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30日で戻る元本の出口は、鑑定なし・事業者算定4.27億円の身内の数字。満室もグループ借上げ12戸頼みで、賃料は割高の可能性。劣後20.0%は、キャップレート+1%で価値が約17%下がる局面を吸収しきれない。B判定は慎重な余剰資金限定。
ポイント
配当は賃料で約1.5倍カバー
優先出資1億7,600万円に対する30日分の配当は約79.6万円です。原資となる月額賃料は160.3万円あります。ここから以下の費用を差し引くと、残りは約120万円です。
- 借入1.6億円の利息(年2.425%、30日分):約31.9万円
- 事業者の管理運営報酬:月3.2万円
- 物件管理報酬:月約5.0万円
配当に対するカバー率は約1.5倍になります。ただし固定資産税・都市計画税と保険料は書面に記載がないため、この計算は上振れしています。配当は賃料で賄えそうですが、確定した実額のNOI(純営業収益)による裏付けとは言えません。
「インカム型」の看板と、30日後に来る元本の出口
サイトは「全額をインカムゲインから賄う」「売却益を前提としない」「外部環境に左右されにくい」と強調しています。これは配当については事実です。しかし運用期間はわずか30日で、延長はできません。つまり元本は100%、30日後の売却で返ってくる仕組みです。出口の候補は第三者への売却、自社での買取り、再組成の3つです。本件自体が「みらファン第34号」からの再組成であることを考えると、次も身内への譲渡となる公算が大きいでしょう。構造データ上の配当原資区分が「ハイブリッド型」となっている点も、サイトの説明と一致しません。
満室の正体と、書面の「主要テナントなし」の齟齬
サイトによると、14戸のうち12戸をグループ会社の株式会社アットイン(マンスリーマンション運営)が借り上げています。一方、書面には「主要なテナント(賃貸面積の10%以上)に該当するものはない」とあります。さらに利害関係人との取引の欄にも、この賃貸借の記載はありません。12戸は面積の大半を占めるはずで、事業者はグループ借り上げを安定性の根拠として語るのに、書面にはその集中が表れないという乖離があります。2025年10月時点の稼働率が約14.3%だった点を見ても、満室は市場の需要ではなく、グループの借り上げで作られたものです。
価格4.27億円と取得額3.8億円の4,700万円差
書面の「対象不動産の価格」は4億2,700万円で、算定方法は収益還元法を中心にした事業者自身の算定です。一方、事業者自身との不動産売買の額は3億8,000万円で、サイトの事業総額もこれに一致します。4,700万円の差は見かけ上の含み益ですが、鑑定評価も第三者調査もありません。検証できない含み益にすぎません。
51本の実績と、急成長期の財務基盤
運営するみらいアセットは、累計51本・調達総額約73.4億円・償還36本の実績を持ちます。書面上も「投資家被害や苦情等は発生していない」と自己申告しています。直近期の業績は売上高31.9億円・営業利益2.1億円の黒字です。自己資本比率は増資で8.0%から16.0%に改善しましたが、余裕のある水準ではありません。償還実績の一部が再組成による「物件の付け替え」である可能性があり、第三者への売却力が実証されているかは、公開データからは判別できません。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都大田区東糀谷四丁目4番地24(京急空港線「大鳥居」駅 徒歩7分) |
| 物件種別 | 共同住宅(1R×4、1K×4、1DK×4、1LDK×2) |
| 構造 | 木造合金メッキ鋼板ぶき4階建 |
| 築年月 | 2025年6月(築1年) |
| 延床面積 | 395.29㎡(敷地205.45㎡・準工業地域) |
| テナント | 住戸14戸(うち12戸をグループ会社のアットインが借り上げ※サイト記載) |
| 稼働率 | 100%(2026年10月1日時点) |
収益構造とNOI分析
書面には賃料総額と報酬の算式はありますが、保険料と固定資産税・都市計画税の金額は記載されていません。そのため、以下は記載のない費用を0円として計上した暫定値です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入 | 19,236,000円 |
| 管理費(物件管理運営対価・税別) | ▲597,720円 |
| 火災保険料 | 書面記載なし(0計上) |
| 固都税 | 書面記載なし(0計上) |
| NOI(実額・下振れ注意) | 18,638,280円 |
- キャップレート(実額・暫定):取得額3.8億円に対して4.90%、事業者算定価格4.27億円に対して4.36%
- ※固定資産税・都市計画税と保険料を0円としているため、実際のNOIと利回りはこれより低くなります。新築のため建物の固定資産税は軽減措置の対象となる可能性がありますが、書面での確認はできません。
- NOIの外側で、事業者の管理運営報酬が年38.4万円、借入利息が年388万円かかります。
- 配当原資:ハイブリッド型(構造データ上)。サイトの説明は実質インカム型ですが、元本は売却に依存します。
賃料は1戸平均約11.5万円、㎡あたり約4,560円/月です。大鳥居駅から徒歩7分の木造アパートとしては強めの水準である可能性があります(推計)。マンスリー事業者による借り上げだからこそ成立する賃料かもしれず、第三者の買い手が一般賃料に引き直して評価すれば、価格の下押し要因になります。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価 | 961,319円(取得額÷延床) | 880,000円 | +9.2% |
| 取引価格 | 380,000,000円 | 68,567,020円(平均) | +454.2% |
提供された取引事例のサンプルは池上地区が中心で、東糀谷のデータではありません。集計値も、区分マンションや土地を含む大田区全体規模の混合データとみられます。取引価格の乖離は規模の差によるもので、比較の意味はありません。㎡単価で見ると、取得額ベースでは+9.2%、事業者算定価格4.27億円ベース(1,080,224円/㎡)では+22.8%となります。
比較的近い事例として、池上の2023年築の木造共同住宅(土地200㎡・延床340㎡)が2.6億円で取引されています。延床単価は約76.5万円/㎡で、本件の取得額はこれより約26%高い水準です。新築であること、4階建てで容積を消化していることを考えれば一定の上乗せは説明できます。ただし、事業者算定価格の4.27億円はかなり強気と言えます。東糀谷での取引データは不足しているため、ここでの検証は限定的です。
土地評価と出口シナリオ
東糀谷四丁目の公示地価・路線価は、公開情報からは確認できませんでした。一般的な市場データに基づくと、周辺の住宅地は1㎡あたり45〜60万円程度と推計され、土地の価値は概算で9,200万〜1.23億円です。新築木造の再調達原価(概算1.2〜1.4億円)を加えても、積算価格は2億円台前半から半ばにとどまる推計です。取得額3.8億円は、ほぼ収益価格(賃料水準)に依存しています。
以下は、暫定NOI 18,638,280円をもとにした試算です。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 4.0% | 約4億6,596万円 | 元本全額償還+キャピタル配当 |
| 基本 | 4.5% | 約4億1,418万円 | 元本全額償還 |
| 悲観 | 5.5% | 約3億3,888万円 | 劣後でぎりぎり吸収。売却報酬を含めると優先出資の毀損余地あり |
悲観シナリオは、劣後出資が尽きる価格(3億3,600万円)をわずかに上回るにすぎません。しかも暫定NOIは費用を0円計上した上振れ値です。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 4.9%→5.9% | ▲約6,410万円(16.9%下落) | 超過(バッファ11.6%) |
| 空室率+10% | 0%→10% | NOI▲約189万円(価値▲約3,847万円・10.1%) | バッファ内だが残りは約1.5ポイント |
| 賃料下落10% | 19,236,000円→17,312,400円 | NOI▲約189万円 | 空室時と同程度。30日分の配当への影響は軽微 |
総評:取得額3億8,000万円から4,400万円(11.6%)下落し、3億3,600万円になるまでは、優先出資者の元本は劣後出資が吸収します。ただし売却時には売却価格の3%の事業者報酬(3.8億円で売却した場合は1,140万円)が別途差し引かれるため、実際の余裕はこれより薄くなります。30日という短期間に相場が急落する確率は低いでしょう。真のリスクは相場ではなく、次の出口価格を誰がどう決めるかにあります。
契約上の注意点
- 第1号事業で倒産隔離なし:物件の所有権は事業者に帰属します。分別管理は信託法第34条に基づくものではないため、事業者が破綻すれば元本全額が返還されないおそれがあります。
- 関連当事者取引が多重:取得先は事業者自身(3.8億円)、借り上げ先はグループ会社、出口候補は自社買取りと再組成です。価格決定で利益相反が生じる構造です。
- 劣後増額条項の数値が不整合:「出資総額が7,000万円に達するまで劣後を増額する」とありますが、出資予定総額2.2億円と矛盾しており、誤記の可能性があります。最低成立額の1.5億円で成立した場合の劣後額が書面からは確定できません。
- 中途解約手数料が出資価格の50%(最低5,000円・税別):1口1万円の出資なら半額が消えます。
- 鑑定評価・建物状況調査・第三者調査はいずれもなし。ハザードマップでは洪水・高潮ともに浸水深0.5〜3.0m未満と想定されており、高潮時は1〜3日間の浸水継続が見込まれています。銀行借入1.6億円は第1順位の抵当権付きで、優先出資より先に返済されます。
結論
30日分の配当は賃料で十分に賄える一方、元本は鑑定のない価格と、グループの借り上げに支えられた満室、そして身内による出口に依存しています。劣後比率20.0%の厚みが判定をBに踏みとどまらせています。
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