7,386万円、営業利益率約23.2%と収益力は回復した。一方、貸借対照表では流動負債約12.2億円に対し流動資産は約1.98億円にとどまる。営業外費用も約6,177万円と重い。第1号事業の匿名組合なので倒産隔離はない。事業者の資金繰りが本ファンドの最終防衛線を兼ねている。なお当方データベースの許可番号(東京都知事 第128号)は書面の記載(神奈川県知事 第28号)と一致しない。本記事では書面の記載を正とした。

物件概要

項目 内容
所在地 東京都目黒区中目黒四丁目10番10号(中目黒駅徒歩15分)
物件種別 共同住宅(借地権付建物、持分29.17%を運用)
構造 木造合金メッキ鋼板ぶき2階建
築年月 2023年4月(築3年)
延床面積 150.74㎡
テナント 四葉地所株式会社(グループ会社・サブリース、住居16戸)
稼働率 マスターリースで賃貸面積100%/エンド稼働はデータなし

収益構造とNOI分析

  • NOI(実額):書面に運営費用の記載がなく、算出できない。
  • (推計・参考値)想定NOI:9,132,480〜10,437,120円/年(物件全体)。想定キャップレートは約5.1〜5.8%(物件価格1.8億円比、推計)。
  • この推計は、運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%を一般的な費用目安として控除した参考値である。本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではない。
  • 配当原資:インカムゲイン型(売却益は全額劣後出資者=事業者に帰属)
項目 物件全体 持分29.17%相当
年間賃料収入(書面) 13,046,400円 3,805,200円(サイト記載)
推計NOI(参考値) 9,132,480〜10,437,120円 約266万〜304万円
優先配当所要額(4,200万円×6%) ― 2,520,000円

表面利回りは13,046,400円÷1.8億円=約7.25%。事業者想定の費用率約9.9%を採れば余裕はあるが、これは書面外の数字で検証はできない。一般的な費用率で引き直すと、配当カバー率は約1.06〜1.21倍まで縮む(推計)。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
㎡単価 1,194,104円 1,333,333円 -10.4%
取引価格 180,000,000円 113,704,666円(平均) +58.3%

㎡単価だけを見れば相場より約1割安い。ただし近隣データの大半は所有権付きの区分マンションで、借地権付きの木造一棟とは比較の土俵が違う。所有権の戸建・共同住宅事例を見ると、大岡山の2018年築木造共同住宅(土地165㎡)は1.7億円、2023年築木造(土地105㎡)は1.6億円で成約している。土地を所有しない本物件の1.8億円は、所有権物件と同等かそれ以上の値付けと言える。

この上乗せを正当化する材料は、中目黒・目黒という立地と、16戸に詰め込んだ高い賃料密度にある。書面の審査チェックリスト自身が「公示価格との差異がある」と認めている。鑑定評価もない以上、1.8億円は事業者が自ら付けた値札にすぎない。


土地評価と出口シナリオ

中目黒四丁目周辺の住宅地の公示地価は、概ね1㎡あたり100万円前後の水準感と推計される。敷地145.44㎡を所有権換算すると約1.45億円となる(概算)。目黒区住宅地の借地権割合を60〜70%と仮定すると、借地権相当額は約0.87億〜1.02億円(推計)。これに新築木造の建物価値を概算3,000万〜4,500万円加えても、約1.2億〜1.5億円にとどまる。1.8億円との差は、収益力へのプレミアムで埋めている計算になる。さらに2項道路のため約11.64㎡のセットバックを要する点、第一種低層住居専用地域で高さ10m制限がある点も、建替え時の上値を抑える。

推計NOIの中央値9,784,800円(推計)を基に試算した出口シナリオは以下のとおり。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 5.0% 約1億9,570万円(持分約5,708万円) 元本全額償還(売却益は劣後側へ)
基本 5.5% 約1億7,791万円(持分約5,190万円) 元本全額償還(損失約61万円は劣後で吸収)
悲観 7.0% 約1億3,978万円(持分約4,077万円) 劣後1,050万円を超過、優先元本約2.9%毀損

なお売却先には事業者の固有財産化(自社買取)も含まれる。現実の出口は市場価格より事業者の買取意思と資金力に左右されやすい。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 約5.4%→約6.4%(推計) ▲約2,806万円(約15.6%下落) バッファ内(持分ベース▲約819万円)
空室率+10% 0%→10% 運用期間中はマスターリース固定のためNOI変動なし(解除時は年▲1,304,640円) 期間中は影響なし
賃料下落10% 13,046,400円→11,741,760円 NOI▲1,304,640円(持分▲約38万円) 推計下限では優先配当所要額を下回る可能性

劣後バッファが尽きる下落率は、劣後出資1,050万円÷持分取得価格5,250万円=約20.0%。物件全体に換算すると、1.8億円が約1.44億円まで、つまり約3,600万円値下がりするまでは個人投資家の元本は無傷という計算になる。12ヶ月の運用で借地権の残存期間が1年縮む分は、このクッションから静かに削られていく。


契約上の注意点

  • 倒産隔離なし:第1号事業の匿名組合で、分別管理は信託法上の分別管理と異なる。事業者が破綻すれば保全されない。
  • 関連当事者取引の二重構造:物件は事業者の自己保有物件の組入れで、マスターリース先もグループ会社。鑑定評価はなく、価格の客観性は担保されていない。
  • アップサイドなし:売却益は全額劣後出資者に帰属する。優先出資者はダウンサイドだけを共有する設計で、分配も償還時の一括払い。
  • 延長条項と成立金額:最大3ヶ月の延長が可能。サイト上の「成立金額3,000万円」が募集額4,200万円に届かなかった場合の劣後比率の扱いは書面上不明確。
  • 物件精査の薄さ:契約不適合責任の措置なし、建物状況調査なし。借地権の種別と地代は非記載。

結論

劣後比率20.0%と借入ゼロという資本構成は、12ヶ月の短期インカム案件として合格点にある。一方で、借地権の残存期間と身内マスターリースという二つの不確実性は、書面からは検証できない。スコア合計14.3でA判定となるが、借地契約の種別と地代を事業者に確認してから資金を入れるべき案件である。

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