総評
利回り非開示、劣後比率不明、NOI算出不能——投資判断に必要な三大要素がすべて欠落。鑑定評価額2,880万円に対し6.7%ディスカウントの取得価格は光明だが、肝心の収益性が闇の中では勝負のしようがない。東証上場121件償還実績も、この情報空白は埋められない。
ポイント
利回り非開示という致命的な情報欠落
basic_dataに予定利回りが含まれていない。契約書面を精査しても、年間配当率や分配金額の明示がない。インカム型と記載されているが、賃料収入から管理運営報酬(取得価格の0.20%)を差し引いた後の実質利回りが何%になるのか、投資家は計算すらできない状態。事業者トラックレコードの平均利回り4.41%を参考にするしかないが、個別ファンドの条件は物件ごとに異なる。
劣後比率ゼロ?それとも非開示?
basic_dataに劣後比率の記載がない。出資総額2,689万円が全額優先出資なのか、事業者の劣後出資が含まれるのかが不明。仮に劣後比率0%であれば、物件価格が1円でも下落した瞬間から投資家の元本が毀損する構造となる。事業者の平均劣後比率6.9%と比較しても、本ファンドの安全性は判断不能。
鑑定評価額との乖離は好材料だが…
鑑定評価額2,880万円に対し、ファンド取得価格は2,689万円。約6.7%のディスカウントで取得しており、この点は評価できる。ただし「エンジニアリングレポート未取得」という条件付き鑑定である点に注意。建物の劣化状況や修繕必要額が反映されていない可能性がある。築年数は書面から読み取れないが、SRC造9階建ての2階部分という情報のみ。
プロジェクト概要と契約書面の物件が一致しない
契約書面は「アンサンブル大井」(品川区大井一丁目)を対象としているが、プロジェクト概要として提供されたデータは「SYFORME KOMAZAWA-DAIGAKU」(世田谷区駒沢三丁目)という全く別の物件。しかも2019年12月募集の過去ファンド情報が混在している。事業者の戦略ストーリーを検証しようにも、対象物件が異なるため分析不能。
東証上場・121件償還実績は信頼材料
株式会社シーラは東証スタンダード上場企業。172件のファンド組成実績のうち121件が償還済み、元本割れの記録はトラックレコードに見当たらない。累計調達額220億円超という規模感も、事業継続性の観点からはプラス。ただし財務データ(financial_data)が未提供のため、直近の収益性や自己資本比率は確認できない。
物件概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都品川区大井一丁目21番13 |
| 物件種別 | 区分マンション(居宅) |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付9階建(2階部分) |
| 築年月 | 不明(書面に記載なし) |
| 延床面積 | 50.78㎡(登記簿) |
| 土地持分 | 403.66㎡の10000分の373(約15.05㎡相当) |
| テナント | 不明(書面に記載なし) |
| 稼働率 | 不明(書面に記載なし) |
収益構造とNOI分析
契約書面にNOI(純営業収益)の開示がない。賃料収入、管理費、固都税、火災保険料のいずれも具体的な金額が記載されていない。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間賃料収入 | 非開示 |
| 管理費 | 非開示 |
| 火災保険料 | 非開示 |
| 固都税 | 非開示 |
| NOI | 算出不能 |
- キャップレート: 算出不能(NOI非開示のため)
- 配当原資: インカムゲイン型(書面記載)
管理運営報酬は「取得価格の0.20%」と明記されており、年間約5.4万円(2,689万円×0.20%)が費用として発生する。しかし、これを差し引く前の賃料収入が不明なため、投資家への分配可能額は計算できない。
品川区大井エリアの50㎡台ファミリータイプの想定賃料は月額15〜18万円程度と推計されるが、これはあくまで一般的な市場データに基づく推計であり、本物件の実際の賃貸条件は確認できない。
市場価格検証
| 比較項目 | ファンド物件 | 近隣取引中央値 | 乖離率 |
|---|---|---|---|
| ㎡単価 | 529,538円 | 1,237,500円 | -57.2% |
| 取引価格 | 26,890,000円 | 90,325,048円 | -70.2% |
ファンド物件の㎡単価(2,689万円÷50.78㎡≒52.9万円)は、品川区の中古マンション取引中央値(約123.8万円/㎡)を大幅に下回る。
この乖離の主因は以下と推測される:
- 区分所有の一室であり、近隣取引データには70〜90㎡のファミリータイプが多く含まれる
- 築年数が古い可能性(SRC造9階建ての2階部分という情報から、バブル期〜1990年代築と推測)
- 収益物件としての評価であり、実需向け取引価格とは評価基準が異なる
近隣の大井エリアでは、2020年築70㎡が1.2億円(㎡単価171万円)、2004年築75㎡が9,800万円(㎡単価131万円)で取引されている。本物件の㎡単価53万円は、1980年築30㎡の1,600万円(㎡単価53万円)と同水準であり、相当な築古物件である可能性を示唆する。
土地評価と出口シナリオ
土地持分は403.66㎡の10000分の373、約15.05㎡相当。品川区大井一丁目の公示地価は概ね80〜100万円/㎡程度と推計される(公開情報からの概算)。土地持分相当額は約1,200〜1,500万円と見積もられる。
| シナリオ | キャップレート | 想定売却価格 | 投資家への影響 |
|---|---|---|---|
| 楽観 | 4.5% | 3,200万円 | 元本全額償還+キャピタル配当 |
| 基本 | 5.5% | 2,700万円 | 元本全額償還 |
| 悲観 | 6.5% | 2,300万円 | 劣後バッファ不明のため要検討 |
※上記は想定NOIを年間150万円(月額賃料12.5万円相当)と仮定した場合の概算。実際のNOIが非開示のため、あくまで参考値。
運用期間は2026年7月1日〜12月31日の6ヶ月間。短期運用のため、売却による出口を想定していると考えられるが、売却先や売却条件の記載はない。
ストレステスト
| 変動要因 | 変動幅 | 物件価値への影響 | 劣後バッファとの関係 |
|---|---|---|---|
| キャップレート+1% | 5.5%→6.5% | ▲約400万円(15%下落) | 劣後比率不明で判断不能 |
| 空室発生 | 0%→100% | NOI▲全額 | 6ヶ月間の賃料喪失 |
| 賃料下落10% | 推計15万円→13.5万円 | NOI▲約18万円/年 | 軽微な影響 |
劣後比率が不明なため、物件価格が何円下落するまで投資家の元本が保護されるかを算出できない。仮に劣後比率0%であれば、取得価格2,689万円を1円でも下回った時点で元本毀損が始まる。
鑑定評価額2,880万円との差額191万円(約7%)が実質的なバッファと見なせるが、これは「売却時に鑑定評価額で売れる」という前提に立った場合の話。エンジニアリングレポート未取得の鑑定であることを考慮すると、この7%も確実なバッファとは言い難い。
契約上の注意点
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第1号事業者による自己募集:SPCを使わない第1号事業のため、事業者(株式会社シーラ)が破産した場合、対象不動産は破産財団に組み込まれる可能性がある。倒産隔離は効いていない。
-
分別管理は信託法に基づかない:書面に「信託法第34条に基づく分別管理とは異なります」と明記。金銭の分別管理は行われるが、信託による保全ではない。
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中途解約は「やむを得ない事由」が条件:出資者都合の解約は原則不可。解約手数料は0円だが、解約自体のハードルが高い。
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地位譲渡手数料10%:本契約上の地位を第三者に譲渡する場合、出資額の10%が手数料として徴収される。流動性は極めて低い。
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自己の固有財産が対象:対象不動産は事業者の固有資産。関連当事者取引に該当し、取得価格の妥当性について第三者チェックが働きにくい構造。
結論
利回り・劣後比率という投資判断の根幹データが欠落しており、収益性と元本安全性の評価ができない。東証上場企業の実績は評価できるが、本ファンド単体での投資判断は困難。データ開示の改善を待つべき。
⚠️ 免責事項:本記事はRE:Insight AIが公開情報・PDF書面を元に自動生成したファンド紹介・分析情報です。 投資助言には該当しません。投資判断は必ずご自身の責任のもとで行い、各事業者の公式情報を直接ご確認ください。