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SMART FUND134号(埼玉県蕨市蕨駅【2期】、愛知県あま市Ⅰ【4期】)

TSON ・ 分析日: 2026年07月08日 ・ RE:Insight AI
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総評

利回り6.0%の「完全インカム型」という看板の裏側で、NOI非開示・鑑定なし・借地権という三重の霧が視界を遮る。劣後10%は物件価格▲10%で消える薄さ。家賃を受け取りながら霧が晴れるのを待つ余剰資金向けの一手。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用304日
予定利回り
6.0%
運用期間
304日
募集総額
7,800万円
劣後比率
10.0%
所在地
埼玉県蕨市中央三丁目4182番1
種別
不動産
▶ 公式サイトで詳細を見る
3.0
収益性
2.7
透明性
3.3
元本安全性
3.0
事業者信頼性

ポイント

完全インカム型の看板に偽りはないが、NOIの裏付けは闇の中

事業者は「分配金6.0%の原資はすべてインカムゲイン(家賃)」と高らかに宣言する。書面によれば2物件合計の年間賃料は約880万円(蕨駅476万円+あま市404万円)。出資総額7,800万円に対する表面利回りは約11.3%となり、6%配当を賄う余力は一見ある。しかし、管理費・固都税・保険料といった運営費用が書面に一切記載されていない。実際のNOIがいくらなのか、投資家は確認する術を持たない。「家賃が入るから安心」という説明は、費用構造を隠したまま成立している。

鑑定評価なしで7,800万円の妥当性は検証不能

物件価格7,800万円の算定根拠は「近傍の類似物件の取引実例に基づいた評価額」とあるのみ。不動産鑑定士による鑑定評価は「無」と明記されている。2物件とも借地権付き建物であり、土地の所有権を持たない分、価格の妥当性判断は通常より難しい。事業者の言い値を信じるしかない状況は、透明性の観点から大きなマイナスだ。

借地権という見えない足枷

蕨駅物件は「普通借地権」、あま市物件は「一般定期借地権」と、いずれも土地は借り物。普通借地権は更新が認められやすいが、定期借地権は期間満了で土地を返還する必要がある。出口で売却する際、買い手は「土地を所有できない物件」を購入することになる。所有権物件と比較して流動性が低く、売却価格が伸び悩むリスクがある。事業者は「売却活動をしつつ、当社で保有し続けることも視野に入れている」と述べており、出口の不確実性を自ら認めている。

事業者の財務は薄氷の上を歩く

TSONの自己資本比率は9.1%。不動産クラファン事業者としても低水準だ。2023年度の赤字から2025年度には黒字転換を果たし、当期純利益9,194万円を計上した点は評価できる。しかし、総資産61.8億円に対して純資産5.6億円という構造は、景気後退局面で脆さを露呈しかねない。第1号事業(匿名組合型)のため倒産隔離はなく、事業者が破綻すれば出資金は破産財団に組み込まれる。

空室保証の安心感と関連当事者取引の影

「全期間空室保証付き」は心強いが、保証主体は蕨駅物件が株式会社トラスト・インベストメント、あま市物件が株式会社ブルーボックスと、いずれも賃貸管理業者。これらが事業者の関連会社かどうかは書面から明確に読み取れないが、マスターリース先と管理委託先が同一という構造は、利益相反リスクを内包する。保証会社の信用力が揺らげば、「空室保証」は絵に描いた餅となる。

物件概要

項目 MOK-TERRACE蕨駅 MAISONETTE PARK中萱津
所在地 埼玉県蕨市中央三丁目 愛知県あま市中萱津燈明先
物件種別 共同住宅(メゾネット型) 共同住宅(メゾネット型)
構造 木造3階建て(2×4) 木造2階建て(2×4)
築年月 2024年6月(築1年) 2021年11月(築約4年)
延床面積 199.64㎡ 304.66㎡
土地面積 145.50㎡ 376.00㎡
権利形態 普通借地権 一般定期借地権
テナント 株式会社トラスト・インベストメント 株式会社ブルーボックス
稼働率 97.72%(直近5年) 98.54%(直近5年)
月額賃料 396,900円 336,310円

収益構造とNOI分析

  • NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
  • (推計・参考値)想定NOI: 8〜10円/年(推計・参考値)
  • 運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%を運営費用の目安として控除し、利回りをレンジで推計した参考値です。本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではありません。
  • 配当原資: インカムゲイン型

収益構造の整理

項目 蕨駅物件 あま市物件 合計
年間賃料収入 4,762,800円 4,035,718円 8,798,518円
運営費用(推計20〜30%) ▲952,560〜1,428,840円 ▲807,144〜1,210,715円 ▲1,759,704〜2,639,555円
推計NOI 3,333,960〜3,810,240円 2,825,003〜3,228,574円 6,158,963〜7,038,814円

出資総額7,800万円に対する推計NOI利回りは約7.9〜9.0%。予定配当6.0%を上回る計算だが、これはあくまで費用を一般的な比率で仮置きした推計であり、実際の費用が重ければ利回りは下振れする。書面には管理費・固都税・保険料の具体的金額が一切記載されておらず、「完全インカム型」の根拠を投資家自身が検証することは不可能だ。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
㎡単価(建物) 約154,600円 約500,000円 ▲69%
取引価格 78,000,000円 約52,977,508円 +47%

近隣取引データは蕨市の中古マンション・戸建が中心で、木造メゾネット型賃貸住宅との直接比較は困難。ファンド物件は2物件合計で延床面積504.3㎡、取得価格7,800万円であり、㎡単価は約15.5万円。一方、近隣の中古マンションは㎡単価50万円前後で取引されている。

この乖離は以下の要因で説明可能:

  1. 借地権物件:土地の所有権がないため、所有権物件より大幅に安価
  2. 木造構造:RC・SRCと比較して建物評価が低い
  3. 収益物件としての評価:居住用マンションとは異なる収益還元法での評価

ただし、鑑定評価がないため、7,800万円という価格が適正かどうかを客観的に検証する手段がない。事業者の自己取引(自社保有物件をファンドに組み入れ)であることも、価格の妥当性に疑問符を付ける要因となる。


土地評価と出口シナリオ

土地評価の概算

蕨市中央の公示地価は2026年時点で約28万円/㎡前後(事業者説明による上昇トレンド)。ただし、本物件は借地権であり、土地の所有権評価は適用できない。借地権割合を仮に60%とすると、蕨駅物件の土地持分相当額は概算で約2,440万円(145.5㎡×28万円×60%)。あま市物件は定期借地権のため、残存期間によって価値が逓減する。

出口シナリオ

シナリオ 想定売却価格 投資家への影響
楽観(現状維持売却) 8,000万円 元本全額償還+若干のキャピタル
基本(▲5%下落) 7,410万円 元本全額償還(劣後で吸収)
悲観(▲15%下落) 6,630万円 劣後超過、優先出資に毀損リスク

事業者は「売却活動をしつつ、当社で保有し続けることも視野に入れている」と述べており、10ヶ月の運用期間内に売却が完了しない可能性を示唆している。最大6ヶ月の延長条項があるため、実質的な運用期間は最長16ヶ月となりうる。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
物件価格▲10% 7,800万円→7,020万円 ▲780万円 劣後出資額と同額(ギリギリ)
物件価格▲15% 7,800万円→6,630万円 ▲1,170万円 劣後超過▲390万円
空室率+10% 稼働率98%→88% NOI▲約88万円/年 配当原資に影響
賃料下落10% 880万円→792万円 NOI▲約88万円/年 配当原資に影響

劣後出資額780万円は物件取得価格7,800万円の10.0%に相当する。つまり、物件価格が10%下落するまでは優先出資者の元本は保護される。借地権物件は所有権物件より価格変動が大きくなりやすいため、10%のバッファは決して厚いとは言えない。


契約上の注意点

  • 倒産隔離なし:第1号事業(匿名組合型)のため、事業者破綻時は出資金が破産財団に組み込まれる
  • 自己取引:事業者自身が保有する物件をファンドに組み入れており、価格の妥当性に第三者チェックがない
  • 鑑定評価なし:物件価格7,800万円の根拠が「近傍の類似物件の取引実例」のみで、不動産鑑定士の評価を受けていない
  • 借地権リスク:2物件とも土地は借地であり、出口での売却価格が所有権物件より低くなる可能性
  • 契約期間延長条項:売却が完了しない場合、最大6ヶ月の延長が可能(投資家の同意なく事業者判断で実施可能)

結論

利回り6.0%の完全インカム型という安定志向の設計は評価できるが、NOI非開示・鑑定評価なし・借地権という三重の不透明性が投資判断を曇らせる。事業者の黒字転換は好材料だが、自己資本比率9.1%という薄い財務基盤は景気後退時のリスク要因。余剰資金で「家賃を受け取りながら出口を待つ」スタンスなら検討可能だが、メイン資産を投じるには情報開示が不十分。

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