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みらファン第44号(愛知県名古屋市)

みらファン ・ 分析日: 2026年06月28日 ・ RE:Insight AI
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総評

利回り5.5%・劣後20%という数字だけ見れば堅実な外観。だが蓋を開ければNOI非開示・鑑定なし・自己資本比率8%の事業者が10.44億円の値付けを握る構造。築18年・徳川エリアの閑静な立地は悪くないが、「見えない経費」が配当原資を侵食する可能性は排除できない。劣後バッファが機能するかは出口価格次第。

インカム型利回り:平均的運用7ヶ月
予定利回り
5.5%
運用期間
7ヶ月
募集総額
5.2億円
劣後比率
20.0%
所在地
マップ:愛知県名古屋市東区徳川2丁目8-5
種別
不動産
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3.5
収益性
2.7
透明性
3.8
元本安全性
3.3
事業者信頼性

ポイント

配当原資は賃料収入で賄える設計だが、NOIの中身が見えない

事業者は「配当原資は現状の稼働による賃料収入を基礎として設計」「全額をインカムゲインから賄うことが可能」と明言している。年間賃料収入5,533万円(月額461万円)という数字は書面に記載されており、優先出資5.15億円×5.5%=約2,833万円の配当原資は確保できる計算だ。

しかし問題は、NOI(営業純利益)が一切開示されていない点。管理費・修繕積立金・固都税・保険料といった経費を差し引いた「手残り」がいくらなのか、投資家は知る術がない。書面には「過去の賃貸に係る費用等の情報はございません」と堂々と記載されている。賃料収入だけ見せて経費を隠す構造は、透明性の観点から減点せざるを得ない。

10.44億円の取得価格は「取引事例等を参考に算定」という曖昧な根拠

不動産鑑定評価は「なし」。価格算定方法は「取引事例等を参考に算定」とだけ記載されている。これは事業者の言い値を信じるしかない状態だ。

近隣の取引事例を見ると、名古屋市東区の中古マンションは㎡単価15〜90万円と幅広い。本物件の延床面積2,427㎡で10.44億円なら㎡単価約43万円。築18年のRC造としては妥当な水準にも見えるが、土地持分(1,193㎡)を含めた評価なのか、建物のみの評価なのかも不明確。鑑定書がない以上、「割高か割安か」の判断材料が投資家に与えられていない。

自己資本比率8.0%の事業者が劣後20%を負担する構造

みらいアセットの直近期(FY2025)の自己資本比率は8.0%。前期の22.4%から急落している。売上高6.9億円、営業利益9,127万円と成長はしているが、総資産21.4億円に対して純資産1.7億円という薄い資本構成は、不動産クラファン事業者としてもやや心許ない。

本ファンドの劣後出資額は1.29億円。これは事業者の純資産1.7億円の約76%に相当する。もちろん他のファンドとの兼ね合いもあるが、「劣後で損失を吸収する」と言われても、その劣後を出す事業者自体の財務基盤が盤石とは言い難い。第1号事業(匿名組合)のため倒産隔離もない。

出口戦略は「第三者売却・自社買取・再組成」の3パターン

書面には出口として①第三者への売却、②事業者による自社買取り、③新規ファンドへの再組成(スイッチング)の3パターンが明記されている。

注目すべきは③の再組成。これは本ファンド終了時に新たなファンドを組成し、そこに物件を譲渡する手法だ。投資家にとっては「出口が見えたと思ったら、また別のファンドに組み込まれる」可能性がある。書面上は「売却等により資金を回収」とあるため、再組成の場合も投資家への償還は行われる建付けだが、その際の譲渡価格が適正かどうかは事業者の裁量に委ねられる。

徳川エリアの立地優位性は本物だが、賃料上昇余地は限定的

事業者が強調する「徳川エリアの品格」「徳川園の近接」「大曽根駅徒歩圏」という立地特性は、名古屋の不動産市場において一定の評価を受けるエリアだ。ファミリー向け大型住戸(75〜93㎡)の供給が限られるという指摘も的を射ている。

ただし、稼働率96.6%(2026年1月時点)という高水準は、裏を返せば「これ以上の上昇余地がない」ことを意味する。賃料収入の増加によるアップサイドは期待しにくく、配当は現状維持がベースシナリオとなる。7ヶ月という短期運用で大きな変動は考えにくいが、出口での売却価格が取得価格を下回れば、劣後バッファが削られる構造だ。

物件概要

項目 内容
所在地 愛知県名古屋市東区徳川2丁目8-5
物件種別 共同住宅(賃貸マンション)
構造 鉄筋コンクリート造陸屋根9階建
築年月 2006年12月(築18年)
延床面積 2,427.39㎡
敷地面積 1,193.12㎡
テナント 個人入居者27戸(2LDK×6、3LDK×3、3SLDK×9、4LDK×9)
稼働率 96.6%(2026年1月時点)

収益構造とNOI分析

書面にはNOIが開示されていないため、開示情報から推計を試みる。

項目 金額
年間賃料収入 55,332,000円
管理費・修繕積立金 ▲推計不能
火災保険料 ▲推計不能
固都税 ▲推計不能
ファンド管理費 ▲552,000円(月額46,000円×12ヶ月)
NOI 推計不能

書面記載の事業者報酬は「本事業の管理運営対価:月額23,000円」「対象不動産の管理運営対価:月額23,000円」の合計月額46,000円(税別)。年間約55万円程度だが、これ以外の経費(管理費・修繕・固都税・保険料)は「過去の賃貸に係る費用等の情報はございません」として非開示。

一般的なRC造マンションの経費率(賃料収入の20〜30%)を仮定すると、NOIは3,900〜4,400万円程度と推計される。この場合のキャップレートは3.7〜4.2%となり、名古屋市内のファミリー向け賃貸マンションとしては標準的な水準。ただしこれはあくまで推計であり、実際のNOIは不明。

  • 配当原資: インカムゲイン型(賃料収入から配当、売却益は元本償還に充当)
  • 優先出資への配当所要額: 5.15億円×5.5%×(207日/365日)≒約1,607万円
  • 賃料収入(7ヶ月分): 5,533万円×(207日/365日)≒約3,138万円

配当所要額に対して賃料収入は十分な水準。経費を差し引いても配当原資は確保できる計算だが、NOI非開示のため確証は持てない。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
㎡単価(延床) 430,145円 517,647円 -16.9%
取引価格 1,044,000,000円 50,469,951円 比較困難

近隣取引データは主に区分マンションや戸建住宅が中心で、一棟RCマンションの取引事例は限られる。㎡単価で見ると、ファンド物件は近隣中央値より約17%低い水準にあるが、これは一棟売買と区分売買の違いによるもので、単純比較は適切でない。

名古屋市東区の住宅地公示地価(2024年)は㎡あたり25〜35万円程度。本物件の敷地1,193㎡に適用すると土地価格は3.0〜4.2億円と推計される。建物価格を6〜7億円と仮定すれば、取得価格10.44億円は「やや強気だが著しく割高とは言えない」水準。ただし鑑定評価がないため、この推計の妥当性も検証不能。


土地評価と出口シナリオ

名古屋市東区徳川エリアの路線価は㎡あたり20〜28万円程度(推計)。敷地1,193㎡に適用すると、土地の相続税評価額は2.4〜3.3億円程度。路線価は時価の8割程度とされるため、時価ベースでは3.0〜4.1億円と推計される。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 3.5% 11.2億円 元本全額償還+劣後へのキャピタル配当
基本 4.0% 9.8億円 元本全額償還(劣後が一部毀損)
悲観 4.5% 8.7億円 劣後全損+優先出資の一部毀損リスク

※NOI4,000万円(推計)を基準に算出

基本シナリオでは売却価格が取得価格を下回るが、劣後出資1.29億円で吸収可能。悲観シナリオでは劣後バッファを超える損失が発生し、優先出資者にも影響が及ぶ可能性がある。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 4.0%→5.0% ▲1.64億円(15.7%下落) バッファ超過リスク
空室率+10% 3.4%→13.4% NOI▲553万円 バッファ内
賃料下落10% 5,533万円→4,980万円 NOI▲553万円 バッファ内

劣後出資額1.29億円÷物件取得価格10.44億円=12.4%。物件価格が12.4%(約1.29億円)下落するまでは、優先出資者の元本は毀損しない計算。キャップレートが1%上昇すると物件価値は約15.7%下落し、劣後バッファを超過する。7ヶ月という短期運用で金利環境が急変する可能性は低いが、出口での売却交渉が難航すれば、想定外の値引きを強いられるリスクはある。


契約上の注意点

  • 利害関係人取引: 対象不動産は事業者(みらいアセット)の固有財産からの取得。取得価格10.44億円の妥当性を第三者が検証していない。
  • 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合)のため、事業者が破綻した場合、ファンド資産は破産財団に組み込まれる可能性がある。
  • 銀行借入あり: 4億円の借入(LTV38.3%)があり、根抵当権が設定されている。返済期限は2027年3月31日で、ファンド終了(2027年1月31日)後も残存。
  • 変動金利リスク: 借入金利は日本円TIBORに連動して変動。金利上昇時は経費増加により配当原資が圧迫される。
  • 再組成(スイッチング)の可能性: 出口戦略として「新規ファンドへの再組成」が明記されており、物件が次のファンドに引き継がれる可能性がある。

結論

劣後比率20.0%は一定の安全弁として機能するが、NOI非開示・鑑定評価なしという情報の欠落が判断を難しくしている。事業者の財務基盤の薄さも考慮すると、「余剰資金の範囲内で」という条件付きの投資対象。

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