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祇園奥の再生町屋、㎡単価は近隣中央値の約2.9倍。利回り7.0%の余剰は賃料6.4%分の薄氷で、盾となる劣後は10.0%のみ。鑑定なしの値付けは、想定どおり売れてこその話。
ポイント
7.0%配当の余裕は賃料6.4%分のみ
書面8章には、年間賃料2,592万円に対して「想定される支出」が合計1,033万5,941円(賃料の39.9%)と記載されている。これを差し引いた試算NOIは1,558万4,059円。優先出資1億9,890万円に7.0%を支払うには年1,392万3,000円が必要で、余剰は166万円しかない。賃料が6.4%下がった時点でインカムの原資は不足する計算である。ただし、この支出額はあくまで想定であり実績ではない。そのため、収益性は「裏付け不十分」の帯で評価した。
「満室保証」の正体はML先1社の与信
サイトは「空室が起きても毎月一定の賃料が入るので満室保証・空室リスク回避を実現」と説明している。しかし書面上、その保証を支えるのは株式会社スリーワイズエステート1社の支払能力だけで、同社の財務情報は一切示されていない。月216万円の賃料は延床126.33㎡に対して㎡当たり約1.7万円/月に相当し、住宅賃料では成立しない水準だ。宿泊転貸で回収するには、2戸合計で稼働率100%でも1日約7.1万円、稼働率70%なら1泊約10万円を売り上げる必要がある。保証の本体は「ML」という看板ではなく、転貸先の宿泊売上という変動要素である。なお書面は利害関係人取引を「該当なし」としているが、社名の類似性は投資家が自ら確認すべき点として残る。
売却から1年強での「買い戻し」の値札
書面によれば、本物件は第58号ファンドで2025年7月に再生した後に外部へ売却され、今回第93号で再取得するもので、現在の登記名義人は株式会社イノベーション都市開発である。事業者は再取得の経緯と取得価格を「投資家向け情報」に掲載するとしているが、本分析の入手データには含まれていない。58号での売却価格と今回の取得価格2億1,327万2,727円の差は検証できない。しかも価格は鑑定ではなく「近隣取引事例を基にした」自社査定である。自分で売った物件を高値で買い戻す構図であれば、そのツケを払うのは優先出資者になる。
出口は「他人」ではなく「自分」
書面06-Aは、満期時の出口を「スイッチングによる再ファンド化、または本事業者の自己資産組み入れ」と明記している。第三者への売却を前提としないため、市場で値付けされる局面がない。その分、事業者の自社内で価格が決まる。書面22条の「合理的な価格」は、近傍取引価格等から1割下回る価格まで許容する規定である。出口の確実性は事業者の資金力に依存し、自己資本比率9.9%、現預金5.7億円(前期7.5億円から減少)という体力では、2.1億円の物件を受け止めることは可能だが余裕は大きくない。
運営実績は厚いが財務は細身
累計94本・償還78本・調達220億円という実績は、業界でも上位の規模だ。書面25-Dでも「事業者の責に帰すべき元本償還遅延等はなし」と記載されている。FY2025は営業利益8.5億円(営業利益率10.8%)と収益力が改善した。一方で自己資本比率9.9%は業界内でも低い。総資産の約8割を匿名組合出資金が占める構造は、大きな船体に小さな竜骨という評価になる。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町354番地34・35 |
| 物件種別 | 一戸建て(連棟2戸)/宿泊・一棟賃貸 |
| 構造 | 木造瓦葺2階建 |
| 築年月 | 1966年1月・5月(築60年、2025年全面改修) |
| 延床面積 | 126.33㎡(65.54㎡+60.79㎡)/土地156.06㎡ |
| テナント | 株式会社スリーワイズエステート(ML、法人へ転貸予定) |
| 稼働率 | 非開示(秘密保持契約) |
収益構造とNOI分析
- NOI(実額): 直前5年の賃料収入・費用の実績が秘密保持契約を理由に非開示のため、実額ベースのNOIは算出できない。
- (推計・参考値)想定NOI: 18,144,000〜20,736,000円/年/想定キャップレート: 8.5〜9.7%
- 上記推計は、運営費用を賃料収入の20〜30%と一般的な目安で仮置きした概算であり、本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではない。
書面記載の「想定支出」による試算(実績ではなく見込み額)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入(ML固定) | 25,920,000円 |
| 管理・建物維持費 | ▲10,018,120円 |
| 水道光熱費 | ▲65,000円 |
| 固都税 | ▲71,011円 |
| 火災保険料 | ▲181,810円 |
| 試算NOI(想定ベース) | 15,584,059円 |
| 優先出資への7.0%配当 | ▲13,923,000円 |
| 余剰 | 1,661,059円 |
書面上の想定支出比率は39.9%で、一般的な推計の前提(20〜30%)を大きく上回る。そのため、推計キャップレート8.5〜9.7%をこの物件の実力値と読むのは誤りである。想定ベースのキャップレートは約7.3%にとどまる。管理・建物維持費1,002万円が固定MLの物件としては異例に重い点も目を引く。この費用の支払先と内訳は書面では明らかにされていない。
- 配当原資: インカムゲイン型(書面06-A)。構造化データではハイブリッド型に分類されているが、売却利益に対する優先出資者の取り分は「0%」と規定されており、キャピタルの上振れは優先出資者に届かない。
- 事業者報酬は組成0.0%・管理0.0%と低い。一方で、出資総額2億2,100万円と物件価格の差額772万円は、取得税等の諸費用に充てられると見られる。この費用が初期の損益を圧迫する可能性がある。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価(土地面積ベース) | 1,366,607円 | 477,778円 | +186.0% |
| 取引価格 | 213,272,727円 | 65,398,590円(平均) | +226.1% |
数字だけを見れば、東山区相場の約2.9倍という突出した値付けである。ただし比較対象の多くは一橋学区・泉涌寺周辺の住宅地や準工業地域の取引で、産寧坂伝統的建造物群保存地区内の観光動線とは市場がまったく異なる。同じデータ内でも、粟田学区の近隣商業地域で土地95㎡の木造が1.8億円(約189万円/㎡)で成約しており、観光一等地では本件水準の取引も実在する。
それでも、本件は宿泊収益を前提にした「事業用価格」である。住宅としての実需価格とは乖離しているとみるのが妥当だ。宿泊需要が細れば、価格の根拠ごと剥落する。鑑定評価がないため、この乖離を第三者が正当化した記録はない。
土地評価と出口シナリオ
本件地点の公示地価・路線価の具体値は、公開情報からは確認できなかった。近隣の土地単体取引(一橋学区・約39万円/㎡)と観光核心部のプレミアムを勘案し、㎡50万〜100万円と仮定すると、土地156.06㎡で**概算7,800万〜1億5,600万円(推計)**となる。
接道はいずれも幅員約1.9〜4.7mの私道で、確認済証・検査済証もない。建蔽率40%・絶対高さ10m・伝建地区の規制も重なるため、更地化による価値の上積みは期待しにくい。物件価格のうち少なくとも数千万円は、建物と宿泊事業性に対する上乗せ分と推計される。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 6.5% | 約2億3,975万円 | 元本全額償還(売却益の優先配分は0%) |
| 基本 | 7.3% | 約2億1,348万円 | 元本全額償還 |
| 悲観 | 8.5% | 約1億8,334万円 | 下落約2,993万円が劣後2,210万円を超過し、優先出資に約783万円の毀損(概算) |
※ 想定ベースの試算NOI 15,584,059円を基にした概算。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 7.3%→8.3% | ▲約2,567万円(12.0%下落) | 超過 |
| 空室率+10% | ML固定で期中影響なし | ML改定時はNOI▲2,592,000円 | ML満了(2028年10月)はファンド期間後 |
| 賃料下落10% | 25,920,000円→23,328,000円 | NOI▲2,592,000円 | 7.0%配当の原資割れ、価値も約3,547万円減で超過 |
劣後出資額2,210万円 ÷ 物件取得価格2億1,327万2,727円 = 10.4%。物件価格が約1億9,117万円を下回るまでは優先出資者の元本は無傷だが、その手前の余裕は2,210万円しかない。キャップレートが1%上がるだけでこの防波堤は越えられる。期中に限れば、MLの固定賃料が揺れを吸収する。しかしML先の信用が崩れた瞬間、賃料・価値・配当の3つが同時に下振れする。
契約上の注意点
- 第1号事業・匿名組合型で倒産隔離なし: 登記名義・預金名義は事業者であり、書面19-Aも事業者の倒産時に一般債権者と同列になり得ると明記している。
- 鑑定・エンジニアリングレポートなし: 耐震診断・石綿調査・建物状況調査はいずれも未実施。築60年の木造で、土砂災害警戒区域内に所在する。
- 最長60ヶ月の延長条項: 売却等が完了しない場合、事業者の通知のみで契約期間を延長できる(13-B)。1年物のつもりが最長6年に延びる可能性がある。
- 出口は自社取得・再ファンド化が前提: スイッチングは書面06-Aに記載がある。その際の価格は事業者側で決まり、近傍価格から1割下回る価格まで「合理的」とされ得る(22条)。
- 稼働率・過去収支は非開示: 宿泊事業の実績を検証する材料が書面に存在しない。
結論
借入ゼロ・報酬ゼロという構造面の誠実さと、事業者の厚い償還実績は評価できる。一方で、鑑定なしで相場の約2.9倍の値札、賃料6.4%の下落で配当原資が割れる収支、ML先1社への依存が重なり、リスクを許容できる余剰資金での参加にとどめるべき案件と判断する。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。