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トモタクCF127号(RERESO沖縄Ⅱ)

TOMOTAQU ・ 分析日: 2026年06月28日 ・ RE:Insight AI
この評価の算出方法(評価手法)›

総評

利回り7.2%の甘美な数字、その実態はキャピタル頼みの二階建て。鑑定評価なし・NOI非開示・子会社マスターリースという三重の霧が出口を覆い隠す。劣後10%は物件価格8.9%下落で蒸発する薄氷の盾——美ら海の絶景と引き換えに、どこまで不透明を許容できるかが分水嶺。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用11ヶ月
予定利回り
7.2%
運用期間
11ヶ月
募集総額
1.4億円
劣後比率
10%
所在地
沖縄県国頭郡本部町字豊原328番地8
種別
不動産
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3.5
収益性
2.8
透明性
3.3
元本安全性
3.0
事業者信頼性

ポイント

利回り7.2%の内訳はインカム3.82%+キャピタル3.38%の二階建て

書面に明記された利回り構成は、インカムゲイン3.82%とキャピタルゲイン3.38%のハイブリッド型。つまり、賃料収入だけでは投資家への配当を賄えず、売却益の実現が前提となる。マスターリース賃料は年間471万円だが、ここから固都税62万円・修繕費等155万円を差し引くと、手残りは約254万円。優先出資1.395億円に対するインカム利回りは約1.8%に過ぎず、書面記載の3.82%との乖離が生じている。この差分は「売却益の一部をインカム配当に充当」する構造と推察されるが、書面上の説明は不十分。

鑑定評価なしで1.745億円の妥当性は検証不能

物件価格1億7,450万円の算定方法は「取引事例比較法及び収益還元法により算出」とあるが、不動産鑑定士による鑑定評価は「なし」と明記されている。事業者自身による内部評価のみで、第三者による客観的な価格検証が行われていない。近隣取引データを見ると、本部町の宅地(土地+建物)の取引価格は1,300万円〜3,000万円が中心帯。築6年の木造宿泊施設3棟で1.745億円という価格は、周辺相場と比較して突出して高い。リゾート宿泊施設という特殊性を考慮しても、鑑定評価なしでは割高リスクを排除できない。

マスターリース先は事業者100%子会社という「身内取引」

賃貸借契約の相手方である株式会社イーズレーベルは、事業者イーダブルジーの子会社。年間471万円のマスターリース賃料は、グループ内で決定された金額であり、市場賃料との比較検証が困難。子会社がサブリース先から回収できなくなった場合、マスターリース賃料の支払い継続は親会社の財務体力に依存する。その親会社の自己資本比率は4.9%と極めて薄い。関連当事者取引の開示はあるものの、賃料水準の妥当性を担保する第三者評価は存在しない。

事業者の財務基盤は「薄氷の上の黒字」

イーダブルジーの直近決算(FY2025)を見ると、売上高45億円に対して営業利益1.15億円(営業利益率2.5%)。しかし営業外費用が2.64億円と重く、経常利益は2,839万円まで圧縮されている。自己資本比率4.9%は、不動産業界の標準的な20〜30%を大きく下回る水準。総資産66.5億円に対して負債63.2億円という構造は、金利上昇局面で財務が急速に悪化するリスクを内包している。103件の償還実績は評価できるが、財務基盤の脆弱性は無視できない。

出口戦略は「沖縄リゾート需要」頼みの一本足打法

運用期間11ヶ月という短期設定は、売却先の目処がある程度立っていることを示唆する。しかし書面上に売却先の確保状況や売却価格の見通しに関する記載はない。沖縄本島北部・美ら海水族館エリアは観光需要が堅調だが、宿泊施設の供給過剰リスクも指摘されている。築6年の木造平屋3棟という物件特性は、機関投資家よりも個人富裕層や事業会社向けの売却が想定される。買い手の属性が限定される分、売却に時間を要するリスクがある。

物件概要

項目 内容
所在地 沖縄県国頭郡本部町字豊原港原328番24他
物件種別 宿泊施設(コテージ3棟)
構造 木造かわらぶき平家建
築年月 平成31年1月(築約6年)
延床面積 149.07㎡(3棟合計)
土地面積 約900㎡(共有持分含む)
テナント 株式会社イーズレーベル(マスターリース)
稼働率 100%(直前5年)

収益構造とNOI分析

書面にはNOIの直接開示がないため、マスターリース賃料と開示費用から推計する。

項目 金額
年間マスターリース賃料 4,711,596円
固定資産税・都市計画税 ▲622,800円
修繕費等その他費用 ▲1,552,800円
推計NOI 約2,536,000円
  • 推計キャップレート: 2,536,000円 ÷ 174,500,000円 = 約1.45%
  • 配当原資: ハイブリッド型(インカム+キャピタル)

推計NOI利回り1.45%に対して、投資家への配当利回りは7.2%。この乖離は、売却益(キャピタルゲイン)で埋める構造となっている。書面記載の「インカムゲイン3.82%」は、NOIベースの1.45%と大きく乖離しており、売却益の一部を運用期間中の配当に充当する設計と推察される。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
土地㎡単価 約19.4万円/㎡(推計) 2.5万円/㎡ +676%
取引価格 1億7,450万円 1,300万円〜3,000万円 大幅乖離

近隣取引データによると、本部町の宅地(土地+建物)取引は1,300万円〜3,000万円が主流。ファンド物件の1.745億円は、周辺相場の5〜10倍以上の水準にある。

この乖離の主因は以下と推察される:

  1. 用途の違い: 一般住宅ではなく収益物件(宿泊施設)としての評価
  2. 立地プレミアム: 美ら海水族館至近という観光立地
  3. 収益還元法による評価: 賃料収入を基にした事業価値評価

ただし、鑑定評価がないため、この価格が市場で実現可能かどうかの客観的検証は不可能。近隣に同規模・同用途の取引事例がなく、比較対象が限定的である点も留意が必要。


土地評価と出口シナリオ

本部町の公示地価・路線価データは限定的だが、近隣の宅地取引から土地単価は㎡あたり2〜4万円程度と推計される。土地面積約900㎡として、土地価値は概算1,800万円〜3,600万円。建物(築6年木造)の残存価値を加味しても、土地+建物の積算価値は5,000万円〜7,000万円程度と推計される。

ファンド取得価格1.745億円との乖離は、「収益物件としての事業価値」によるもの。この事業価値が出口で実現できるかが、元本償還の鍵となる。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 4.0% 約6,340万円 元本毀損リスク大
基本 5.0% 約5,072万円 元本毀損リスク大
悲観 6.0% 約4,227万円 元本毀損リスク大

重要な注意点: 上記は推計NOI(約254万円)を基にした収益還元法による試算。いずれのシナリオでも、ファンド取得価格1.745億円を大幅に下回る。これは、ファンドの取得価格が「将来の売却益を織り込んだ価格」または「特殊な評価基準」に基づいている可能性を示唆する。

現実的には、同等の収益物件として1.745億円以上で売却できる買い手の存在が前提となる。この点について書面上の説明はなく、出口戦略の不透明さが最大のリスク要因。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
物件価格▲10% 1.745億円→1.57億円 ▲1,745万円 劣後1,550万円で吸収不可
物件価格▲8.9% 1.745億円→1.59億円 ▲1,550万円 劣後バッファ枯渇ライン
賃料下落20% 471万円→377万円 NOI▲94万円 配当原資に影響

劣後出資額は1,550万円(出資総額1.55億円の10%)。物件取得価格1.745億円に対する劣後バッファは約8.9%。つまり、物件価格が8.9%(約1,550万円)下落した時点で、劣後出資は枯渇し、優先出資者の元本毀損が始まる。

沖縄リゾート物件の価格変動リスクを考慮すると、8.9%のバッファは決して厚くない。観光需要の減退、競合施設の増加、自然災害リスクなど、価格下落要因は複数存在する。


契約上の注意点

  • 第1号事業(倒産隔離なし): 事業者イーダブルジーが破綻した場合、対象不動産は破産財団に組み込まれ、投資家は一般債権者として配当を受ける立場となる
  • 関連当事者取引: マスターリース先が100%子会社であり、賃料水準の客観性に疑義
  • 契約期間延長条項: 売却が完了しない場合、最大12ヶ月の延長が可能。資金拘束リスクあり
  • 中途解約手数料: やむを得ない事由による解約でも出資額の3%+消費税が発生
  • 鑑定評価なし: 売却時の価格妥当性説明は「近傍同種の不動産の取引価格等に照らし合理的な価格」とあるが、客観的基準が不明確

結論

沖縄リゾート物件という立地の魅力と、情報開示の不透明さが拮抗するファンド。103件の償還実績を持つ事業者の信頼性は一定程度評価できるが、自己資本比率4.9%という財務基盤の脆弱性、鑑定評価なしの価格設定、関連当事者取引構造など、リスク要因が複数重なる。余剰資金での分散投資先としては検討可能だが、集中投資は避けるべき案件。

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