総評
利回り7.0%の中身はインカム1.0%+売却益6.0%という綱渡り。築56年・耐震未達の区分を2.65億円で売り抜ける前提だが、前回ファンドで売却できず再ファンド化した経緯が透ける。劣後15.1%でも、キャップレート+0.5%で劣後バッファは吹き飛ぶ。
ポイント
利回り7.0%の正体は「売却益6.0%」への全賭け
予定利回り7.0%の内訳は、インカムゲイン1.0%+キャピタルゲイン6.0%。年間賃料480万円から管理費・修繕積立金・固都税等を差し引いたNOIは約280万円程度と推計され、出資総額2.65億円に対するNOI利回りは1.06%に過ぎない。インカム1.0%は辛うじて賄えるが、残り6.0%は物件売却益に完全依存する。売却価格が取得価格を下回れば、キャピタル配当はゼロどころか元本毀損に直結する構造だ。
築56年・耐震基準未達の「時限爆弾」
1969年築のSRC造マンションは、2007年の耐震診断で「耐震指標が判定基準を下回っている」と明記されている。建築確認・検査済証の取得も「不明」とされ、増改築すら法的に困難な状態。さらに建蔽率・容積率ともに現行基準をオーバーしており、是正命令リスクを抱える。買い手が限定される「訳あり物件」であることは書面から明白だ。
前回ファンドからのスイッチング=売れなかった証拠
本ファンドは第74号ファンド(赤坂7丁目区分マンション)の「スイッチング申込対象ファンド」と明記されている。つまり、前回ファンドの運用期間中に売却できず、再ファンド化で延命を図った案件だ。事業者は「投資家向け情報」で経緯を説明するとしているが、書面上は「売却先が見つからなかった」という事実が浮かび上がる。出口戦略の不透明さは、投資家が最も警戒すべきポイントである。
鑑定評価なし・2.65億円の根拠は「外部査定」のみ
物件価格2.65億円の算定根拠は「外部の査定評価額を基にした不動産価格」とあるのみで、不動産鑑定士による鑑定評価は実施されていない。査定と鑑定は法的な重みが全く異なる。鑑定なしでは、取得価格の妥当性を第三者が検証する術がない。近隣取引データとの比較でも、築56年・121㎡で2.65億円(㎡単価219万円)は、港区の築古マンション相場と比較して割高感が否めない。
マスターリース先は100%子会社という「身内取引」
賃料を支払うマスターリース先は、事業者の100%子会社である株式会社スリーワイズエステート。空室リスクは回避できるが、親会社の財務状況が悪化すれば子会社の賃料支払い能力も連動して低下する。倒産隔離されていない第1号事業であり、事業者の信用リスクがそのまま投資家のリスクとなる構造だ。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区赤坂七丁目268番 |
| 物件種別 | 居宅(区分マンション) |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造1階建(専有部分) |
| 築年月 | 1969年9月(築56年) |
| 延床面積 | 121.19㎡ |
| テナント | 株式会社スリーワイズエステート(ML) |
| 稼働率 | 100%(2025年7月〜2026年5月) |
収益構造とNOI分析
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入 | 4,800,000円 |
| 管理・建物維持費 | ▲1,450,992円 |
| 修繕積立費 | ▲210,756円 |
| 火災保険料 | ▲23,820円 |
| 固都税 | ▲312,984円 |
| NOI(推計) | 約2,801,448円 |
書面記載のNOI推計値は「4,410,000円/年」とあるが、これは賃料4,800,000円から一部費用のみを控除した数値と思われる。上記の費用明細を全て差し引くと約280万円となり、書面記載値との乖離は約160万円。この差異の原因は不明だが、書面記載のNOI利回り1.66%(4,410,000円÷265,000,000円)を採用しても、インカム配当1.0%を賄うのがやっとの水準である。
- キャップレート(書面記載NOI基準): 4,410,000円 ÷ 265,000,000円 = 1.66%
- 配当原資: ハイブリッド型(インカム1.0%+キャピタル6.0%)
キャピタル配当6.0%を実現するには、運用期間1年で約1,590万円の売却益が必要。つまり、2.65億円で取得した物件を2.81億円以上で売却しなければならない。築56年・耐震基準未達の物件にその買い手がつくかは、極めて不透明だ。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価 | 約2,186,000円 | 約1,833,000円 | +19.3% |
| 取引価格 | 265,000,000円 | 約183,700,000円 | +44.3% |
港区内の中古マンション取引データ(2024年〜2025年)によると、㎡単価の中央値は約183万円。本ファンドの取得価格は㎡単価約219万円であり、中央値を約19%上回る。ただし、近隣取引データには築年数・専有面積・階数などの条件が異なる物件が混在しており、単純比較には限界がある。
とはいえ、築56年という圧倒的な古さを考慮すると、㎡単価219万円は「港区プレミアム」を差し引いても割高感が残る。同じ港区でも築50年超の物件は㎡単価100〜150万円台で取引される事例が多く、本物件の価格設定には疑問符がつく。
土地評価と出口シナリオ
本物件の土地持分は1,680.66㎡の10,000分の281、すなわち約47.2㎡相当。港区赤坂7丁目の公示地価は㎡あたり150〜200万円程度と推計され、土地持分相当額は概算で7,000〜9,500万円程度となる。建物の経済的残存価値はほぼゼロに近いと考えられ、土地値ベースでの下限は1億円を大きく下回る可能性がある。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 1.5% | 約2.94億円 | 元本全額償還+キャピタル配当6%超 |
| 基本 | 2.0% | 約2.21億円 | 劣後出資で吸収、元本は毀損リスク |
| 悲観 | 2.5% | 約1.76億円 | 劣後バッファ超過、元本毀損 |
楽観シナリオでも、現在の取得価格2.65億円を上回る売却には、キャップレート1.5%以下での買い手が必要。築56年・耐震未達の物件にそのような買い手がつく蓋然性は低い。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+0.5% | 1.66%→2.16% | ▲約5,700万円(21.5%下落) | 劣後4,000万円を超過 |
| キャップレート+1.0% | 1.66%→2.66% | ▲約9,900万円(37.4%下落) | 大幅超過、元本毀損 |
| 賃料下落10% | 480万円→432万円 | NOI▲約48万円 | インカム配当に影響 |
劣後出資4,000万円(劣後比率15.1%)は、物件価格が約2.25億円まで下落した場合に消失する。キャップレートが0.5%上昇しただけで劣後バッファを突破する計算であり、築古物件特有の価格変動リスクを考慮すると、安全マージンは決して厚くない。
契約上の注意点
- 第1号事業(匿名組合型): 倒産隔離なし。事業者が破綻した場合、出資金は一般債権者と同列で扱われる可能性がある。
- マスターリース先が100%子会社: 空室リスクは回避できるが、親会社の信用リスクと連動。独立した第三者テナントではない。
- 鑑定評価なし: 取得価格2.65億円の妥当性を第三者が検証できない。
- 耐震基準未達: 2007年の診断で「判定基準を下回る」と明記。大規模地震時のリスクは投資家が負う。
- 建築確認・検査済証が不明: 増改築不可の可能性があり、出口での買い手が限定される。
- スイッチング案件: 前回ファンドで売却できなかった物件の再ファンド化。出口戦略の実現可能性に疑問符。
- 契約延長条項: 売却完了しない場合、最大60ヶ月まで契約延長可能。資金拘束リスクあり。
結論
港区赤坂という立地の響きに惑わされてはならない。築56年・耐震未達・鑑定なし・前回売却失敗という「四重苦」を抱えた物件に、利回り7.0%の大半をキャピタルゲインに依存する設計は、投資家にとってリスクとリターンのバランスが悪い。劣後比率15.1%は一定の安全弁だが、出口で買い手がつかなければ絵に描いた餅である。余剰資金での小口参加に留めるべき案件だ。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。