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SMART FUND147号(埼玉県春日部市ⅡA棟【4期】)

TSON ・ 分析日: 2026年09月15日 ・ RE:Insight AI
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利回り6.2%のインカム型、だが足元は借地権という砂上の楼閣。劣後10.1%が物件価格▲10%までのバッファとして機能するものの、NOI明細なし・鑑定なしでは収益の土台が見えない。空室保証は10ヶ月中2ヶ月で消え、残り8ヶ月は8戸の個人テナント頼み。出口の買い手層が狭い借地権物件ゆえ、余剰資金での参加が妥当な一手。

インカム型マスターリース有利回り:平均的運用303日
予定利回り
6.2%
運用期間
303日
募集総額
9,220万円
劣後比率
10.1%
所在地
埼玉県春日部市八丁目字浦515番3
種別
不動産
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3.5
収益性
2.7
透明性
3.3
元本安全性
3.5
事業者信頼性

ポイント

借地権物件ゆえに出口の選択肢が限定される

本ファンドの土地は「一般定期借地権」であり、TSONは建物のみを所有する。定期借地権は契約満了時に更地返還が原則となるため、土地付き所有権物件と比較して売却時の買い手層が狭まる。事業者は「売却活動を行いながら保有継続も含めて運用判断」と述べているが、借地権物件は実需層(マイホーム購入者)には敬遠されやすく、投資家向け売却が主戦場となる。キャップレートが上昇する局面では、借地権ディスカウントが二重に効いて売却価格が下振れするリスクを織り込んでおくべきだ。

空室保証が途中で外れる「二段構え」の賃料構造

2026年10月31日まではアレップス社によるマスターリース(月額72.9万円)で賃料が保証されるが、11月1日以降は8戸の個人テナントへの直接賃貸に切り替わる。事業者は「98%以上の高稼働を維持しているため空室保証を外し、管理料を下げて利回りに還元」と説明するが、これは裏を返せば「空室リスクを投資家が直接負う」構造への移行を意味する。運用期間10ヶ月のうち約8ヶ月が空室保証なし期間となる点は、インカム型ファンドとしてはやや攻めた設計だ。

NOI費用明細が書面に存在せず利回りの裏付けが検証困難

契約成立前書面には年間賃料(マスターリース期間874.8万円、直接賃貸期間972万円)の記載はあるが、管理費・火災保険料・固定資産税・修繕積立金といった運営費用の実額が一切開示されていない。これでは「利回り6.2%の配当原資が本当に賃料から捻出できるのか」を投資家が独自に検証する術がない。事業者の分配シミュレーションを信じるしかない状況であり、透明性の観点では物足りない。

鑑定評価なしで9,220万円の妥当性は「近隣取引事例」頼み

物件価格9,220万円に対し、不動産鑑定士による鑑定評価は実施されていない。事業者は「近傍の類似物件の取引実例に基づいた評価額」と説明するが、借地権付き木造共同住宅という特殊性を考慮した第三者評価がないのは心許ない。近隣取引データを見ると、春日部市内の木造共同住宅(2023年築・240㎡)が1.1億円で取引された事例があるが、これは土地付き所有権物件。借地権物件の本ファンドと単純比較はできない。

事業者TSONは実績豊富だが財務レバレッジは高め

TSONは不動産クラファン事業で300件超・累計256億円の運用実績を持ち、元本割れ・償還遅延ゼロという堅実なトラックレコードを誇る。一方、直近の自己資本比率は9.1%と低水準。2025年度は売上51億円・純利益9,195万円と黒字転換しており収益性は改善傾向だが、総資産61.8億円に対して純資産5.6億円という財務構造は、景気後退局面での耐久力に一抹の不安を残す。第1号事業(匿名組合型)のため倒産隔離はなく、事業者の信用力がそのまま投資家のリスクに直結する点は認識しておきたい。

物件概要

項目 内容
所在地 埼玉県春日部市八丁目字浦515番3
物件種別 共同住宅(メゾネット型・1棟8戸)
構造 木造2階建て(2×4構造)
築年月 2024年6月(築2年5ヶ月)
延床面積 540.16㎡
土地面積 637.12㎡(一般定期借地権)
テナント 〜2026/10/31:アレップス(ML)、11/1〜:個人8名
稼働率 98.0%(2024年9月〜2026年9月)

収益構造とNOI分析

本ファンドは完全インカム型であり、配当原資は100%賃料収入から捻出される。

  • NOI(実額): 書面に運営費用の記載がなく算出できません。
  • (推計・参考値)想定NOI: 1,418〜1,621万円/年/想定キャップレート: 推計不能(物件価格が借地権付きのため土地込み評価が困難)
  • 運営費用の一部が書面から取得できないため、賃料収入の20〜30%を運営費用の目安として控除し、利回りをレンジで推計した参考値です。実額が取得できた費用とは別枠の概算であり、本ファンド固有の一次資料に基づく確定値ではありません。
  • 配当原資: インカムゲイン型

賃料収入の整理:

  • マスターリース期間(〜2026/10/31): 月額72.9万円 × 12ヶ月 = 年間874.8万円
  • 直接賃貸期間(2026/11/1〜): 月額81.0万円 × 12ヶ月 = 年間972万円

運用期間10ヶ月のうち、マスターリース期間は約1ヶ月、直接賃貸期間は約9ヶ月。加重平均すると年間賃料は約962万円相当となる。ここから管理費・保険料・固都税等を控除したNOIが配当原資となるが、費用明細が非開示のため実額は不明。

分配シミュレーションでは優先出資8,290万円に対し年利8.4%(アップフロントフィー2.2%込み)の分配を想定しており、実質利回り6.2%に相当する。これを逆算すると、年間約580万円の分配金を賃料から捻出する計算だ。賃料962万円から580万円を差し引いた約380万円が運営費用+劣後出資者への分配に充当される構造と推測されるが、書面からは検証できない。

市場価格検証

比較項目 ファンド物件 近隣取引中央値 乖離率
㎡単価(建物) 約17.1万円/㎡ 約15.0万円/㎡ +14%
取引価格 9,220万円 2,684万円(戸建中心) 比較困難

近隣取引データは戸建住宅が中心であり、1棟8戸の共同住宅との直接比較は困難。参考として、春日部市粕壁の木造共同住宅(2023年築・240㎡)が1.1億円で取引された事例があるが、これは土地付き所有権物件。本ファンドは借地権付きのため、土地価値を含まない建物のみの評価となる。

借地権物件の市場価格は一般的に所有権物件の60〜80%程度に割り引かれる傾向がある。仮に同等の所有権物件が1.2億円程度と仮定すると、借地権ディスカウント後で7,200〜9,600万円となり、本ファンドの取得価格9,220万円は上限に近い水準。割安感はないが、築浅・太陽光発電搭載という付加価値を考慮すれば著しく割高とも言い切れない。


土地評価と出口シナリオ

本ファンドの土地は一般定期借地権であり、TSONは土地を所有していない。したがって、土地の公示地価・路線価に基づく資産価値評価は本ファンドには直接適用されない。

事業者が強調する「春日部駅周辺の再開発」は確かに進行中だが、これは土地所有者にとってのアップサイドであり、借地権者であるTSON(ひいては投資家)が享受できるメリットは限定的。地価上昇の恩恵は借地料の据え置きがある場合に間接的に享受できる程度だ。

出口シナリオ:

シナリオ 想定売却価格 投資家への影響
楽観(借地権物件として投資家に売却) 9,500万円 元本全額償還+若干のキャピタル
基本(取得価格同等で売却) 9,220万円 元本全額償還
悲観(借地権ディスカウント拡大) 8,000万円 劣後930万円で吸収可能(▲13.2%まで)

ストレステスト

変動要因 変動幅 物件価値への影響 劣後バッファとの関係
物件価格▲10% 9,220万円→8,298万円 ▲922万円 劣後930万円でギリギリ吸収
物件価格▲15% 9,220万円→7,837万円 ▲1,383万円 劣後超過、優先出資毀損
空室率+20%(8戸中2戸空室) 稼働80% NOI▲約194万円/年 配当減額リスク
賃料下落10% 月額81万円→72.9万円 NOI▲約97万円/年 配当減額リスク

劣後出資額930万円は物件取得価格9,220万円の約10.1%に相当する。つまり、物件価格が約10%下落するまでは優先出資者の元本は毀損しない計算だ。借地権物件の流動性リスクを考慮すると、このバッファは「最低限」のラインと言える。


契約上の注意点

  • 倒産隔離なし: 第1号事業(匿名組合型)のため、TSON破綻時は匿名組合財産が破産財団に組み込まれる。優先弁済権なし。
  • 自己取引: 対象不動産はTSON自身が保有する物件を匿名組合勘定に移管するもの。取得価格の妥当性は事業者の自己申告に依存。
  • 空室保証の途中解除: 2026年11月以降はマスターリースが終了し、空室リスクが投資家に移転。
  • 契約期間延長の可能性: 売却が完了しない場合、最大6ヶ月の延長あり。
  • 中途解約の制限: やむを得ない事由がない限り中途解約不可。流動性は極めて低い。

結論

借地権物件という構造的制約と、NOI費用明細・鑑定評価の非開示という透明性の課題を抱えるが、事業者TSONの300件超・元本割れゼロという実績が一定の安心材料。余剰資金での分散投資先としては検討に値するが、メインの投資先としては情報開示の充実を待ちたい。

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