総評
利回り7.0%は計算上は筋が通るが、鑑定なし・築52年含む5戸バルク・劣後10%の薄い防護壁という三重苦。70号からの「回転寿司」設計で出口は事業者の匙加減次第。余剰資金で様子見が賢明。
ポイント
鑑定評価なしで1.93億円の値付けは「自己採点」
5物件合計の取得価格1億9,360万円に対し、不動産鑑定士による鑑定評価は「なし」と明記されている。算定方法は「近隣エリアの同種の不動産の取引事例の内容を基にした不動産価格」とあるが、誰がどの事例を選び、どう補正したかは一切開示されていない。事業者が自ら保有する物件を自ら値付けし、自ら組成するファンドに組み入れる構造であり、第三者チェックが完全に欠落している。投資家は「事業者の言い値」を信じるしかない。
NOI推計14,850,000円の裏側を分解する
年間賃料収入15,240,000円(その他収入360,000円含む)から管理・建物維持費859,560円、火災保険料192,036円、固都税624,072円を差し引くと13,564,332円となるが、書面記載のNOI推計は14,850,000円。約128.6万円の乖離がある。「その他の収入」360,000円を賃料外収入として加算しても説明がつかず、費用項目に含まれていない何らかの調整(修繕積立金の扱い等)が推測される。この不透明さが利回り妥当性の評価を押し下げる要因となっている。
70号ファンドからのスイッチングが示す「回転寿司」構造
書面には「70号ファンドの対象不動産であり」「スイッチング申込者につきましては、引継ぎ元ファンドの償還元本が出資金として自動充当される」と明記されている。5物件中4物件が70号ファンド(リースバックバルクPJ第3回)からの引き継ぎであり、満期到来→後継ファンド組成→投資家の資金が次のファンドへ流れる仕組みが制度化されている。出口が「後継ファンド組成、または、対象不動産の本事業者の自己資産組み入れ」と記載されており、外部売却による市場価格での換金は副次的な位置づけに過ぎない。
マスターリース先は役員兼任のグループ会社
賃借人である株式会社スリーワイズエステートの代表取締役・正木洋平氏は、本事業者ワイズホールディングスの役員でもある。マスターリース賃料の設定、テナント管理、賃料の支払い——すべてがグループ内で完結する。利益相反の温床であり、マスターリース賃料が市場賃料と乖離していても外部から検証する手段がない。月額124万円(5物件合計)の妥当性は、投資家自身が個別に検証するしかない。
築52年から築0年まで——バルクの中身は玉石混交
最古のA-1(東豊エステート)は1973年築で築52年。SRC造とはいえ、大規模修繕の履歴も建物状況調査も未実施。一方、B-2(練馬区貫井四丁目)は2015年築の木造戸建てで築10年。築年数・構造・立地がバラバラな5物件を1つのファンドに束ねることで、個別物件のリスクが見えにくくなっている。特にA-1の専有面積24.77㎡・取得価格1,360万円は、築年数を考慮しても流動性に疑問が残る。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都江東区牡丹二丁目(A-1)、横浜市鶴見区上の宮二丁目(A-2)、東京都台東区寿四丁目(A-3)、三鷹市牟礼三丁目(B-1)、練馬区貫井四丁目(B-2) |
| 物件種別 | 区分マンション3戸(A-1〜A-3)、戸建て2戸(B-1〜B-2) |
| 構造 | A-1: SRC造10階建、A-2: RC造地下1階付7階建、A-3: SRC造12階建、B-1: 木造スレート葺2階建、B-2: 木造スレート葺2階建 |
| 築年月 | A-1: 1973年1月(築52年)、A-2: 2004年7月(築21年)、A-3: 1988年6月(築37年)、B-1: 1998年5月(築27年)、B-2: 2015年4月(築10年) |
| 延床面積 | A-1: 24.77㎡、A-2: 69.63㎡、A-3: 51.20㎡、B-1: 127.11㎡、B-2: 105.58㎡ |
| テナント | 株式会社スリーワイズエステート(マスターリース・一括賃貸) |
| 稼働率 | 2023年11月1日より100%稼働(A-2は新規取得のため記録なし) |
収益構造とNOI分析
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入(その他収入含む) | 15,240,000円 |
| 管理・建物維持費 | ▲859,560円 |
| 火災保険料 | ▲192,036円 |
| 固都税 | ▲624,072円 |
| 費用控除後(RE:Insight AI再計算) | 13,564,332円 |
| 書面記載NOI推計 | 14,850,000円 |
| 乖離額 | +1,285,668円 |
書面記載のNOI推計14,850,000円と、開示費用を差し引いた再計算値13,564,332円との間に約129万円の乖離がある。推測される原因としては、①書面記載の費用項目に修繕積立金が含まれていない可能性(区分マンション3戸分の修繕積立金は管理費と別建てで計上されている可能性がある)、②NOI推計が「想定される支出」以外の費用を含まない粗い見積もりである可能性が考えられる。ただし、いずれも推測の域を出ず、費用構造の透明性は低い。
- キャップレート(書面NOIベース): 14,850,000円 ÷ 193,600,000円 = 7.67%
- キャップレート(再計算NOIベース): 13,564,332円 ÷ 193,600,000円 = 7.01%
- 配当原資: ハイブリッド型(インカムゲイン7.0%を基本とし、売却時にキャピタルゲインの上乗せ可能性あり)
再計算ベースのキャップレート7.01%は、予定利回り7.0%とほぼ一致する。これは、費用控除後の収益がそのまま投資家への分配に回る「余裕ゼロ」の構造を意味する。事業者報酬が0.0%(組成・管理・売却いずれも)と設定されているため成立しているが、想定外の修繕費や空室が発生した場合のバッファは極めて薄い。
市場価格検証
公開取引データによる検証は実施できませんでした(国土交通省 不動産情報ライブラリからの市場取引データが取得不可)。
以下、一般的な市場データに基づく推計分析を行う。
| 比較項目 | ファンド物件 | 一般的な市場水準(推計) | 備考 |
|---|---|---|---|
| A-1 ㎡単価 | 約549,000円/㎡(壁芯) | 築50年超SRC・江東区:400,000〜600,000円/㎡(推計) | 概ね市場水準内 |
| A-2 ㎡単価 | 約444,600円/㎡(壁芯) | 築20年RC・鶴見区:350,000〜500,000円/㎡(推計) | 概ね市場水準内 |
| A-3 ㎡単価 | 約628,400円/㎡(壁芯) | 築37年SRC・台東区:500,000〜700,000円/㎡(推計) | 概ね市場水準内 |
| B-1 土地㎡単価 | 約324,600円/㎡(土地面積ベース) | 三鷹市牟礼:300,000〜400,000円/㎡(推計) | 建物価値込みのため単純比較不可 |
| B-2 土地㎡単価 | 約304,900円/㎡(土地面積ベース) | 練馬区貫井:280,000〜380,000円/㎡(推計) | 建物価値込みのため単純比較不可 |
上記はいずれも推計値であり、確定的な市場価格ではない。5物件とも極端な割高感は見られないが、鑑定評価がないため「適正価格」の確証は得られない。特にA-1(築52年・専有面積24.77㎡)は、築年数の古さから流通市場での買い手が限定される可能性があり、取得価格1,360万円の妥当性は慎重に見る必要がある。
戸建て2物件(B-1、B-2)については、リースバック物件であることから、通常の実需向け売買価格より10〜20%程度ディスカウントされた価格で取得されている可能性がある。これはリースバック物件の一般的な特性であり、ファンド終了時の売却価格にも同様のディスカウントが適用される可能性を考慮すべきである。
土地評価と出口シナリオ
各物件の土地持分相当額を公開情報に基づき概算する(いずれも推計値)。
A-1(江東区牡丹二丁目): 敷地権割合31/10,000 × 敷地面積3,331.81㎡ = 持分約10.33㎡。江東区牡丹エリアの公示地価は概ね500,000〜600,000円/㎡程度(推計)。土地持分相当額は約516万〜620万円と概算される。
A-2(横浜市鶴見区上の宮): 敷地権割合7,424/562,749 × 敷地面積3,565.16㎡ = 持分約47.02㎡。鶴見区上の宮エリアの公示地価は概ね200,000〜250,000円/㎡程度(推計)。土地持分相当額は約940万〜1,176万円と概算される。
A-3(台東区寿四丁目): 敷地権割合5,500/437,795 × 敷地面積683.26㎡ = 持分約8.58㎡。台東区寿エリアの公示地価は概ね700,000〜900,000円/㎡程度(推計)。土地持分相当額は約601万〜772万円と概算される。
B-1(三鷹市牟礼三丁目): 土地面積167.86㎡。三鷹市牟礼エリアの公示地価は概ね300,000〜350,000円/㎡程度(推計)。土地評価額は約5,036万〜5,875万円と概算される。
B-2(練馬区貫井四丁目): 土地面積190.01㎡。練馬区貫井エリアの公示地価は概ね300,000〜350,000円/㎡程度(推計)。土地評価額は約5,700万〜6,650万円と概算される。
5物件合計の土地持分相当額概算: 約1億2,793万〜1億5,093万円(推計)。出資総額1億9,360万円に対し、土地だけでは66〜78%程度のカバー率にとどまる。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格(5物件合計) | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 6.5% | 約2億2,846万円(推計) | 元本全額償還+キャピタル配当の可能性 |
| 基本 | 7.5% | 約1億9,800万円(推計) | 元本全額償還(薄い余裕) |
| 悲観 | 9.0% | 約1億6,500万円(推計) | ▲約2,860万円。劣後出資1,936万円では吸収不可、優先出資者に約924万円の毀損リスク |
ただし、書面上の出口は「後継ファンド組成、または、対象不動産の本事業者の自己資産組み入れ」が予定されており、外部売却は副次的。後継ファンド組成の場合、物件の時価評価が適正に行われるかどうかが投資家保護の鍵となる。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 7.67%→8.67% | 約▲2,224万円(約11.5%下落) | 劣後1,936万円を超過。優先出資者に約288万円の毀損リスク |
| キャップレート+2% | 7.67%→9.67% | 約▲3,987万円(約20.6%下落) | 劣後バッファ大幅超過 |
| 賃料下落10% | 月額124万→111.6万円 | NOI約▲149万円/年、物件価値約▲1,936万円(推計) | 劣後バッファとほぼ同額 |
| 空室1物件発生(A-1想定) | 100%→80%相当 | NOI減少(物件個別賃料非開示のため正確な算出不可) | マスターリースのため直接影響なし(ML先の信用リスクに転嫁) |
物件価格が1,936万円(出資総額の10.0%)値下がりするまでは、優先出資者の元本は無傷。しかし、キャップレートがわずか1%上昇しただけで劣後バッファを突破する計算となる。5物件バルクの分散効果はあるものの、築52年物件を含むポートフォリオの価格変動リスクを劣後比率10.0%で吸収するには心許ない。マスターリース構造により空室リスクはML先に転嫁されているが、ML先がグループ会社である以上、事業者グループ全体の信用リスクと同義である。
契約上の注意点
- 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)であり、SPC方式ではない。事業者が破産した場合、対象不動産は事業者名義で登記されているため、一般債権者と同列で扱われるリスクがある。
- マスターリース先が関連当事者: 株式会社スリーワイズエステートは事業者役員が代表取締役を兼務するグループ会社。賃料設定・支払いの独立性に構造的な疑義がある。
- スイッチング条項: 70号ファンドからの引き継ぎ投資家は「償還元本が出資金として自動充当」される。また、本ファンド満期時も「後継ファンド組成」が予定されており、資金が事業者のファンド間を循環する構造が制度化されている。
- 契約期間の延長リスク: 事業者の判断で開始日を最大2ヶ月延期可能。また、契約延長条項により終了日も変更される可能性がある。投資家の資金拘束期間が当初想定より長期化するリスクがある。
- A-2物件の抵当権: サンクタス菊名には売主名義の抵当権(債務額4,230万円)が設定されており、「本ファンドの運用開始と同時に抹消予定」とされているが、抹消が完了しなかった場合のリスクは投資家が負う。
結論
利回り7.0%の裏付けは再計算ベースで辛うじて成立するが、鑑定評価なし・NOI乖離・グループ内マスターリース・スイッチング前提の出口設計という四重の不透明性が、劣後比率10.0%の薄いクッションの上に積み重なっている。事業者の85件・元本割れゼロの実績は評価に値するが、それは過去の話であり、本ファンド固有の構造リスクを免責するものではない。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。