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トモタクCF128号(GEOSPOT元箱根A棟)譲渡ファンド

TOMOTAQU ・ 分析日: 2026年08月25日 ・ RE:Insight AI
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利回り7.5%の果実は、3.5億円の新築ホテルを「誰かが高値で買う」という仮定の上に成り立つ。鑑定評価なし、マスターリース先は身内、事業者の自己資本比率4.9%。芦ノ湖畔の眺望は美しいが、出口の買い手が現れなければ配当原資は霧の中に消える。劣後10%では心許ない。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用12.0
予定利回り
7.5%
運用期間
12.0
募集総額
4,854万円
劣後比率
10.0%
所在地
神奈川県足柄下郡
種別
不動産
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4.0
収益性
2.6
透明性
3.3
元本安全性
3.0
事業者信頼性

ポイント

配当原資はキャピタルゲイン一本勝負、売却先は白紙

本ファンドは「キャピタル型」と明記されており、投資家への利回り7.5%の配当原資は物件売却益に依存する。しかし契約書面には売却先の確保状況や売却価格の目安に関する記載が一切ない。3.5億円で取得した新築ホテルを1年後に3.5億円超で売却できる根拠は、投資家には示されていない。「取引事例比較法及び収益還元法により算出」とあるが、不動産鑑定士による鑑定評価は「無」。事業者の自己査定のみで3.5億円という価格が設定されている点は、出口リスクを高める要因だ。

マスターリース先は子会社、賃料の実態は「身内の約束」

年間マスターリース賃料1,500万円を支払うのは、事業者イーダブルジーの子会社である株式会社イーズレーベル。親子間取引であり、賃料水準の妥当性を第三者が検証する術がない。仮にホテル運営が不振でも、親会社の意向で賃料を維持できる一方、子会社の財務悪化は親会社に波及する。「これまで賃料の未収や滞納は一切ない」との記載があるが、2025年7月新築の物件に過去の支払実績を語る意味は薄い。

鑑定評価なしで3.5億円、価格の妥当性は検証不能

書面には「不動産鑑定士による鑑定評価の有無:-」と明記されている。つまり、物件価格3.5億円は事業者の自己評価に過ぎない。箱根・元箱根エリアは観光地として知名度があるものの、宿泊施設の取引事例は限定的で、㎡単価の相場感を掴みにくい。国土交通省の不動産情報ライブラリでも近隣取引データは取得できなかった。投資家は「3.5億円が高いのか安いのか」を判断する材料を持たないまま出資を求められている。

事業者の自己資本比率4.9%、財務基盤は薄氷

トラックレコードを見ると、イーダブルジーは累計132ファンド・償還106件と実績は豊富だ。しかし直近決算(FY2025)の自己資本比率は4.9%と極めて低い。不動産業界でも20〜30%が標準的な水準であり、5%未満は財務的な余裕がほぼないことを意味する。営業利益は1.15億円の黒字だが、営業外費用が重く経常利益は2,839万円まで圧縮されている。第1号事業(匿名組合型)は事業者の倒産リスクが投資家に直結する構造であり、この財務体質は無視できない。

新築ホテル×1年運用、出口のタイミングが問われる

2025年7月新築、2026年8月運用開始、2027年8月終了という1年間のスキーム。新築ホテルを1年で売却するという設計は、開業直後の稼働実績が乏しい段階での売却を意味する。ホテル投資において、買い手は通常2〜3年の稼働実績を見て価格を判断する。実績のない新築ホテルを高値で買う投資家は限られる。事業者が「不動産市況その他の状況を踏まえ、対象物件の売却を完了し、本事業者の判断で不動産取引を終了することがある」と記載しているのは、早期売却の可能性を示唆するが、逆に言えば売却が長引くリスクも内包している。

物件概要

項目 内容
所在地 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根字大芝103-243
物件種別 ホテル
構造 木造合金メッキ鋼板ぶき2階建て
築年月 2025年7月新築(築0年)
延床面積 179.94㎡
土地面積 699.45㎡
テナント 株式会社イーズレーベル(マスターリース)
稼働率 100%(マスターリース契約による)

収益構造とNOI分析

本ファンドは「キャピタル型」であり、配当原資は物件売却益に依存する。書面にはマスターリース賃料(年間1,500万円)と固定資産税・都市計画税(81,354円)の記載があるが、管理費・火災保険料等の運営費用は「その他運営費用」として金額が明示されていない。

  • NOI(実額): 書面に運営費用の詳細記載がなく、実額ベースのNOIは算出できません。
  • (推計・参考値)想定NOI: 年間賃料1,500万円に対し、運営費用を賃料の20〜30%と仮置きした場合、NOIは1,050万〜1,200万円程度。想定キャップレート: 3.0〜3.4%程度
  • ※この推計は一般的な費用率を仮置きした参考値であり、実際の費用構造によって大きく変動する可能性があります。
  • 配当原資: キャピタルゲイン型

収益構造の問題点: キャップレート3.0〜3.4%という水準は、投資家への予定利回り7.5%を大きく下回る。つまり、インカム(賃料収入)だけでは配当を賄えず、売却益がなければ利回り7.5%の実現は不可能。これがキャピタル型の本質であり、売却価格が取得価格を下回れば元本毀損に直結する。

市場価格検証

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、箱根町元箱根エリアの近隣取引データは取得できなかった。

箱根エリアは観光地として知名度が高いものの、宿泊施設の取引は限定的であり、公開データによる価格検証は困難。一般的な市場データに基づく推計として、以下の観点から妥当性を検討する。

土地評価の試み:

  • 土地面積699.45㎡、建物延床面積179.94㎡
  • 箱根町の公示地価(2024年)は観光地エリアで㎡あたり3〜5万円程度が目安
  • 土地持分相当額の概算: 699.45㎡ × 4万円 = 約2,800万円(推計)
  • 建物(新築木造ホテル): 179.94㎡ × 坪単価80〜100万円 = 約4,400〜5,500万円(推計)
  • 土地+建物の概算: 約7,200〜8,300万円

乖離の分析: 物件取得価格3.5億円に対し、土地+建物の原価ベース概算は1億円未満。この乖離は「ホテルとしての収益価値」を上乗せしていることを意味するが、開業前の新築ホテルに3.5億円の収益価値を認めるには、相応の稼働実績が必要。鑑定評価なしでこの価格を設定している点は、投資家にとって検証不能なリスク要因となる。


土地評価と出口シナリオ

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 2.5% 4.8億円 元本全額償還+キャピタル配当7.5%実現
基本 3.5% 3.4億円 元本毀損リスク(劣後で吸収可能か微妙)
悲観 4.5% 2.7億円 劣後出資を超える損失、優先出資者に毀損

出口シナリオの解説:

  • 楽観シナリオ(キャップレート2.5%): 箱根の観光需要が堅調で、ホテル投資家が高値で取得。ただし、稼働実績のない新築ホテルにこの水準を適用する買い手は限定的。
  • 基本シナリオ(キャップレート3.5%): 一般的な地方観光地ホテルの水準。売却価格3.4億円は取得価格3.5億円を下回り、劣後出資(3,210万円)で吸収できるかギリギリのライン。
  • 悲観シナリオ(キャップレート4.5%): 観光需要の低迷や競合増加で収益性が悪化した場合。売却価格2.7億円では劣後出資を超える損失が発生し、優先出資者の元本が毀損する。

ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 3.0%→4.0% ▲約6,250万円(17.9%下落) 劣後超過(優先出資者に毀損)
空室率+10% 0%→10% NOI▲150万円 売却価格▲約4,300万円
賃料下落10% 1,500万円→1,350万円 NOI▲150万円 売却価格▲約4,300万円

ストレステスト総評: 劣後出資額3,210万円(出資総額3.21億円の10%)は、物件価格3.5億円に対して約9.2%の下落まで吸収可能。つまり、物件価格が約3,180万円値下がりするまでは優先出資者の元本は無傷だが、キャップレートが1%上昇するだけで約6,250万円の価値下落が生じ、劣後バッファを大きく超過する。新築ホテルの出口リスクを考慮すると、劣後比率10.0%は決して厚いとは言えない。


契約上の注意点

  • 第1号事業(匿名組合型): 対象不動産は事業者の固有財産であり、事業者が倒産した場合、投資家は倒産手続の中で配当を受ける立場となる。倒産隔離は効いていない。
  • マスターリース先が子会社: 株式会社イーズレーベルは事業者イーダブルジーの子会社。関連当事者取引であり、賃料水準の妥当性を第三者が検証できない。
  • 鑑定評価なし: 物件価格3.5億円は事業者の自己評価。売却時の価格妥当性を担保する第三者評価がない。
  • 契約期間延長条項: 売却が完了しない場合、最大12ヶ月の期間延長が可能。投資家の資金拘束が長期化するリスクあり。
  • 中途解約手数料3%: やむを得ない事由による解約でも出資額の3%(税別)が手数料として徴収される。

結論

利回り7.5%の魅力は認めるが、配当原資が売却益一本勝負であり、鑑定評価なし・売却先未定・事業者の自己資本比率4.9%という三重苦を抱える。箱根・芦ノ湖畔という立地の観光ポテンシャルに賭けるなら、余剰資金の範囲で検討する価値はあるが、元本保全を重視する投資家には向かない。

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