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SMART FUND145号(愛知県知多市長浦駅【第2期】)

TSON ・ 分析日: 2026年09月09日 ・ RE:Insight AI
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利回り6.0%・劣後比率10.1%の新築メゾネット4戸。数字だけ見れば手堅いが、鑑定なし・NOI明細なしの二重ベールが6,660万円の実態を覆い隠す。マスターリース先は関連会社BB保証、事業者TSONの自己資本比率はわずか9.1%。出口で買い手がつかなければ延長一直線——余剰資金で臨むのが無難。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用303日
予定利回り
6.0%
運用期間
303日
募集総額
6,660万円
劣後比率
10.1%
所在地
愛知県知多市長浦二丁目209番1、210番1
種別
不動産
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3.5
収益性
2.6
透明性
3.3
元本安全性
3.3
事業者信頼性

ポイント

鑑定評価なしで6,660万円の妥当性は検証不能

本ファンドの物件取得価格6,660万円は「近傍の類似物件の取引実例に基づいた評価額」とされるが、不動産鑑定士による鑑定評価は実施されていない。新築物件であっても、第三者による客観的な価格検証がなければ、事業者の言い値を鵜呑みにするしかない。書面には「近隣エリアの同種の不動産の取引事例の内容を基にして妥当と判断する価格を算定しました」とあるが、その算定根拠の詳細は開示されていない。投資家は「適正価格かどうか」を自ら判断する材料を持たないまま出資することになる。

NOI費用明細が全欠損、利回りの裏付けは推計頼み

書面には年間賃料3,492,360円(月額291,030円)が記載されているが、管理費・火災保険料・固定資産税・維持修繕費といった運営費用の実額は一切開示されていない。このため、実額ベースのNOI(純営業収益)は算出できない。賃料の20〜30%を運営費用と仮置きした場合の推計NOIは244〜279万円程度となるが、これはあくまで参考値であり、実際の費用構造が重い場合は下振れする。利回り6.0%の配当原資のうちインカムゲイン5.0%分が本当に賃料収入で賄えるのか、書面からは確認できない。

マスターリース先BB保証の信用力が生命線

本ファンドの賃料収入は、株式会社BB保証とのマスターリース契約(10年契約・3年毎賃料改定)による保証賃料に依存している。BB保証はTSONの関連会社であり、外部の独立した保証会社ではない。サイトでは「外部の保証会社によるもの」と記載されているが、書面上の委託先はBB保証であり、この表現には注意が必要。マスターリース先が経営難に陥れば、保証賃料の支払いが滞り、ファンドの収益計画は根底から崩れる。関連当事者取引であることを認識した上で、BB保証の財務状況を確認したいところだが、その情報は開示されていない。

事業者TSONの財務基盤は薄い

TSONの自己資本比率は9.1%と、不動産クラファン事業者の中でも低水準。総資産61.8億円に対して純資産5.6億円という構造は、レバレッジが高い状態を示す。2025年度は当期純利益9,195万円と黒字転換しており、赤字体質からは脱却しているが、営業外費用(主に借入金利息)が2.6億円と重く、金利上昇局面では収益を圧迫するリスクがある。匿名組合契約では事業者破綻時に投資家の出資金は保全されないため、この財務基盤の薄さは無視できない。

出口戦略は「売却か保有継続か」の両睨み

サイトでは「売却活動を行いながら、賃料収入を得られる物件特性を踏まえ、保有継続も含めて運用判断を行う方針」と記載されている。これは裏を返せば、売却先が見つからなければ運用期間を延長する可能性を示唆している。書面上も「6ヶ月を超えない範囲で終了予定日を遅らせることができる」と明記されており、10ヶ月の想定運用期間が16ヶ月に延びるシナリオは織り込んでおくべき。知多市長浦エリアは区画整理事業が進行中とはいえ、新築メゾネット4戸の収益物件を6,660万円で買う実需投資家がどれだけいるかは未知数。

物件概要

項目 内容
所在地 愛知県知多市長浦二丁目209番1、210番1
物件種別 共同住宅(メゾネット型・1棟4戸)
構造 木造2階建て(2×4構造)
築年月 2026年8月(新築)
延床面積 264.33㎡
土地面積 520.42㎡
テナント 株式会社BB保証(マスターリース)
稼働率 100%(マスターリース契約による)

収益構造とNOI分析

本ファンドの配当原資は「インカムゲイン5.0%+キャピタルゲイン1.0%」のハイブリッド型。年間賃料収入は3,492,360円だが、運営費用の実額が書面に記載されていないため、実額ベースのNOIは算出できない。

  • NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
  • (推計・参考値)想定NOI: 2,444,652〜2,793,888円/年
  • (推計・参考値)想定キャップレート: 物件価格6,660万円に対し3.7〜4.2%程度

※運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%を運営費用の目安として控除し、利回りをレンジで推計した参考値です。実額が取得できた費用とは別枠の概算であり、本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではありません。

配当原資の検証:

  • 優先出資額5,990万円に対する年利6.0%の配当は約359万円(10ヶ月換算で約299万円)
  • 年間賃料3,492,360円から推計運営費用を控除した推計NOIは244〜279万円
  • インカムゲイン5.0%分(約250万円/10ヶ月)は推計NOIでギリギリ賄える水準だが、キャピタルゲイン1.0%分は売却益に依存

売却益が出なければ、配当の一部は事業者の劣後出資から補填される構造。出口売却が想定価格を下回れば、投資家への配当が減少するリスクがある。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
土地㎡単価 約12.8万円(推計) 約10.1万円 +27%
取引価格 6,660万円 約2,184万円 +205%

※ファンド物件は新築建物付きのため、土地のみの取引事例との単純比較は困難。近隣の土地付き建物取引(2023〜2024年築)は2,100〜3,200万円程度が中心であり、6,660万円は収益物件としての評価を含んでいると推測される。

分析:
知多市の近隣取引データでは、土地のみの㎡単価は4.6〜12万円程度、土地建物一体では1,300〜3,800万円程度が主流。本ファンドの6,660万円は、新築4戸の収益物件としての評価を含むため、単純な居住用物件との比較は適切ではない。ただし、鑑定評価がないため、この価格が収益還元法で妥当かどうかを検証する術がない。推計キャップレート3.7〜4.2%は、地方の新築収益物件としては低めの水準であり、価格が割高である可能性を示唆する。


土地評価と出口シナリオ

土地評価(推計):
知多市長浦エリアの公示地価・路線価は公開情報から直接確認できなかったが、近隣取引データから土地㎡単価は概ね5〜12万円程度と推測される。本ファンドの土地面積520.42㎡に対し、土地持分相当額は2,600〜6,200万円程度と概算される。建物は新築のため、建築費相当額(木造2階建て264㎡×15〜20万円/㎡=約4,000〜5,300万円)を加味すると、土地建物合計で6,600〜11,500万円程度となり、取得価格6,660万円は下限に近い水準。

シナリオ キャップレート 想定売却価格 投資家への影響
楽観 3.5% 約7,100万円 元本全額償還+キャピタル配当
基本 4.0% 約6,200万円 元本全額償還(劣後で吸収)
悲観 4.5% 約5,500万円 劣後バッファ超過、元本毀損リスク

※想定売却価格は推計NOI中央値(約262万円)をキャップレートで割り戻した概算。


ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
キャップレート+1% 4.0%→5.0% ▲約1,400万円(21%下落) 劣後670万円を超過
空室率+10% 0%→10% NOI▲約26万円 影響軽微(ML保証内)
賃料下落10% 291千円→262千円 NOI▲約35万円 影響軽微

総評:
劣後出資額670万円は物件取得価格6,660万円の約10.1%に相当する。つまり、物件価格が約10%(約666万円)下落するまでは、個人投資家の元本は毀損しない。しかし、キャップレートが1%上昇するだけで物件価値は約21%下落し、劣後バッファを大きく超過する。地方の新築収益物件は流動性が低く、出口で買い手がつかなければ価格を下げざるを得ない。マスターリース契約が継続する限り空室リスクは限定的だが、BB保証の信用リスクが顕在化すれば、このストレステストの前提自体が崩れる。


契約上の注意点

  • 関連当事者取引: 物件取得先・マスターリース先ともにTSONグループ(BB保証はTSON関連会社)。利益相反の可能性あり。
  • 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)のため、TSON破綻時に出資金は保全されない。
  • 運用期間延長条項: 売却未完了時、6ヶ月を超えない範囲で延長可能。最長16ヶ月の拘束リスク。
  • アップフロントフィー: 組成時に調達額の2.2%(年利換算)が控除される。実質的な初期コスト。
  • 譲渡制限: 出資持分の譲渡には事業者の事前承諾が必要。流動性は極めて低い。

結論

新築・空室保証・劣後10.1%という三拍子は一見安心感があるが、鑑定評価なし・NOI費用明細なしという情報開示の薄さが足を引っ張る。マスターリース先BB保証の信用力と、事業者TSONの薄い財務基盤を許容できるなら、余剰資金での参加は検討に値する。

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