総評
利回り3.5%・劣後20%・親会社MLという三重の防壁は堅固に見えるが、鑑定額との7%乖離が劣後を実質13%へ削る。運営費用ゼロ開示でNOI検証不能、身内取引のフルコースに第三者の目は届きにくい。償還実績ゼロの出口は未知数。
ポイント
利回り3.5%は「守りの設計」だが配当原資の検証手段がない
予定利回り3.5%は不動産クラファン市場では控えめな部類。インカム型を標榜し、賃料収入のみを配当原資とする設計は堅実に見える。しかし書面には管理費・火災保険料・固都税・修繕費といった運営費用が一切記載されておらず、NOIを実額で算出できない。鑑定書に記載されたNOI合計(11室分)は約664万円、これを出資総額1億5,400万円で割ると4.3%程度となり、予定利回り3.5%を上回る計算にはなるが、鑑定NOIと実際の費用構造が一致する保証はない。投資家が自力で配当原資を検証できない点は、透明性の観点で減点材料となる。
鑑定評価額と出資総額の乖離が劣後バッファを侵食する
11室の鑑定評価額合計は1億4,350万円(304号室1,420万円〜506号室1,480万円の合算)。一方、出資総額は1億5,400万円であり、約7.3%のプレミアムが乗っている。劣後比率20.0%は一見厚いが、取得価格が鑑定額を上回る分だけ「実質的な安全弁」は薄くなる。仮に売却時に鑑定額どおりの価格しか付かなければ、劣後出資3,080万円のうち約1,050万円が毀損し、残りの劣後バッファは約13%相当に縮小する計算だ。
親会社マスターリースは安心材料だが関連当事者取引の塊
一建設(東証プライム上場・飯田グループHD傘下)がマスターレッシーとして月額70.8万円(年額約850万円)を支払う契約が予定されている。空室リスクを親会社が吸収する構造は投資家にとってプラスだが、物件取得先も当社自身、管理委託先も当社、マスターリース先も親会社という「身内取引のフルコース」である点は認識しておくべき。利益相反の可能性がゼロとは言えず、第三者チェックが効きにくい構造だ。
第1号事業ゆえに倒産隔離がない
本ファンドは不動産特定共同事業法の第1号事業(匿名組合型)であり、SPCを用いた特例事業ではない。つまり、事業者であるリビングコーポレーションが破綻した場合、対象不動産は破産財団に組み込まれ、投資家の出資金が優先的に保護される保証はない。親会社・一建設の信用力に依存する構造であり、飯田グループ全体の財務状況を定期的にウォッチする姿勢が求められる。
事業者の財務基盤は堅調だがトラックレコードに償還実績がない
リビングコーポレーションの直近期(FY2026)は売上高108.6億円、営業利益14.2億円、自己資本比率39.8%と健全。40件のファンド組成実績があるが、償還済みファンドは0件という点は気になる。元本割れ実績がないのは良いが、「まだ一度も出口を迎えていない」という事実は、出口リスクの検証材料が存在しないことを意味する。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県名古屋市中区千代田一丁目1501番地 |
| 物件種別 | 区分マンション(共同住宅)11室 |
| 構造 | 鉄筋コンクリート造陸屋根5階建 |
| 築年月 | 2016年3月15日(築10年) |
| 延床面積 | 1,003.56㎡(棟全体)/投資対象11室合計約290㎡ |
| テナント | 個人(マスターリース予定:一建設株式会社) |
| 稼働率 | 98.6%(2026年3月〜6月実績) |
収益構造とNOI分析
書面には運営費用(管理費・火災保険料・固都税等)の記載がなく、実額NOIは算出不能。以下は参考値としての推計レンジを示す。
- NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
- (推計・参考値)想定NOI: 588,000〜672,000円/年(推計・参考値)
- (推計・参考値)想定キャップレート: 4.1〜4.7%(推計・参考値)
- 運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%(実支出ベース。減価償却・借入金利は含まない)を運営費用の目安として控除し、利回りをレンジで推計した参考値です。実額が取得できた費用とは別枠の概算であり、根拠は賃貸管理事業者による一般的な費用目安および国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」等に基づきます。本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではありません。
- 配当原資: ハイブリッド型(インカムゲイン+キャピタルゲイン)
なお、鑑定書に記載された11室のNOI合計は約664万円(直接還元法ベース)、還元利回り4.0%で算出されている。これを出資総額1億5,400万円で割ると約4.3%となり、予定利回り3.5%を上回る。ただし鑑定NOIは鑑定士の想定費用に基づくものであり、実際の運営費用と一致するとは限らない点に留意が必要。
マスターリース賃料は月額70.8万円(年額約850万円)が見込まれており、これが配当原資の中核となる。マスターリース先が親会社・一建設であるため、空室リスクは実質的に遮断されるが、一建設の信用リスクに置換されている構造だ。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価 | 約531,000円 | 615,385円 | -13.7% |
| 取引価格(11室合計) | 154,000,000円 | — | — |
近隣取引データ(名古屋市中区千代田エリア、2024年)によると、中古マンションの㎡単価中央値は約61.5万円。本ファンドの投資対象11室(合計約290㎡)を出資総額1億5,400万円で割ると㎡単価は約53.1万円となり、近隣相場より約14%割安に見える。
ただし、近隣取引事例はファミリータイプ(3LDK・75〜85㎡)が中心であり、本物件のような1K・1LDK(25〜27㎡)の単身向け区分とは直接比較しにくい。単身向け区分は㎡単価が高くなりやすい傾向があるため、「割安」と断定するのは早計。むしろ鑑定評価額1億4,350万円との比較で7%超のプレミアムが乗っている点を重視すべきだろう。
土地評価と出口シナリオ
名古屋市中区千代田エリアの公示地価(2024年)は商業地域で㎡あたり40〜50万円程度。本物件の土地持分(268.42㎡×76,276分の28,971≒約102㎡相当)を概算すると、土地持分相当額は約4,000〜5,000万円程度と推計される。鑑定書でも土地比率は約40%とされており、整合的。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 3.8% | 約1億7,500万円 | 元本全額償還+キャピタル配当 |
| 基本 | 4.0% | 約1億6,600万円 | 元本全額償還 |
| 悲観 | 4.5% | 約1億4,750万円 | 劣後出資で吸収可能(優先出資は保護) |
基本シナリオ(キャップレート4.0%)では、鑑定NOI合計664万円÷4.0%≒1億6,600万円で売却可能と想定。出資総額1億5,400万円を上回るため、元本償還は問題ない。悲観シナリオ(キャップレート4.5%)でも売却価格は約1億4,750万円となり、劣後出資3,080万円の範囲内で損失を吸収できる計算。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 4.0%→5.0% | ▲約3,300万円(約20%下落) | バッファ内ギリギリ |
| 空室率+10% | 98.6%→88.6% | NOI▲約85万円 | ML契約で遮断 |
| 賃料下落10% | 850万円→765万円 | NOI▲約85万円 | 配当原資に影響 |
劣後出資額3,080万円÷出資総額1億5,400万円=20.0%が劣後比率だが、物件価格ベースで見ると劣後出資額3,080万円÷物件取得価格1億5,055万円≒20.5%が「物件価格の下落耐性」となる。キャップレートが1%上昇すると物件価値は約20%下落し、劣後バッファをほぼ使い切る水準。名古屋市中区の賃貸市場が大きく崩れない限り、優先出資者の元本は守られる公算が高いが、余裕は決して大きくない。
契約上の注意点
- 第1号事業(匿名組合型)のため倒産隔離なし: 事業者破綻時、対象不動産は破産財団に組み込まれる可能性。
- 関連当事者取引の集中: 物件取得・管理委託・マスターリースがすべて当社または親会社との取引。
- 中途解約不可: クーリングオフ期間(8日間)を除き、原則として契約解除・持分譲渡は事業者の承諾が必要。
- 運用期間延長の可能性: 売却が完了しない場合、事業者判断で運用期間を延長する旨の条項あり。
- 借入金の存在: 棟全体で2億円の借入残高があり、ファンド組入時に対象住戸分を返済する仕組み。ファンド運用中は借入なし(LTV0%)だが、返済が滞った場合のリスクは認識しておくべき。
結論
劣後比率20.0%と親会社マスターリースによる空室リスク遮断は評価できるが、運営費用の非開示・鑑定額との乖離・償還実績ゼロという「検証材料の不足」が足を引っ張る。余剰資金で飯田グループの信用力に賭けるなら検討余地はあるが、積極的に資金を振り向ける案件ではない。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。