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SMART FUND140号(三重県鈴鹿市A棟【5期】)

TSON ・ 分析日: 2026年08月19日 ・ RE:Insight AI
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利回り6.0%の看板を支えるのは、劣後10%・鑑定なし・NOI非開示という薄氷の三点セット。築2年の木造7戸を5,780万円で取得し、配当も出口もブルーボックス1社に命運を託す綱渡り設計。保証会社が揺らげば全てが霧散する構造ゆえ、余剰資金の範囲で。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用304日
予定利回り
6.0%
運用期間
304日
募集総額
5,780万円
劣後比率
10.0%
所在地
三重県鈴鹿市岸岡町字北山越2953番1、2971番6
種別
不動産
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3.0
収益性
2.6
透明性
3.3
元本安全性
3.3
事業者信頼性

ポイント

空室保証の「保証会社」は実質グループ外注先

事業者は「外部の保証会社による全期間空室保証付き」と強調するが、書面を読むとテナント名は「株式会社ブルーボックス」。これは本ファンドの賃貸管理業務を受託する会社そのものであり、純粋な第三者保証とは言い難い。ブルーボックスは愛知県稲沢市に本社を置く賃貸管理会社で、TSONとの取引実績は長いが、上場企業でも大手保証会社でもない。保証契約は3年契約・2年毎に賃料改定ありと記載されており、ファンド運用期間10ヶ月は契約期間内に収まるものの、出口売却時に保証が継続するかは買主次第。「空室保証付き」の看板を鵜呑みにせず、保証主体の信用力を自分の目で確かめるべきだ。

NOI費用明細ゼロ、利回りの裏付けが取れない

書面には年間賃料4,742,548円(月額395,212円)の記載があるが、管理費・火災保険料・固定資産税・修繕積立金といった運営費用の内訳は一切開示されていない。これでは実額ベースのNOI(純営業収益)を算出できず、利回り6.0%の配当原資が本当に賃料から捻出可能かを検証する術がない。賃料の20〜30%を運営費用と仮置きした場合の推計NOIは331〜379万円/年、推計キャップレートは5.7〜6.6%となるが、これはあくまで参考値であり、実際の費用が重ければ利回りは下振れする。「完全インカム型」を謳うなら、費用明細を開示して配当原資の裏付けを示すのが筋だろう。

鑑定評価なし、5,780万円の妥当性は「近隣取引事例」頼み

物件価格5,780万円の算定根拠は「近傍の類似物件の取引実例に基づいた評価額」とあるのみで、不動産鑑定士による鑑定評価は実施されていない。土地498㎡・建物327.9㎡の木造2階建て共同住宅を5,780万円で取得するということは、土地建物込みで㎡単価約11.6万円(土地のみ換算で約7万円/㎡)。近隣の岸岡町における土地取引事例を見ると、㎡単価4.4〜5.6万円が中央値帯であり、建物価値を加味しても割高感は否めない。築2年の木造アパートに2,000万円超の建物価値を見込んでいる計算だが、その根拠は示されていない。

事業者TSONは黒字転換も自己資本比率9.1%

TSONは愛知県知事許可の第1号事業者で、累計294ファンド・償還205件・元本割れゼロの実績を持つ。2025年度は売上51億円・純利益9,195万円と黒字転換を果たし、赤字体質からの脱却に成功している。一方で自己資本比率は9.1%と低水準であり、純資産5.6億円に対して総資産61.8億円という高レバレッジ経営が続く。匿名組合型は倒産隔離がなく、事業者破綻時には破産財団に組み込まれるリスクがある。劣後出資10%は事業者の「本気度」を示す指標だが、事業者自身の財務基盤が盤石とは言えない点は頭に入れておきたい。

出口は「売却しつつ保有継続も視野」という曖昧戦略

サイトには「売却活動をしつつ、安定家賃が入ってきますので当社で保有し続けることも視野に入れております」と記載されている。これは裏を返せば「売れなければ自社で抱える」という意味であり、出口の確度が低いことを示唆している。地方木造アパートは機関投資家の買い手がつきにくく、個人投資家向けの売却となれば価格交渉で足元を見られやすい。運用期間10ヶ月で売却完了しなければ最大6ヶ月の延長が可能だが、延長後も売れなければ事業者が自己資金で買い取るか、さらなる延長を繰り返すことになる。出口戦略の不透明さは、このファンド最大の弱点だ。

物件概要

項目 内容
所在地 三重県鈴鹿市岸岡町字北山越2971番6
物件種別 共同住宅(メゾネット型・1棟7戸)
構造 木造2階建て(2×4構造)
築年月 2023年3月(築2年5ヶ月)
土地面積 498.01㎡
延床面積 327.9㎡
テナント 株式会社ブルーボックス(マスターリース)
稼働率 98.49%(直前5年平均)/現在満室

収益構造とNOI分析

本ファンドは「完全インカム型」を標榜し、分配金6.0%の原資はすべて家賃収入から支払うとしている。しかし書面には運営費用の内訳が一切記載されておらず、実額ベースのNOIは算出できない。

  • NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
  • (推計・参考値)想定NOI: 3,319,784〜3,794,038円/年
  • (推計・参考値)想定キャップレート: 5.7〜6.6%
  • 運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%を運営費用の目安として控除し、利回りをレンジで推計した参考値です。実額が取得できた費用とは別枠の概算であり、本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではありません。
  • 配当原資: インカムゲイン型

年間賃料4,742,548円に対し、予定分配金は優先出資5,200万円×6.0%=312万円。賃料から分配金を差し引いた残り約162万円が運営費用・事業者報酬・劣後出資への配当に充てられる計算だが、費用明細がない以上、この収支が成り立つかは検証不能。空室保証があるため賃料収入の下振れリスクは限定的だが、保証会社ブルーボックスの信用力に全面依存する構造であることは認識しておくべきだ。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
土地㎡単価 約70,000円(推計) 45,000〜56,000円 +25〜55%
取引価格 57,800,000円 25,000,000円(土地建物) +131%

近隣の岸岡町における土地取引事例では、㎡単価44,000〜56,000円が主流。ファンド物件の土地498㎡を中央値50,000円/㎡で評価すると約2,490万円となり、建物価値を3,290万円と見積もっている計算になる。築2年の木造2階建て・延床327.9㎡に3,290万円の価値を認めるかは議論の余地がある。木造アパートの建築単価は㎡あたり15〜20万円が相場であり、327.9㎡×17.5万円=約5,740万円が新築時の建物価格と推計される。築2年で減価償却を考慮すると、建物価値は5,000万円前後が妥当ライン。土地2,490万円+建物5,000万円=7,490万円と比較すれば、取得価格5,780万円は割安にも見えるが、これは新築時の建築コストを基準にした話であり、中古市場での売却価格とは別物だ。


土地評価と出口シナリオ

三重県鈴鹿市岸岡町の公示地価・路線価は公開情報から直接確認できなかったが、近隣取引事例から土地㎡単価45,000〜56,000円と推計される。土地498㎡×50,000円=約2,490万円が土地持分相当額の概算となる。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 5.5% 6,000〜6,500万円 元本全額償還+キャピタル配当
基本 6.5% 5,100〜5,500万円 元本全額償還(ギリギリ)
悲観 7.5% 4,400〜4,800万円 劣後出資で吸収可能か要検討

地方木造アパートの売却市場は流動性が低く、キャップレート7%超での売却を強いられるケースも珍しくない。悲観シナリオでは物件価格が4,400万円まで下落し、取得価格5,780万円から約24%の下落となる。劣後出資580万円(10%)では吸収しきれず、優先出資者にも損失が及ぶ可能性がある。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 6.5%→7.5% ▲約700万円(12%下落) バッファ内(580万円超過)
空室率+10% 0%→10% NOI▲47万円 配当原資に影響
賃料下落10% 395千円→356千円 NOI▲47万円 配当原資に影響

劣後出資580万円は物件取得価格5,780万円の10%に相当する。物件価格が10%(578万円)下落するまでは優先出資者の元本は毀損しない計算だが、キャップレートが1%上昇するだけで物件価値は12%程度下落し、劣後バッファを突破する。地方木造アパートの出口リスクを考えると、劣後10%は決して厚いクッションとは言えない。


契約上の注意点

  • 匿名組合型のため倒産隔離なし: 事業者TSONが破綻した場合、ファンド資産は破産財団に組み込まれ、投資家は一般債権者として弁済を受ける立場となる。
  • 関連当事者取引: 対象不動産はTSON自身が保有する物件を匿名組合勘定に移管するもの。取得価格の妥当性を第三者が検証していない。
  • マスターリース先との関係: 賃貸管理・空室保証を担うブルーボックスはTSONの外注先であり、利害関係人に該当。保証契約の継続性は買主次第。
  • 契約期間延長条項: 売却完了しない場合、最大6ヶ月の延長が可能。延長が繰り返されれば資金拘束期間が長期化するリスクあり。
  • 鑑定評価なし: 物件価格の客観的な検証手段がなく、出口での価格交渉で不利になる可能性。

結論

利回り6.0%・劣後比率10.0%は不動産クラファンとして標準的な水準だが、NOI費用明細なし・鑑定評価なし・出口戦略曖昧という三重の不透明さが足を引っ張る。空室保証の看板に安心せず、保証主体の信用力と地方木造アパートの流動性リスクを冷静に見極めた上で、余剰資金の範囲内で検討すべきファンドだ。

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